表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三話 その番長に狙われていることを彼は知りたくなかった
272/1818

その混戦の中の危機を、僕たちしか知らない

 20程の裏番長が一斉に動き出す。

 皆、辰真にウインクをすれど、彼を無視して僕らパーティーへと向って来る。

 どうやら向こうもロドリゲスと辰真の一騎打ちに手出しする気はないらしい。

 変なところでツッパリの矜持を継承している。


 ノーガードで迫りくる裏番長の群れ。

 一部乙女走りでウフフ、私を捕まえてみなさぁい。みたいな顔で迫ってくるのがなんとも視覚的に辛い。

 バルス君をユイアが救出する。もはや下半身は大洪水で、皆に見られているが、彼の痴態は放置でいいだろう。今はそんな些事に構っている暇はない。


「おじゃるでござるのじゃー!」


 迫りくる裏番長の群れに、こちらも戦力が必要だと、のじゃ姫が召喚を開始する。

 各々武器を構える仲間たち。

 今回は手を抜く気も無いらしく、エンリカも初めから拳を握り込んでいる。

 弓じゃなく完全なグラップラーとして参戦のようです。


「カインが戻って来るかどうかわからないし、クーフも居ない。エンリカ、バズ、葛餅、ネフティア、あなたたちが頼りよ!」


「よぉし、今度こそアニアちゃん大活躍するわよ! そぉれ惑わしの草地ストレイ・ソッド


 裏番長の一角が足を縺れさせたり別の裏番長に突撃する。

 ぶつかり合った裏番長。

 互いに何すんのよ。といいたそうな顔で見つめ、なぜか互いに頬を赤らめる。

 そして互いに近づいて行く二人の裏番長……ぶっちゅううううう。

 い、いやあああああああああああああああああああああああああ!?


「あ、アニアのバカァ! なんてもん見せてくれるのよ!!」


「違う、今の私の悪戯のせいじゃない! 断じて違うよぉっ!!」


 自分の能力が起こした結果に涙目のアニア。

 ネッテがダブルキャストで二人にコ・ルをブチ当て強制的に引き離す。

 二人の裏番長が憤慨したようにネッテに迫ってくる。


「「ぶひ!」」


 そんな二体に向けて走り寄る二人の豚さん。

 ナイトブローバ―とアックスが思い切り振るわれる。

 オークVS裏番長のタッグバトルが実現しました。


「バルス、大丈夫、闘える?」


「や、やるしかないんだよね。うん、やるよ! 俺だってできるさ!」


 魔剣エルガドを構えるバルス、恐怖心を抑えて強烈な臭いを放ちながら迫ってきた裏番長の一人に突っかかる。

 ユイアが後方から彼を支援する。

 さらにその横ではロリコーン紳士が幼女たちの視線を受けて半裸姿で裏番長と対峙していた。


 ネフティアも戦場を走っている。

 近づく裏番長と切り結び、相手の足を刈り取り次の敵へ、

 どうやら敵を一人一人相手するより相手の一部を破壊して無力化する事を覚えたようだ。

 たぶん、今回一番の功労者だろう。


 リエラもちゃんと参戦している。

 葛餅を装備しての闘いだが、葛餅がフォローしてくれてるので充分闘えているようだ。

 メリエは殿中でござるや無礼でおじゃるたちが闘いやすいよう魔法で援護を行っているらしい。

 皆が闘っている裏番長以外の裏番長達が彼らの闘いに参戦して多対一に持ち込まれないよう、彼女が戦線維持に一役買っていた。


 モーネットさんたちのパーティーは一固まりで裏番長を一人一人確実に撃破して行く。

 今、二体目の裏番長がツッパリの亡骸へと変化した。

 彼女たちは危なげが無い、まぁメリエとおじゃるとござるの頑張りで邪魔者が来ない御蔭とも言えるけど。


 で、気付いた。

 僕は気付いてしまったのだ。

 アルセと二人、戦場を後方から俯瞰していたからこそ、その阿呆に気付いてしまった。


 裏番長の一人が、殿中でござるも無礼でおじゃるも居ない場所で一体の魔物と対峙していた。

 困ったようなその顔が視界に収めているのは、果敢に立ち向かおうと飛び跳ね威嚇する一体の雪達磨。否、いんてりじぇんすにっちゃうである。


 彼に攻撃能力など皆無だ。威嚇のためひたすらに飛び跳ね「にっにっ」と鳴いている。

 裏番長も相手の弱さに気付いているようで、これはどうしたらいいのかしら? 弱い者いじめはちょっと困るわ。

 そんな顔で周囲に助けを求めていた。誰か、代わってくれないかしら、敵でも味方でもいいから。


 うん、まぁ、ある意味パーティーメンバ初の死亡者が出かねない危機である。

 それに気付いた僕が向おうとすると、なぜか歩きだしにっちゃうのもとへ向うアルセさん。

 おいおいアルセ、君も攻撃向きじゃないでしょう。


 緑の肌に白いワンピースを着た可愛らしい少女が笑顔で歩いて来る。

 それに気付いた裏番長がこちらに視線を向ける。

 男じゃない事に落胆しつつも、現状打破になるのなら、とノーガードでこちらに視線を向けて来た。


 ちょ、誰か、アルセがピンチですよ!?

 ロリコーン紳士……って、すげぇ!? あいつ三体に囲まれてやがる!

 こちらには気付いたようだが悔しげな顔をするだけで敵対者を警戒している。

 そんな中、アルセは懐から幾つもの種を取りだした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ