その犬? がなんなのかを、彼らは知らない
皆さんはハンバーガーというモノをご存じだろうか?
まぁ、見たことない人はまず居ないと思う。居たとしても生まれたての子供とかぐらいじゃなかろうか?
見ていなくとも存在はほぼ知っていると思う。
あれだ。赤毛に白い顔で手からビーム放出するおっちゃんがテレビでCMしてたりする某有名ファーストフード店やらなにやらで売られている、パンとパンの間にミンチ肉を平べったくして焼いたのと野菜を乗せた、ただの食べ物である。
そう、断じてその上と下のパンが口のように閉じたり開いたりしているのをハンバーガーとは呼びたくない。
それもびっしりと鋭い歯が生えているので凶悪に見える。
とすると、ハンバーグ部分は舌になるのかね。
でもレタスっぽいのやトマトの輪切りっぽいのがハンバーグの下に見え隠れしてるし、上の方にはピクルスと思われる緑色が見える。
そんなワンバーガーが二匹、僕らに向って襲いかかってきた。
うん、これはない。
どう見ても魔物として存在するはずの無い変な生物だ。
こんなのに食い付かれたくはない。
確定だろう。
なんとなく理解してたけど、この世界は日本を元に作られているはずだ。
いや、日本がこの世界を元にという可能性もちょっとあるかもだけど、参考に使われてることは確定してもいいだろう。
偶然の一致だとはとても思えない一致する生物が多過ぎる。
ツッパリもロリコーンもタリアンもどう見ても向こうに居た人種だし。
きっと他にも神様の遊び心が世界中にちりばめられているはずだ。
そしてそういう奴らに限って無駄に強い。
このことに意味があるのか、ただの悪ふざけなのかは知らないが、きっと僕らが冒険すればするほどに更なる意味不明な存在と出会う事になるだろう。
あれか? この世界の創造神は僕にツッコミさせたいがためにこの世界に送り込んだのか?
「ドルァッ!」
先制攻撃とばかりに辰真が走る。
少し遅れてカイン。
ワンバーガーを拳の一撃。
グシャリ、ではなくズボリと上蓋のパンに拳や剣が沈み込む。
「なんだこいつ、柔らかい!?」
「オルァ!?」
「二人ともどいて! コ・ルラ!」
痛みを感じていないのか気にせず噛みつこうとしてくるワンバーガーに、ネッテの氷魔法が襲いかかった。
直撃したワンバーガーが凍りつく。
もう一体は遅れて振るわれたクーフの柩によりぐしゃっと潰れた。
「おおーすごいすごい」
アニアとプリカは完全に応援だ。
二人して手を叩いている。君等参戦する気ないね。
まぁアルセとネフティアも僕と手を繋いでるから問題ないんだけど。
「声、耳を澄ませば結構聞こえるわね」
「ワンバーガー、結構いるみたいですね」
魔物図鑑に登録したらしいネッテとリエラが図鑑を覗きこんでいる。
「カイン、あれ、食べられるみたいよ」
「え? マジか」
「ホントですか! じゅるり」
凍らせたワンバーガーを破壊したカインは驚き、プリカが潰れたワンバーガーに舌舐めずりを始める。
いやいや、本当に食べる気ですかプリカさん。
完全に食欲魔人だな。エンリカが嫉妬の大罪手に入れてたし次はプリカが飽食かね?
その刹那、プリカを淡い光が包み込んだ。
って、まさか……
プリカ・ドゥ・にゃるぱ
種族:エルフ クラス:村人
二つ名:食欲魔人
状態:幸福
装備:エルヴンボウ、にっちゃうパンツ、エルフの普段着、エルヴンアーマー、普通の矢×300、矢筒
スキル:心眼
ドリアードヒーリング
ウンディーネヒール
シルフズトーネード
ワイドアロー
サイドワインダー
ミドルマーダー:食材に対して即死効果増大
常時スキル:豚人語理解
魅了無効
麻痺耐性・小
命中率阻害・小
並列思考
大食い
幸福患者
種族スキル:精霊魔法Lv3
精霊視
森の民
魔物アンテナ
二つ名が増えました……と。
どうしよう? プリカ戸惑ってるけど気付いてないみたいだ。
それにワンバーガーが再び近づいて来たのでプリカについては皆が保留にしたらしい。
近づいていたワンバーガーは6体。その中に一匹、毛色の違うワンバーガーがいる。
なんか物凄いグルグル言っている。
獰猛なそいつにそっと魔物図鑑を掲げる。
名前は……ワンバーサーカー……?
狂犬病に掛かったように凶暴、食用可能。そしてドロップアイテムにチーズバーガー……何こいつ?
「ご飯来たぁ――――っ!!」
完全に我を忘れてバーサーカーみたいになったプリカが一人突出。
驚くカインたちを無視して矢を持つと、短剣を振るうが如くワンバーガーの解体に取り掛かる。
これが彼女の持ってた能力、ミドルマーダーなのだろう。
食材に対して即死効果増大とか書かれてるし。
って、待った、それワンバーサーカー! ワンバーガーじゃないですよプリカさん!?
ワンバーサーカー
種族:ファーストフーダー クラス:ワンバーガー
・両手両足の生えたハンバーガーに犬耳が生えた魔物。
あの独特の美味しそうな匂いを醸しながら駆けて来る。
犬耳と両手足以外は食用可能。狂犬病に罹っているかのように獰猛。
ドロップアイテム・チーズバーガー・犬耳




