表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
1792/1818

三百四十二・その戦いに勝機があるのかを、彼女は知らない

SIDE:シシリリア=A=ライドノット


 なし崩し的に、仲間として一緒に付いて行く事になってしまった。

 戻る気は無かったんだけど、なんで、こうなったんだろう?

 魔物達は急に消えた。

 私が乗っていた魔物も唐突に消失し、空中に投げだされた私はあろうことか空を駆けるババァに救われたのだ。

 そのせいでGババァもバグが感染したらしい。

 なんだか私が感染源で皆に感染させてると思うと申し訳ない気分になる。


 とにかく、忽然と敵が消えた以上。街を守る意味がない。

 なので、一先ず指示を仰ぐため、そして現状を把握するために中央であるアーデの大樹とやらの元へと向うことにしたのである。


 他の面々も同じだったようで、自然アーデの大樹の元で全員が集まった。

 最初こそ和気あいあいとした様子だったものの、国王と反乱軍首魁がばったり出会ったことでひと悶着。

 それも灼上たちが逃げ戻ってきたことで終わりを告げる。


 彼らから知らされた魔王の出現。それは異世界の神のことだったようだ。

 封印された魔王とかいうからもっと別のモノかと思ったら、結局邪神のことなんじゃない。

 いや、待てよ。その邪神が復活させた魔王がこの国滅ぼすのかもしれないわね。

 むしろ、アーデがここで大樹にならなきゃ問題無かったのでは?

 んー、違うわね。むしろアーデがここで大樹になったから出現するはずだった復活の魔王がこちらの世界に出て来れなくなった、とか?


 さすがに証明できないから何とも言えないわね。

 しかし、邪神、かぁ、私、これってソイツに反逆してるってことになるのかな?

 バグったスキルの中に邪神を裏切ることで能力が変わるのがいくつかあるんだけど、効力発揮してるようには思えないし。

 やっぱりバグってるだけで表示とはかけ離れた能力だったり、何の効果も出なかったりってことなのかしら?


「ピピロさんっ!!」


「っ!!」


 不意に、リエラという女が叫ぶ。

 ピピロが反応し、巨大な、それはもう山のような盾を出現させ、防御体制に入る。

 シールドリフレクタ―、と彼女が唱えた次の瞬間、栄華を誇ったグネイアス帝国は、一瞬の後に灰燼に帰した。


「……え? あ、わ、儂の、国が……」


 黒く変色した大地の上に、人々だけが取り残される。

 中央には虹色に輝く巨大な大樹。それが人々だけを守り通したようで、民間人が不思議そうな顔で周辺を見回していた。


「お、お父様っ!」


 王城の奥に押し込められていた姫やお后様も地面に倒れており、何が起こったか理解できず、呆然と佇む王の元へと集う。


「何が、起こった?」


「こりゃぁ、一体……」


「ガーランド、とにかく民間人の避難をっ、ここは戦場になるわよっ」


 戦場……確かに、敵が目指すのはここだろう。

 しかし、戦場になるかと言えば疑問だ。

 なぜなら向こうは神、私達には理解不能な存在だ。

 幾ら英雄たろうとも、理解できない場所からの攻撃を防ぐことなど出来はしない。


 漫画の登場人物が読み手を攻撃など出来ないのと同じだ。

 私達は物語の登場人物で、邪神は、読み手、この世界を破壊するのは本を破る程度の労力で、私達には抗う術すらないのだ。


「やぁやぁ、諸君、寄り集まって無駄な抵抗かい?」


「あれは?」


 黒い人型が宙に浮かんでいた。周囲に闇を侍らせて、時折黒い紫電を走らせて。

 やがてそれは、私達の前にゆっくりと降りてくる。


「僕の名はバイスグリムデ。黒い人型なのは勘弁してくれたまえ、僕だってわざわざ姿を晒して自身を危険にさらすような被虐体質ではないのでね。宣言しておこう、この世界に関して僕には敵対の意思は無い。あくまで手に入れたいのはこの世界の創造神であるパンテステリアだ。彼女が僕のモノになれば君たちは無事だ。だが、彼女から返事が来ない間は君たちを一人づつ無力化して行こうと思う。悪く思わないでくれ、君たちは悪くない。ただ僕がパンテステリアを手に入れたいだけだ。だから……神のために死んでくれ」


 一方的に宣言し、ソレは人々の逃走を手伝っていたガーランドに手を向けた。

 黒い光が迸る。

 気付いたガーランドが視線を向ける。それだけしか、彼は動けやしなかった。


「ガーランドッ!?」


 が、彼が動けずとも動ける存在は別にいた。

 カバーを発動させて彼の前に割り込んだピピロが光を跳ね上げる。


「あ、あぶな……」


「ほぅ、意外とやる。だが、これはどうだ?」


 放たれたのは二連の黒い光。途中で左右に別れ、大きく弧を描いてガーランドに襲いかかる。


「こ、これは……」


 どちらを受けるか、迷いで判断が遅れる、そんなピピロの真後ろへ、光が襲いかかった。


「しまっ!? って、Gババァさん!?」


 無防備だったガーランドさんを抱えたGババァが空に逃走。

 黒い光は互いに同じ場所へと向い、対消滅していった。

 なんとか逃げられたみたいだけど、どうすんのよこれ、神を相手にこっちの神欠いた状態で勝てるの?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ