表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第六話 その結婚式にでた食事の素材を僕らは知る気はない
204/1818

その泉の持ち主を、彼らは知らなかった

 うわぁ……

 アニアに案内されながらやって来た泉を見て、僕は思わず呆れてしまった。

 だって、これ……巨大な泉ではあるものの、タイダルネクツァの巣にしか見えません。


 おそらく昔に討伐されたのだろう、泉の底は見えないが奴が存在しているようには見えない。

 何体かの妖精が水浴びしたりしているけどタイダルネクツァが出て来てないので主は存在していないと見るのが妥当だろう。


「ここはね。昔妖精郷にやって来た冒険者の人がタイダルネクツァを倒して手に入れてくれた泉なの」


「タイダル……なんですかそれ?」


 うん、リエラが知らないのも仕方ないよね。見る? 僕の図鑑には登録されてるよ?

 死んだ状態でもちゃんと登録されてよかったと言うべきか。


「うーん、深いわね。水浴びがしたいけどちょっとこれは危険かな?」


「ふむ。桶か何かに水を入れてはどうだ? 五右衛門風呂なら作れるのではないか?」


「なにそれ?」


 クーフが異世界知識だしました。

 いやいやクーフさん、こっちの世界ドラム缶とかありませんから。


「入れ物が無いからなんとも言えないわね。女性陣が水浴びするにもこれはさすがに溺れそうだし、隠せるような場所もない。ダメね」


 タオルで身体を拭くだけにしましょ。とネッテが告げて、それが採用された。

 テントを設置してそこで女性が先に、男性が後に入って身体だけ拭くらしい。

 布切れなら幾つもあるらしいから問題はないようだ。


 女性陣がテントに入る間、男性陣は薪を集めて石で囲んで鉄板敷いて、バーベキューの如くオリー焼きを始める。

 そんな光景を尻目に、アルセと共にテントへと入った。

 それに気付いた半裸のリエラがああっ!? と声を荒げる。


「どうしたのリエラ?」


「と、と……あ、いや、その。えっと……なんでもないです」


 アルセの背後にいる存在にジト目を送るリエラさん。

 今、物凄い速度で心のシャッターが切られております。カシャカシャカシャっと、眼福。眼福ですよっ。

 リエラは服を着直すと、アルセのもとへとやって来る。

 あ、やっぱ無理ですか?


 アルセを連れてネッテのもとへと押しやると、僕の首根っこ掴んで引っ張る。

 テントから放り出すと、閉めだされてしまいました。

 無言が痛い。

 違うんです。普通にアルセを連れて行こうとしただけで、見る気はなかったんですっ。

 本当です。つい見てしまっただけなんです。出来心だったんですっ!!


「リエラさんー? 何してたのぉ?」


「なんでもないですよプリカさん。ちょっと虫がいた気がしたから放り出しただけです」


 だが、だがだ! 僕はやったぞ。CGに収めたんだ!

 今のうちに確認しとこう。夢中で心のシャッター押しまくったから大量になってるはず。

 取捨選択しとかないと……って、なんだこれ?

 一つも画像が増えてない!?

 おかしい、シャッター押しまくったのに!


 あ、待て、何か新しい能力できてるぞ。

 妄想動画? え? 動画再生できるんですか!?

 おお、おおおおおおっ。これだ。このスキルがほしかったんだっ!!


 僕が見た光景しか見れないけど、これはイイ。イイものだ。

 今さっき見た光景を視界の片隅で再生。

 凄いなこの便利機能。

 まるでテレビ見てるみたいだ。


 ネッテとプリカのサービスカット、非常に御馳走様でした!

 エンリカはまたお腹膨れ始めるぞ。もうすぐ二人目誕生か?

 そして地味にマッパになってたアニア。胸だけは有るね。小さいけど。

 ネフティアさんに結局捕まっていたので身体を見ることはできませんでしたけどね。ちくしょう。


 ネフティアはまだ白いシャツ? ワンピ? キャミソールって言えばいいの? 何かよくわからないワンピース丈の下着みたいなのだけを付けて順番待ちしていた。アニアを手に持ったまま。

 うん、別に僕はロリッ娘には興味ないので問題無しです。

 アルセ? 蔦で隠してるのでいつも通りです。あ、でも白いワンピースを脱ぎ散らかしてたな。慌ててネッテが回収してたけど、そこで終わりだ。リエラ様に連れ出された。


 ふむ。こうやって見直してみると惜しいとしかいいようがない。

 もうちょっとこう、サービスシーンを、この先に有っただろうにリエラに放り出されたのが悔やまれる。

 残念でなりませんよ僕は。


「そういやよクーフ」


「なんだ?」


「五右衛門風呂……だっけ? それってどんなもんなんだ?」


 カインとクーフがオリーを焼きながら世間話を始めていた。


「ああ、あまり記憶が定かではないのだが……五右衛門という男が……作った風呂だ」


 待って。クーフさん、ちょっと待って。今思いだそうとして諦めただろ! 適当に言ってるだろ。

 異世界だからって適当な情報流そうとしてるでしょ!!

 五右衛門が処刑された釜から来たんだよっ。下にスノコ敷いて釜茹でにならない熱さの風呂に入るのが五右衛門風呂だよ!


「へぇ。どんな風呂なんだ?」


「うむ。こういった円筒形のモノに水を張って下から熱するのだ」


 それドラム缶! しかもスノコ敷いてないから釜茹で確実だよ!?

 僕のツッコミは誰にも届かず、カインは間違った知識を習得したのだった。

 試さないこと、切に願うよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ