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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二話 そのすれ違う者たちを豚は知らない
245/1818

その家族に相応しい家がどれかを、僕らは知らない

 メリエを仲間に入れた御一行様は、一路バズたちがいる土地家屋紹介所へと向った。

 ちなみに、メリエさんのステータスを覗き見ておく。


 メリエ・マルゲリッタ

  種族:ニンゲンG クラス:魔術師・冒険者トレジャーハンター

  装備:火炎の杖、紫のローブ、ターコイズサークレット、形見のペンダント

 スキル:シェ・ズ

     シェ・ズル

     シェ・ズルガ

     ラ・ギ

     ラ・ギラ

     恋する少女の魂バーニン・ファイア

     ラ・グ

     ラ・グラ

     ラ・グライラ

     レイ・ル

     グレ・ゴ

     グレ・ゴル

     グレ・ゴルン

     グラ・ン

     グラ・ント

     グラ・ンドロス

     シンクホール

     ヒール

     キュア

  常時スキル:

      肉体強化Lv1

      詠唱速度Lv3

      毒耐性・小

      混乱耐性・小

      麻痺耐性・小

      妄想:妄想して精神力を高める。MPがわずかに回復する。

  種族スキル:

      杖術Lv1

      鍵開けLv2

      罠回避トラップサーチLv3

      索敵エネミーサーチLv1

      探索アイテムサーチLv2

      魔術師の弟子


 うん、まぁ、なんだ。

 ネッテの下位互換っぽいけど、冒険者としてのスキルはちょっと気になります。

 とくに索敵とか罠回避。

 バズの居なくなったパーティーとしては喉から手を出す程に欲しい逸材だ。

 何この人、万能タイプの魔法使い?

 っていうか、またニンゲンGとか出て来たし、なんだよこれ?


 しかし、よく見てほしい、彼女のスキル欄にひっそりと鎮座する存在を。

 恋する少女の魂バーニン・ファイアとは、前にユイアさんが持ってたんだ。

 そしてバルス君が気付かず言った。

 この能力は、誰かに恋をした女性だけが手に入れられる魔法なのだとか。


 つまり、彼女は恋をしている。

 誰にって? そんなの見りゃわかるだろ。カイン様だよ!

 そんなカインとネッテは普通にメリエの今までの戦績とスキルを聞いている。

 丁度索敵が欲しかった二人としてはこの戦力増強は嬉しいものだ。

 でも、バッドエンドルートがちらついて見えるのは僕だけだろうか?


「と、透明人間さん、ど、どうしたら……」


 一人だけ、僕と同じ危機感を抱いた苦労人が耳元に寄って来た。

 僕としてもこれはどうにもならないよリエラ。

 僕はリエラの肩を叩いてネフティアに視線を向けさせる。

 タイミング良く、ネフティアがグッドマークを作って見せた。


「いや、良くないから。絶対良くないから」


 涙目のリエラ。君が何をしようとしてもどうにもならないよ。

 そう、成るように成れだ。一緒に見守ろう。

 新しい恋愛を暖かく見守ろうじゃないか、あは。あはははは。モゲロ、モゲちまえ。


 紹介所は『俺の王国』という国に喧嘩売ってんじゃないかと思える名前の店だった。

 どうやら入口からカウンターに向うと、個室に連れていかれてそこで詳しい商談というか、購入する場所を見たり質問したりするシステムのようだ。

 豚とエルフの夫婦で連絡すると、直ぐに向こうと確認を取ってくれ、一つの部屋へと通された。


 部屋はかなり狭い。

 僕ら全員が入ると妙な圧迫感が生まれるほどだ。

 というか、こうやって見ると結構な大人数だよね。

 一度でも一緒に冒険した知り合い全員集合させると後四人は増えるけど。


 プリカに連れて行かれたワンバーカイザー……大丈夫だろうか?

 そういえばバルス君たちはどうなったかな?

 戻ってきたらユイアと出来てたり……あの二人だと進展無さそうだな……


「ぶひぶひ?」


「うーん。でもあなた、今の人数ならこれでもいいですけど、多分増えるわよ?」


 どうやらこじんまりとした家を指差したバズがこれでいいんじゃないか? とエンリカに告げたようだ。

 しかし、エンリカはお気に召さなかったらしい。というかどれだけ子だくさんにする気ですか?


 こういったことが何度もあって決まってなかったのだろう。

 困った顔のバズさんが皆に助けを求めるように視線を向けてきた。

 カインとネッテはこれでいいんじゃないかと同意していたが、クーフは顎に手を当てフムと唸るだけだ。


「エンリカはどれくらいの広さが理想的なんだ?」


「そうですね。今の私達ならこの家でもイイとは思うんですけど、ほら、オークの子って直ぐ生まれるじゃないですか。これから何度も子供が出来ると仮定すると、何人居ても収容できる場所がいいというか……」


「いや、普通に無理だろ。王城にでも住む気か。貴族邸になんて住んだら貴族連中が黙ってないだろうし……」


「お父様から爵位とか貰ってないから二人は平民扱いなのよね。だからこの国に住むならこのくらいの家で十分過ぎるはずよ。これ以降は身分の壁が……」


「いや、待て。一つ、いい案を思いついたぞ」


 クーフが珍しくニヤリと不敵に微笑んだ。

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