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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四部 第一話 その自称神との遭遇を僕以外は知らない
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その自称神の独白を、僕は知りたくなかった

「いやー、知り合いの女性やらが異世界創作をしていてね。私も作ってみたいとね。というわけで試行錯誤しながら地球や知り合いの創った世界を参考にゲーム感覚で作ったは良いんだけど、なんか世界観におかしい魔物も作ってしまってね。そういう魔物をこうやってダンジョンに配置する事にしたんだよ」


 はぁ……

 何も聞いてないのに話しだしたグレイもとい自称神。

 彼はまるで自慢するかのようにこの世界を作った理由を話しだす。

 やっぱり地球を参考にしてたのか。


「それでだ。多分君なら一人でここに来るだろうと思ってここにこれを設置しておいたんだ。ああ、ちなみに、返答は受け付けないよ。私はここにいないからね。これはアレだ。分かりやすく言うとビデオレター。そう、ビデオレターだと思ってくれ。ビデオレター。うん、ビデオレターだ。今度からこういう連絡法をビデオレターにしておこう」


 全身映像のビデオレターとはまた随分と未来の技術ですね。

 とでも突っ込めばいいのだろうか?

 いや、むしろどんだけ気に入ったんだよビデオレター。


「私は自分が創作した世界の時間軸を早めて時代を早送りしていたんだ。クーフ君はおそらく君とほぼ同時期にこっちに来たのかな? ちょっとだけ速かったんだろうね。彼は1000年程前に出現して魔王討伐に参加した、でもそれも早送りで私は飛ばし見してしまったよ」


 知らねぇよ。


「本当はね。適当に興亡を眺めた後に進化した世界を知り合いたちに解放しようと思っていたんだ。せめて魔王が生まれて人類存亡の危機か討伐行こうZeぐらいがちょうどいいかと思っていたんだけど、君の居る今の時代じゃゴブリンキングが最大の脅威だったね。それでも、君を見付けてから時間の流れを止めて見ているよ」


 なんでだよ!?


「君はこの世界にとってバグなんだ。本来なら肉体を持って出現しているはずの異世界人でありながら、存在を世界に認識されていなかった。本来ならただのバグとして消去しても良かったんだ。君の周囲にいると他の現地人たちもバグの影響を受けてしまうからね。ほら、エンリカさんとか無駄に強力になってるだろ。アレは君の影響のせいだ」


 今明かされる衝撃の真実。

 エンリカの暴走エロフ化は僕のせいだった!

 なにその責任転嫁?


「まぁ、そんなわけで、致命的なエラーが起こるまでは面白いから放置しとこうって思ってね。他の上位世界人共々見させてもらっているよ」


 なんか嬉しそうに話すグレイに、ちょっとイラッと来てるんですけど、殴っても良いですかね?


「だから、多少調整して君もこの世界のスキルを覚えられるようにしてあげたんだよ。むしろ感謝してほしいね。初めからバグってるから設定したスキルも結構変質してるけど」


 僕、完全に世界のウイルス扱いじゃないか。

 それでいいのか神様?


「私たちとしては君がいることで世界が面白くなるなら大歓迎だよ。まぁ致命的なエラーが起こるようならその時は対処させてもらうけど、普通に世界を過ごすだけなら問題はないと思う。これからも理解不能のイベントを起こしまくってくれ」


 神は死んだ。

 いや、こいつは神だけど神じゃない。僕を見て楽しんでる悪魔のような存在だ。


「ああ、そうだ。一人ずつの闘いが終わったらぜひともパーティー戦を挑んでくれ。ここに出て来るボスはここにしか出て来ないんだ。前回来たパーティーも闘わずに帰ったから誰も遭ってくれてないんだよね。折角だから体験して行ってくれ。無礼でおじゃるの上位は何が良いか、必死に考えたんだ」


 本当に知らないよ。めんどくさい。

 誰が命の危険を晒してまで未見の魔物を見に行かねばならんのだ。


「そうそう、この映像が終わったらそちらの部屋に向うといいよ。丁度マジックミラーになってるからこの試練場を見ることが出来る。皆の闘いを見ておくといい。ここの敵は、自分自身だ。もちろん。君は存在自体がバグってるから君だけは試練を受けられないけどね」


 ああ、だからこのグレイがでてきたのか。

 まだなにかグレイが話していたけど、もういいや。

 僕は閉まったままのドアに向って話が終わるのを待つ。


 いや、「今、そんなばかなって思っただろ」とか、前から予想できてたよみたいに言われても、話自体聞いてなかったからそんな反応できませんよ?

 グレイは何が話したかったのか、色々と長話をして消え去った。

 そしてドアが開かれる。


 僕が言われた待機部屋っぽい場所に向うとドアが閉まり、皆がいる方のドアが開く。

 向こうの部屋に似てるな。テーブルと椅子があるからこれに座って観戦しとけってことらしい。

 あと、奥の方に起動してない魔法陣っぽいのがある。


 カインたちの叫びが聞こえた。

 「アルセェェェェ」と切羽詰まった声からして……ああ、やっぱり。

 試練の一番手はアルセがやるようです。

 一人試練の部屋にやってきたアルセは不思議そうにこてんと首を傾げる。


 何せ先程まで居たパーティーは誰も存在せず、目の前には水晶体のある床以外何も無い。

 大丈夫かなアルセ?

 僕が何か出来ればいいんだけど、試練だし、死ぬ事はないよね?

 アルセが歩く。そして出現するアルセの幻影……って、あれ?

 アルセの前に現れたのは、双葉のアルセイデスだった。


 今のアルセじゃなくて僕が出会った頃のアルセだね。

 ああ、自分自身といっても昔の自分に打ち勝て。とかそんな感じなんだ。

 じゃあ殆どの仲間は大丈夫そうだな。

 アニアとか最近仲間になった皆はちょっと不安だけど。

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