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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二話 そのすれ違う者たちを豚は知らない
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その魔物が賞金首だということを、彼らは知らない

「ふおおおおおおおおっ!!」


 タキシードを脱ぎ去った変態が吼える。


「おじゃるでござるのじゃー!!」


 変態が動きだすと同時にのじゃ姫の周囲に現れる無数の無礼でおじゃると殿中でござる。

 って、そんなチート能力普通に使っていいんですか!?

 殿中でござるたちが抜刀してヘルピングペッカーへと斬りかかる。

 ヘルピングペッカーも物凄い数が居るのでまさに合戦場に早変わりしてしまった。


 刀が乱れ舞い、毬がヘルピングペッカーを弾き飛ばす。

 ヘルピングペッカーも負けちゃいない。

 嘴を使って殿中でござるを撃破したり、足の一撃で無礼でおじゃるを蹴り殺す。


 数は多いがヘルピングペッカーの方が強いらしい。

 徐々にだが殿中でござるの数が減っていく。


「グラ・ン」


 メリエが彼らのフォローとばかりに地面を泥沼化させてヘルピングペッカーの足を奪う。

 しかし、殿中でござるたちは無防備に突撃し泥沼に足を突っ込んでこけていた。

 それをヘルピングペッカーが足場として撃破しながら近づいてくる。

 にしても、何でこんなに多くのヘルピングペッカーが?


「おじゃるでござるのじゃー!」


 再び召喚される殿中でござるたち。

 ついでにミニアルセが走り出していた。

 うわ、アルセギン召喚されてるし。


 お嬢さん大丈夫ですか。お嬢さん落としましたよ。お嬢さん飴をあげよう。

 などと変態さんが忙しなく動いている。

 百枝刺しで近づくヘルピングペッカーを薙ぎ払い、地面に落ちていたヘルピングペッカーの羽をアルセやのじゃ姫に手渡し、ついでに飴をあげている。

 そんなアホがアルセ達を向いていた隙を突き、一体のヘルピングペッカーがロリコーン紳士を背中から強襲した。


 ヤバい、あいつが居なくなるとアルセ達の護衛が、僕がちょっと離れてた隙にマズいことに……

 今、補助魔法を唱えまくるアニアの安全のためにこっちに付いていたのは失敗だった。

 やっぱりあいつになど任せるべきじゃなかったんだ。


 慌ててアルセ救出に向おうとした僕だったが、ヘルピングペッカーの一撃を喰らったロリコーン紳士はたたらを踏みながらもなんとか気力で倒れるのを防ぐ。

 そして、鋭い眼光で攻撃して来たヘルピングペッカーを睨みつけた。


 幼女(アルセ様)が見ているのだぞっ!

 そんな怒りに満ちた表情に、ヘルピングペッカーは身の危険を感じたのか「タスケテー」と声を上げていた。


「フオオオオオオオオオオオオオ!!」


 怒りの咆哮を上げたロリコーン紳士はヘルピングペッカーに百枝刺し。

 あまりの怒りと速さにヘルピングペッカーは微動だにできずに蜂の巣になった。

 えげつない……


 アニアは妖精の輪ガリートラップ惑わしの草地ストレイ・ソッドを使って皆が逃したヘルピングペッカーから優先して撃破している。

 さりげなく数体のヘルピングペッカーを葬っているのは僕と彼女だけの内緒だ。

 悪戯しないと随分功労者だよねアニア。


「そろそろ終わりが見えて来たな。踏ん張れよ辰真、ネフティア」


 ネフティアが頷き辰真がオルァ! と叫ぶ。

 もう数えるほどしかヘルピングペッカーが居なくなった。そんな時だった。


「GUGAAAAAAAAAA――――ッ!!」


「なんだ!?」


 異変はヘルピングペッカーが現れた背後からやってきた。

 空気を震わす凶悪な声。

 あれ、何か僕、聞き覚えあるよこの声。


 地面を揺らし、そいつがやってくる。

 ヘルピングペッカーたちが口々に「タスケテー」と鳴き叫ぶ。

 そして、赤い素肌の巨大な鬼が木々を掻き分け現れた。


「レッドオーガ!? ゴブリン大発生の生き残りか!?」


「じゃあ、こいつが来たせいでヘルピングペッカー達が逃げて来たってことですか!?」


「おそらくな。まぁ、そんなのはどうでもいい。来るぞ!」


 カインの言葉に呼応するように走り出すレッドオーガ。

 これに相対するのはネフティアだ。

 率先して走り寄りチェーンソウの一撃。

 振り抜かれた拳を引き裂きさらに奥へとチェーンソウを差し込んでいく。


「GAAAAAAAAAAAAAAAAAッ!!?」


 あり得ない痛みに喚くレッドオーガ。しかしネフティアは容赦なく真下にチェーンソウを引き抜くと、くるりと回して左から右にチェーンソウを振る。

 レッドオーガの左腕が二つに分かれて宙を舞った。


 さらに踏み込みネフティアの搗ち上げ。レッドオーガは成す術なく二つに裂かれ、あっちゅうまに御臨終と相成った。

 あ、あっけない。

 いや、ネフティアが強過ぎなだけか? あいつゴブリン軍団戦でもレッドオーガ普通に倒してたし。


 メリエが目を丸くして見ていたが、彼女が遊撃を止めても大丈夫な程に敵の数が減っている。

 残っているのもカインとリエラと辰真が一体ずつ、殿中でござると切り結んでるのが六体程度、他にも四体いるが距離がある。

 それ以外は殲滅済みだ。


 ……ん? そういえば、賞金首のところでレッドオーガがどうのこうのあったな。

 確か名前がグラウストだっけ?

 何の気なしに、僕は魔物図鑑でレッドオーガを見る。

 名前、グラウストです。はい、ポシェット回収!

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