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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 そのお嬢様に護衛が必要なのかを彼らは知らない
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その女の秘密を、彼らは知らない

 マイネフラン王国へと帰って来ました。

 ギルドに行く気にはならなかったのでその日はそのまま宿を取ってゆっくりと休むことにしたのだ。

 次の日、王国からと名乗る使者が現れネッテに召喚状とやらを手渡したのである。

 なんかネッテが王様に呼ばれたらしい。何そのタイミング?


 首を捻りながら彼女が国へと向い、暇を持て余したリエラは葛餅とにっちゃう引き連れて自宅に帰ることにしたらしい。

 これは今日は休暇にするからというカインに言われてのことだった。


 なんだろう、急にパーティーがどんどん居なくなっていく気がする。

 後に残されたカインとメリエ、そして魔物組。

 バルスとユイアは? といえば、バルスの傷心を癒すということで、ユイアと共に再び故郷に帰って行った。


 早すぎる離脱です。お前ら一体何しに来たの?

 彼に裏番長は刺激が強すぎたようだ。

 折角合流してくれたのに、少ない仲間時間だったな。


 僕はアルセたちの踊りを見ながらふと仲間たちを見る。

 カインとメリエ、ネフティアとのじゃ姫、アニアとロリコーン紳士、そして僕とアルセ。

 ずいぶん減ったな。

 そして一人、また一人と居なくなる程に、メリエの顔に影が差す。

 理由をカインが聞いてみるが答えようとしない。


 うーん。

 まるで何らかの罪の意識を感じているような思いつめた顔だ。

 空気が悪い。

 アルセ、ちょっと息抜きに外行こっか。


 アルセと共に宿を出ると、なぜかネフティアとのじゃ姫が付いて来た。

 するとやはり影から変態が見守っている。

 カインとメリエという二人の場所に一人だけ残されたアニアが慌てたように後を追ってきた。


「ちょ、ちょっと待って待って待って、アニアちゃんも連れてって。私もイくぅ」


 黙れ変態。

 この妖精は時々暴走するよね。

 ネフティアにむんずと掴まれじたばたしているアニアに呆れつつ、僕はアルセとネフティアと手を繋ぎながら歩いて行くのだった。


 のじゃ姫は? 僕に気付いてないようで、二人が手を掲げながら歩く姿に首を捻っていた。

 それに気付いたアルセがふと、指を咥えて考える。

 アルセ、指咥えクセ治ったと思ったのにまたしてる!?


 アルセは僕の手を離すと、のじゃ姫の背後に駆けて行って背中を押し始める。

 のじゃ? と戸惑いながらも前に進むのじゃ姫。

 僕の横まで連れて来ると、のじゃ姫の手を上げて僕に掴むようにジェスチャーしてきた。


 うーん、まぁいっか。どうせのじゃ姫も魔物だし、僕のことバレたところで問題はないかな?

 コリータさんが恐れるような魔物として僕が認識されて、人に討伐とかもないでしょ。

 僕がのじゃ姫と手を繋ぐと、突然感じた手の感覚に驚くのじゃ姫。


 慌てて逃げようとするが、アルセが背後から頭を撫でる。ネフティアがアニアを掴んだまま親指を立てると、不思議そうな顔をした後、僕を見上げて来た。

 彼女たちに僕の存在は見えやしない。けど、そこに敵意が無いと知れたのか、のじゃ姫が控えめに腕を振ってきた。


 しばらく振ると、何故か楽しげに笑みを浮かべる。

 うん、可愛らしい笑顔です。

 アルセもそれを確認すると、僕の背中に飛び乗ってきた。

 僕の肩に捕まってまるで空を飛ぶように足をばたつかせている。


 ちなみに、ネフティアは背丈や雰囲気から言って一番お姉さん、アルセが次女でのじゃ姫が末っ子かな。そんな幼女三人が微笑みを浮かべ合う。カシャっと久々にCG激写が仕事した。

 そしてロリコーン紳士が何故か血涙流して睨んで来たけど、あいつ僕を認識してるのか、それとも本能か?


 僕らはとりあえずギルドに向う事にした。コリータさん暇そうだから町の案内でもしてくれないかな。という打算のようなものだ。

 ギルドに入る。

 今日はどうやらいい具合に空いてる時間帯だったようだ。


 めずらしい、床が見えるよ。

 普段は人でごった返してるのに。

 コリータさんは、ああ、やっぱり暇そうにしている。


「あら、アニアちゃんたち、どうしたんです?」


 何故かモーネットさんが単体で存在していた。

 パーティー仲間どこ行った?


「あ、えっとモーネットだっけ? 一人?」


「ええ。今報告を終えてきたところですよ。皆は宿でまだ寝てるかな? あなたたちは? ……って、全員魔物じゃないですか」


「ええ。なんかアルセが宿から出たから皆で来たのよ。部屋に居ても辛気臭いし」


「辛気臭い?」


「なんかね、ネッテが王国に行ってリエラが実家に日帰り行って、カインとメリエしか残ってないのよ。メリエはメリエで一人居なくなるごとに思いつめた顔してくし」


「メリエさん……もしかして、メリエ・マルゲリッタ?」


「ん? 下の名前は知らないけど、知り合い?」


「いえ、ただ噂は学園都市の方で結構聞きますね。パーティー殺しのメリエ。彼女が入ったパーティーは必ず崩壊して解散する。そう言われています」


 パーティークラッシャーって奴ですか。いやいや、そんな人が一人加入したからってそんな……

 ふと、僕の頭を過るのは、メリエが仲間になってからパーティーから抜けた仲間たち。

 クーフ、辰真、バズ、エンリカ、その子供たち。そしてバルスとユイア。

 一時的ではあるがリエラたちやネッテ、そして僕らもメリエからは離れている。

 実質カイン以外僕らのパーティーが散り散りになったとも言えるだろう。

 ……あれ? これ、本当にパーティークラッシャー能力?

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