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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第六話 その結婚式にでた食事の素材を僕らは知る気はない
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その魔物の強さの秘密を、彼らは知らない

「クーフ、辰真、全力で行くぞ!!」


 状況を理解したカインはいち早く我に返ると走り出す。

 クーフと辰真に指示を送ると剣を手にして一直線にロウ・タリアンへと駆けていく。


「理解した!」


「オルァ!!」


「カインさん私もッ!」


 慌てて動き出すリエラ。


「リエラは待機だ、お前が手に負える相手じゃねェ!」


 しかしカインがリエラを押し留める。

 当然だ。バズ・オークが吹き飛ぶ程の体当たり、リエラが喰らえば確実に、重傷、下手したら死にかねない。

 なおも向かいたそうにしていたリエラの肩を掴んで僕が引き留める。

 彼女の代わりに動きだしたのはネフティア。


 プリカも弓を番えようとするが、アニアが気付いてソレを止めていた。

 命中率の悪い彼女ではフォローのつもりでもカインたちの足を引っ張ることになりかねない。

 今、ここでそんな危険行為をされれば全滅は必至だ。


「リエラ、プリカさん、二人はアルセを守っていて、絶対に手を出さないで。私達が負けたら……妖精郷にエンリカを連れて逃げなさい」


「あ、あの、私は?」


 ミクロンさんは当然待機組です。バンリの相手でもしといてくれ。

 ミクロンを無視するようにネッテが魔法を唱えだす。

 彼女にも既に余裕はない。

 敵の強さは、おそらくゴブりん級。要するに魔王並みの強さと思って構わない。


 現に、神速突破と千進突牙斬、ステータスブーストを併用したカインを相手にしても普通に対応しているのだから驚きだ。

 いや、彼以外の二人を相手取っても普通に対応しているロウ・タリアンには脱帽モノである。


 なにせ辰真とクーフとカインの連携攻撃ですよ? 殆どダメージらしきモノを喰らうことなく対応できるとか、どんな化け物だよ。

 しかも、ロウ・タリアン。ロウ、ハイ&ロウのロウ、つまり下級、下っ端。だから上位個体にタリアンが居るはずだ。その次はハイ・タリアンか? 化け物級過ぎる。


「コ・ルラリカ!」


 ネッテの魔法で血塗れ大根が凍りつく。

 間髪容れずに打ち込まれるチェーンソウ。

 大根を買い物籠にしまったロウ・タリアンは鋼の人参を取り出しチェーンソウを防御する。


 耳障りな音を響かせ食い込み始めるチェーンソウ。

 これはマズイと気付いたロウ・タリアンは買い物籠から新たな何かを取りだした。

 それを、周囲に撒き散らす。

 何だ今の?


 と、思った瞬間、地面からボコリ、ボコリと出現するタマネギン。

 そういえば装備武器にタマネギンの種とか持ってたな。

 さらに買い物籠から取り出される悪魔の男爵芋。


 それをネッテに向けて投げて来た。

 驚くネッテより先にリエラが反応して葛餅がアルセソードで切り裂く。

 その刹那、悪魔の男爵芋が炸裂した。


 爆破されたように飛び散る破片でリエラとネッテが被害を受けた。

 散弾銃を受けたようにジャガイモが二人の身体を撃ち抜いて行く。

 僕は即座にリエラから魔銃を奪うと回復魔弾を二人に発射。


 今のはやばかった。

 いや、現在進行形だ!?

 身体に入ったジャガイモが芽吹いたのか痛みを訴え出すリエラとネッテ。

 どうしたらいいのか戸惑っていると、アルセがリエラのカバンからクリア・オール弾を取り出し僕に笑顔をみせた。


 偉い、偉いよアルセ!

 僕は即座にクリア・オール弾を二人に打ち込む。

 まるで身体が異物と認識したようにジャガイモの破片が飛び出て地面に落ちた。


「と……アルセ、ありがと」


「アルセが助けてくれたの? ありがとアルセ」


 リエラとネッテは即座に気を取り戻して起き上がる。


「辰真、タマネギンを頼む。打撃で倒せるお前が適任だ!」


「オルァ!」


 強い。強過ぎるぞロウ・タリアン。

 カインの攻撃を、ネフティアの攻撃を人参一本で受け流すおばさん。

 クーフの一撃には【邪魔だよそこどきな】の一撃でスタンさせて彼を攻撃させないようにしている。


 ただ闘うだけじゃない。戦術を考えている。

 カインたちも今のままじゃダメだと気付いたのだろう。さらに苛烈に攻め立てる。

 タマネギンの数が多いので辰真だけでなくプリカやアニアが参戦。リエラも遠くから葛餅任せで一刀両断。

 葛餅にはタマネギンの汁も効果が無いらしい。


「くたばりやがれぇぇぇッ!」


 カインの渾身の一撃。が、カウンターのように咆哮・激が轟いた。

 クーフとネフティアには効かなかったが、カインの身体が一瞬止まる。

 彼自身もマズいと顔に出ていたが、どうしようもなかった。


 突撃バーゲンセールの一撃がカインを襲う。

 慌てたようにカインを庇うクーフ。

 その柩を持った両手がバキリと鳴った。


 突撃バーゲンセールは突進の一撃を攻撃力三倍で繰り出す最悪の一撃だ。

 さすがのクーフもこれを受け切るには骨が折れるらしい。

 カインが殺しきれなかったロウ・タリアンの一撃を受けて吹っ飛ぶ。

 だが、こちらも負けちゃいなかった。


 ネフティアの渾身の一撃がロウ・タリアンの首を薙ぎ散らした。

 数多の犠牲を出したものの、どうやら僕らはロウ・タリアンを倒しきったようだった。

 カインが地面に激突し気絶する。

 それでも、ネッテ達は安堵の息を吐いていた。

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