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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第六話 その結婚式にでた食事の素材を僕らは知る気はない
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第三章エピローグ・その女が動きだしたのを、皆は知らない

 カイン一行がエルフニアにいたその頃、マイネフラン王国に一台の牛車が到着した。

 モォーと鳴きながら糞を落とす牛が二頭。

 牛車の前輪部中央に取り付けられた糞取り用器材が糞を地面からこそぎ取り、車の底に取り付けられた牛糞保管袋へと入れられる。


 馬車と比べ、牛車の歩みは遅い。

 急ぎ旅であれば乗合馬車を使えば良いのだが、彼女の旅は急ぐものではなかった。

 どうせ目的は知り合いを驚かす程度の顔見せと、冒険者ギルドへの正規登録、そして新しい彼氏を探すのが目的だ。


「しっかし、おらが村から冒険者がでるのは驚きだぁな。つってもあんたらとの付き合いもそれ程時間が経っちゃいねぇんだが」


 牛車を制御している御者のおじさんは、麦わら帽子を被った農村のおじさんだった。

 マイネフラン王国へ牛乳を卸すために向うとのことで、彼女も御一緒させて貰ったのである。


「いやぁ、今日も青空でえがったなぁ。雨でも降ったらてぇへんだったぞな。んだばお前さんは晴れ女ってか? ついとるなぁ」


 ツイてるわけがないわ。彼女はため息交じりに空を見上げる。

 どこまでも青く澄み渡る大空。

 何かの鳥が一羽、大空を飛んで行く。


「まぁ、片田舎におったんじゃし、都会は初めてだろが? 驚くぞぉ」


 楽しみだわ。とばかりに息を吐く彼女は、ようやく見えた城門に視線を向ける。


「んじゃあ、おらはここまでだぁ。がんばんなぁセレディちゃん」


「ぶひっ」


 気のいいおじさんに別れを告げ、牛車からでた豚人間、セレディ・オークは背伸びをした。

 新たな嵐を告げる幕開けは、とても澄んだ空だった。

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