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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
1782/1818

三百三十二・その一対一の闘いが始まるのを、彼らは知りたくなかった

 SIDE:矢田修司


 正直、素直にすげぇと思う。

 リエラとか言ったか? ずっと俺らの傍で見えない存在として一緒に居た女らしい。

 今はアーデの大樹頂上で羽の生えたカメレオンの群れを単身で迎撃している。


 手伝うべきかと思うンだが、あいつ一人で十分過ぎるみたいだし、Gババァがフォローに入ったから他の面子が手伝える余地がねぇンだよな。

 とりあえず街門他の三方向が手薄だし、正門以外のフォロー、さっさと行った方がいいンじゃねぇの?


「よし、アーデの木は二人に任せよう。皆、正門は灼上君たちがやってくれてるから他の場所をお願いするよあ、いや、リエラ君一人でも十分か。Gババァは別の場所で私がこちらに付こう」


「そりゃいいがよ、誰がどこ行くんだグーレイ? さすがにこの面子で空を相手取れるのは限られてるぞ?」


「うん、とりあえず……南は問題無いから北と東西か」


 少なくとも三人対空砲火が可能な奴が居た方がいいよな? エストネアとGババァか? あとは尾道のジジイが遠距離できるな。


「内訳を発表するよ。まずは東。ガーランドさんたちにお願いしても良いかい?」


「おぅ。なら東は絶対死守だな。任せな」


「ジャスティン君、エストネアさん、ニャークリアさんか、後誰か欲しいかな?」


「欲を言えばGババァかな。でも対空メンバー考えたらこっちはエストネアが対応するべきか」


「じゃあ対空役、私が行くわ」


「おっと、なら私も行こうかな?」


 メロンとラウールが付いて行くようだ。


「それから、西側、小玉君と杙家さん、リックマンさん、矢田君、とGババァでなんとかできそうかな?」


「やるだけはやってみるけど」


「Gババァさんがいるなら大丈夫っしょ」


「ってことは、私達は北になるのね」


 クラレットの言葉にグーレイが同意する。


「尾道さん、ピピロさん、ノヴァ、カリオン、くまっぴょろん、ゴールデンオカブ、アリーシャさん、クラレットさん、ギュスターブ君で北を頼むよ。できるかな?」


「が、頑張ります!」


 正直余りモノチームにしか見えないが、まぁ対空砲火は尾道のジジイがいるし、回復薬のアリーシャもいるからなんとかなる、か?


「それから最終防衛ラインは私とリエラ君、パッキーもアーデの大樹から動きたくないみたいだからこの三人で何とかするよ。バグ君、もしもの場合はお願いするけど、全てを出すのは止めてくれよ?」


 バグ……ねぇ。俺がバグったらどうなンだろう? バグつってもいろいろとあるみたいだしな。敵対的だとモザイク人みたいになっちまうし、味方と考えられていれば意味不明ながら超人みてぇな能力を手に入れられるらしい。


 リックマンのおっさんも尾道のジジイもバグって能力開花したんだと。

 俺は……多分無理だろうな。


「そら、矢田行くぞー」


「おっさん、うっせぇ。ったく、リーダーいねぇじゃねぇか、いいのかグーレイ?」


「君が暴走するようならキスしていいと告げてあるからね」


 オイ待て、それは、クソババァのことか!?

 冗談じゃねェぞ。ったく、今回は大人しくしといた方がよさそうだな。クソババァとなんて絶対に御免だ。


 西側の街門にやってくると、既に場は戦場と化していた。

 市民兵士関係なく戦えるモノは武器を持ち、矢と魔法で空の敵を攻撃、遠距離攻撃を持たない奴は地上の部隊と敵対していた。


「凄いな、冒険者と兵士だけでも十分過ぎるんじゃないかな?」


「さすがにそれはだめでしょ檸檬」


「ふぇっふぇっふぇ、それじゃあ。行こうかねぇ」


 Gババァが空へと駆けていく。

 大樹の方はリエラ任せらしい。あの女だけで十分なのかよ。つくづくバケモンだな。

 不良界隈でイキってた自分が矮小に思えてくる。


「ん? ありゃぁ」


 ふと、遠くの空から現れたマンタモドキに視線が向う。

 背に何かが乗っている。


「チッ、あの女まだ向こう側かよ」


 その空飛ぶバケモノは、何故かこちらに真っ直ぐ突撃して来る。

 Gババァが迎撃に向かうが、上に乗ったあの女が何かしら告げて……迎撃しねぇのかよ!?

 なんだ? むしろ、あいつを避けてる?


 そのまま巨大マンタは俺の居る場所に……

 乗っていた人物だけが落下してくる。


「おいおい、なにしてンだ、クソ女?」


「矢田……一対一サシで勝負なさい」


「はぁ?」


「どうしても、どちらに寄るとしても……あんたとだけは決着付けないと進めないのよッ」


 意味分かンねェ。シシリリアの奴、頭沸いてンじゃねーのか?


「これは、ケジメよ」


「はっ、勝とうが負けようが何の得にもねーのにやるかバーカ」


「分かってる。あんたが勝ったら好きにしていいわ」


 は?


「私が勝ったら、八つ裂きにするけど」


 おいおい、馬鹿なのかこの女?


「リックマン、止めんなよ?」


「お、おい、待ちなさい、シシリリアさん、悪いことは言わない。こんな奴と闘う意味などないだろう? しかも負けたら自分を好きにしていいなど、女の子がいうべきでは……」


「うるさいっ! こいつだけは、こいつだけは殺しておかなきゃ気が済まないのッ! あれだけ好き勝手やってたくせに、なんで仲間面できんのよッ」


「ハッ、ようは俺が気に食わねェ、そんだけだろ? いいぜ、掛かってこいよクソアマ、俺の奴隷にしてやんよっ」


 ったく、面倒臭ェ性格だなこいつは。

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