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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三話 その番長に狙われていることを彼は知りたくなかった
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その裏番長と辰真が動かない理由を、僕は知らない

 爆殺アパカが炸裂した。

 エンリカの腰の入った一撃を受けた裏番長が爆発する。

 その横では武器を破壊されたセレディが肉弾戦に切り替え裏番長を殴りつけていた。

 って、むしろ武器持ってない方が強くないですかセレディさん。


 エンリカと殴り合っていたせいだろう。肉弾戦に特化し始めた豚は、斧を振りまわしていた時よりも裏番長を圧倒していた。

 彼女の拳が鳩尾に決まった裏番長が静かに倒れて行く。

 そして互いに自分は倒したぞ。と視線を交すエンリカとセレディ。

 どうやらどれだけ多く倒せるかを競っているらしい。


 バズさんは女の闘いなどそっちのけで一人ナイトブローバ―を片手に奮闘していた。

 さすがに危険な状況に陥ることが多々あるので、アニアが罪滅ぼしも兼ねてバズを援護していた。

 妻と幼馴染を会わせてしまった罪悪感が、一応あの妖精にもあったらしい。


 ネフティアはついに八人目の裏番長を無力化させていた。

 動けなくなれば良い的になる。

 遠くから裏番長を丁髷砲で狙撃する殿中でござる達。

 ある程度削って行動を制限した後、近寄って一斉斬り捨て御免。とばかりに相手の首を切り裂いて行く。

 

 即死効果の高い居合斬を扱えるので彼らの闘いもそう馬鹿にしたものではなかった。

 腕力などの闘いに置いて、殿中でござるは弱め……とされているが、身動きの取れない怪異相手なら十分過ぎる闘いができるのである。

 無力化されて移動不能となった裏番長を数人で囲って納刀。

 一瞬後、まさに一斉射のごとく居合斬の華が咲く。


 一つだけなら即死しないだろう裏番長も、連続で即死攻撃を喰らえば何時かは即死してしまう。

 殿中でござるたちの脅威が、徐々に裏番長の数を減らし始めていた。

 ただし、裏番長が一体死ぬ代わりに、殿中でござるたちはかなりの数が犠牲になっている。

 さらにディープなキッスをされた個体はよろめきながら起き上がると、HARAKIRIを行い自滅してしまうので彼らの死亡スピードはかなり早い。


 そのぶんのじゃ姫の声が高らかと響き渡り更なる殿中でござるたちが出現するのだが、出現すればするほどに、のじゃ姫の顔が悪くなっている。

 どうやら無限に呼べる訳ではないらしい。

 おそらく、呼べば呼ぶ程に精神的な負担が増えて行くのだろう。

 必死に皆の役に立とうとしてくれているのじゃ姫の頭を思わず撫でてしまったのも、仕方ないと思う。


 突如感じた謎の感触に驚き見上げるのじゃ姫だが、相手の姿は見当たらない。

 そしてしばらく視線を漂わせた後視線が交差したのは、笑顔のアルセだった。

 彼女の頭上でダンスするツボミを見て、のじゃぁと爆笑していた。

 精神的負担……どこいったの?


「クラリッサ、突撃、アリアドネ、隙間を穿って! カッタニアは二人の援護、プラム剛腕に気を付けて! さっきあっちのオークがやってた膝裏を狙えば高確率でスタンさせられるわ! ジェーン、ラ・ギの連射よろしく、味方に当てないでくださいね!」


 四体目の裏番長に取りかかるモーネットさんたち。

 パーティーに指示を飛ばし自らも札を使い戦場を踊る。

 玉串が風を切って裏番長の筋肉に突き刺さる。

 異常に攻撃力が高いねアレ。


 バックステップで裏番長から離れるモーネットさん。

 刺さったままの玉串に一枚の札を投げつける。

 札が玉串に触れたその刹那、目で見て分かる程にバチバチと放電が裏番長を包みこんだ。

 裏声の悲鳴が響き渡る。悲鳴まで汚いとか、もうね……


 残す裏番長は4体にまで数を減らしていた。

 最初はキツイかと思ったけど、こっちはかなり善戦してる。

 まぁ、功労者は言わずもがなですね。


 その一番の功労者は無言でチェーンソウを振り上げ、裏番長の頭蓋を穿つ。

 さ、刺さってる。刺さってるけど動いてる!?

 拳を振り上げネフティアに襲い掛かる裏番長。

 ソレを今度こそはとロリコーン紳士がステッキ突き上げ相手の腕を跳ね上げる。

 幼女に指一本触れるな、外道がぁ!

 と、珍しく怒りに満ちた顔をしている。


 少し離れた場所では裏番長の拳を掻い潜り、クロスカウンターの爆殺アパカを叩き込むエンリカ。

 終わりよ。とでも言うように息を整えると、目の前に居た裏番長が大爆発。

 全身が爆散することはなかったが、その場にツッパリ状態に戻って死亡する。


 セレディもエンリカに少し遅れて拳で裏番長をねじ伏せていた。

 やっぱり、エンリカとの戦いで彼女もバグ化したらしい。

 バグは伝染するのだろう。もう、好きにやってくれ。バズ、成仏しろよ?


 そして残る裏番長は……バルスに今、襲いかかろうとしていた。

 ユイアの援護が切れたのだ。魔力切れを起こした彼女が悔しげにしている。

 バルスだって聖樹の森深層に向える実力なのだ。

 裏番長一人相手なら、それなりに闘えてはいた。

 それでも、裏番長の容姿に及び腰なのがいただけない。


 このままじゃバルスが精神的な死を迎えかねない。

 ノーガードで近づく裏番長。怯えから満足に闘えないバルス。

 バルスは最近洩らし過ぎだと思うんだ。恐怖弱点か恐怖脆弱スキル覚えちゃってるんじゃないかな?


 恐怖に震えるバルスに裏番長の拳が襲う。

 剣でガードしながら飛び退く。

 多少のダメージは負ったが、背後の何かに当って吹き飛ぶ事だけは防いだ。

 その背後に、その男は立っていた。

 慌ててバルスが彼を見上げる。


「助成が必要か、バルス?」


 不敵に笑みを浮かべ、クーフがそこに存在していた。

 巨人殺しを肩に引っ提げ、圧巻の存在感で裏番長に対峙する。

 クーフ大先生御帰還でございます。敬礼!

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