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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二話 そのすれ違う者たちを豚は知らない
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その神父の正体を、僕は知りたくなかった

 いけない、エンリカもバズも気付いてない。

 背後から物凄い危機迫る勢いでアックス持って女性を背負った血塗れ豚さんが迫っている。

 どけどけどけぇっとばかりに鼻息荒く吼え猛りながら一直線に進む様は、まさに猪も真っ青になりそうな迫力があった。


 丁度真正面に捉えたユイアとバルスが、折角合流のためにやって来てくれたのに、途中で立ち止まって呆然としていた。

 どうしたの? とネッテやクーフが背後を見て、理由を悟る。

 エンリカとバズが何事? と後ろを振り向くその刹那、ぎきゅっと直角に折れ曲がったセレディさんは教会へと突入して行った。


 どうやらバズやエンリカには気付かなかったようだ。

 余程切羽詰まっていたんだろう。

 何があったんだろう? そういえば、あの女性冒険者、ついさっきセレディと一緒に冒険に出てた人じゃなかったか?

 ということは聖樹の森でパーティーに何かあったってことかな。


「えっと、今の豚って、バズさんの知り合いだったりします?」


「ぶひ?」


 豚? っと首を捻るバズさん、丁度見ていなかったようだ。

 エンリカともども、ぎりぎりですれ違うね。いや、対面するよりはいいけどさ。


「あ、そうだ。エンリカ、バズ、悪いんだけど皆の宿取って来てくれない? 私達はこれから町でいろいろやることあるんだけど、どうせ部屋に籠るでしょ。ならついでに私達の部屋も取っといてほしいの」


「はい。じゃあバズさんとゆっくりしてますね」


 ネッテの言葉を深くは理解せず、夫婦水入らずでキャッキャウフフしに向うぱにゃぱ夫妻。

 うん、まぁ、お幸せに。

 あいつらはもう放置でいいと思う。


「さて、問題の一端は行ってくれたか」


 カインは神妙に呟き立ちあがる。


「行きましょう、セレディさんが何故ここに居るのか、確認しなきゃいけないわ。この国のためにも」


 ネッテの真剣な言葉に皆が頷く。

 やらねばならない。気の進まないことだけど、セレディとエンリカが出会うのだけは、何としてでも阻止しなければ……

 前は確かに、殴り合いで済んだ。

 でも、今のエンリカは前とは比べ物にならない程に、嫉妬深い。

 そんなエンリカに引っ張られ、化け物化してしまえばエルフとオークの大乱闘で国が壊滅するかもしれない。辰真とゴブりんの魔王戦の再来が街中で行われる可能性すらあるのだから。


 僕らは真剣な顔で教会の扉を開く。

 空気に飲まれたバルスとユイアも再会の喜びすらできずに付いて来ていたのだけど、後悔しないようにね。

 教会に入る。いつもなら変態な神父さんがアルセを見付けて嬉しそうにするのだが、今日は殺伐とというか、切羽詰まったように慌ただしい。


 教会内には突如乱入して来た豚が興奮気味に立ちつくし、それを神父さんが困った顔でなだめている。

 信者さんたちが心配そうに通路の奥へと視線を注いでいた。

 背負われていた冒険者がいないことから、シスター・マルメラが奥へ連れて行き回復を行っているのだろう。

 全回復する回復魔弾を込められるシスターだ、おそらく大丈夫だろうと思うんだけど……なるほど、セレディさんが興奮気味なのもうなずける。彼女の無事が確認されるまでは興奮したままだろう。


「神父さん、何かありましたか?」


「? おや、皆さんお揃いで。ちょっと立て込んでいまして、しばらくお待ちいただけますか?」


「いや、それは分かってるよ。セレディだっけ、何があった?」


「ブヒ? ブヒブヒッ!!」


 ようやく誰に声を掛けられたか気付いたセレディ。

 突然の再会に驚いた顔をしているが、しまった。このメンツで豚人語が理解できる人が居ない!

 今更ながらそれに気付いた僕らだったが、運が良かった。


「あれ? リエラ、このオーク知り合いなの?」


「あ、はい。セレディさんです。バズさんの幼馴染の」


「ああ、あのオークの……って、幼馴染? ああ、あれか、寝取られたのね」


「ブヒッ!!」


「なによ、そうなんでしょ。ふふ、エルフに寝取られるとか、ワロスワロス」


 妖精さんが皆には解らない会話をしながらいい獲物見付けたといった悪い顔をしていた。


「アニア、お前セレディの言葉分かるのか?」


「オークの言葉くらいならわかるわよ。あれ? もしかして皆解らない?」


 この、悪戯好きに通訳を頼むのか……

 皆が困った顔をする。

 そんな中、一人の男だけは、別の人物に目がいっていた。


「フオ」


「……っ!?」


 幼女好きの変態同士が邂逅しました。

 紳士と神父がしばし見つめ合う。

 そして互いに礼をして、がしりと固い握手を交わした。

 おい、今の間に何があった?

 

「ようこそ紳士。我が教会へ。同志よ、この出会い、神に感謝を」


「フオォォォォ!」


 ……まさか、いや、本当に?

 僕はアルセを隠れ蓑に魔物図鑑に神父さんを登録してみた。

 出て来たのは……人のステータスではなく魔物としてのステータスだった。

 ああ、やっぱり……こいつ、ロリコーン神父だ。

 ロリデッス

 ・謎の多い神父。幼女好きの変態で、幼い娘が教会に来ると鼻血を噴きながら飴やクッキーを作って来る。変態神父ではあるが信仰心は篤い。エルフの住むオリーの森へ向う道に出現する某魔物と行動パターンが似ているらしい。

  種族:偽人 クラス:ロリコーン神父、神父

  装備:神父服、聖書、聖なる十字架

  スキル:

      天罰ですよ:聖書の角で頭蓋を殴る。

      オラクル:幼女の神からの啓示を受け取る祝福。

      天罰:幼女に仇成す者を断罪する神の一撃。

      神は我が手にロリコーン・奇跡を賜るフェスティバル:ロリ結界・幼女の偶像アイドル祭りを生成する。

      ラ・ギライア

      コ・ルラリカ

      ラ・グライラ

      グレ・ゴルン

      リフレッシュ

  常時スキル:

      啓蒙神父:幼女の神に忠誠を誓い神の祝福を受けた神父の証。

      神の祝福:神からの祝福を受け取ることが出来る。

  種族スキル:威圧の魔眼・極:幼女を襲う輩に対してのみ有効。

      神父の嗜み:神父として必要な技術。

      お嬢さん飴をあげよう:幼女に飴を与える。イチゴ味。どこで調達しているかは不明。

      クッキーを作ってみました:幼女にクッキーを与える。どこで調達しているかは不明。

      お嬢さん大丈夫ですか?:指定した幼女の危機に必ず現れる。

      お嬢さん落としましたよ?:入手した物を幼女に与える。

      幼女(彼女)が見ているのだぞ!:幼い少女が見ている前では死ねません。くいしばり効果連続発動。ただし発動するごとに発動確率が下がる。

      自分解放:衣服を脱ぎ去りありのままの姿を相手に見せる。

      鷹の眼:眼を鋭くして観察することで遠くの幼女も見逃しません。

      幼女の観測者:幼女の危機を察知すると全能力継続上昇。

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