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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
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三百十八・その少女の決意を、彼らは知りたくなかった

「さて、落ち付いたかな?」


 狭い隠れ家の中、円陣を組んで座った僕らはグーレイさんに視線を向ける。


「これから私達が行うべき行動について語ろう。正直やる事が一気に増えてちょっと考えをまとめたくもあるからね」


「おぅ。んじゃ、どんなのがあるか頼むぁ。グネイアス帝国関連だけじゃねぇってことだな?」


「ええ。それではまずは1番目としてグネイアス帝国のクーデター、いや反乱? に関して何かしら介入すべきかどうか」


「ぜひ介入してほしいんだけど?」


「でもよぉシルバー、グネイアス帝国は宝物庫云々で俺らを指名手配してんだろ?」


「まだしてませんよ、救助を待ってますから」


「そこはせめて助けてください位言ったらどうなのよ?」


 矢田に朝臣さんにと不平不満をぶつけられ、シルバーさんが少し不機嫌そうになっている。


「そして2つ目。アーデに付いてなんだけど、どうやら独自に行動していて大樹化する直前になったらしい」


「大樹化にゃ?」


「あたしからも伝えようかねぇ。ここから丁度世界の裏側に位置する場所に世界樹がおっての、そ奴が言うにはこの世界はそろそろ危険らしい。孫がこの地の特異点で大樹化することでこの世界を崩壊から繋ぎとめることができるらしいんじゃ」


 僕が説明できないからかGババァが説明を始めた。

 意外と理解してて驚いたよ。


「ちょ、ちょっと、何言ってるか分かんないんだけど?」


「クラレットさんたちは途中からだから少し難解かもしれないけど、そこのグーレイさん。この世界の神と話せる地位にいるらしいよ」


「はぁ?」


「で、実際に裏世界ってのが存在してて、この辺りももう一度説明した方がいいんじゃないかしら?」


 エストネアさんの言葉にグーレイさんが頷く。

 周囲を見回し、ふむ、と頷き天に視線を向ける。


「パンテステリア君、そう言う訳で、グネイアスのスパイ達もいるけどそろそろ全員に状況を説明して行こうか?」


 ―― そうですね。そろそろ時間も無くなって来てるみたいですし、ここで全員の情報を同じにしちゃいましょうか ――


 それから説明されたのは、まず英雄召喚とグネイアス帝国の関係。

 リエラと僕に関する状況説明。

 グネイアス帝国の現状。

 裏世界についての考察。

 英雄たちの現状。

 グーレイさんの神格につて。

 この世界の状況と神世界の近況。

 アーデが行おうとしていること。

 説明だけでもかなりの時間を使った。

 それでも、この説明を全員が理解してくれてこそ、これから優先すべき行動について議論できる段階になる。


「正直な話、グネイアス帝国のクーデターについてはそこまで優先順位は高くないんだ。なのに巻き込まれるとなかなか抜け出せない上に死傷者も増えかねない」


「そりゃぁ、なぁ、出来れば一番後ろに回したいくらいの優先順位だよな」


「さすがにそれは……」


 未だ困惑気味のブロンズちゃんやクラレットさんに代わり、主な話し合いの主導権はグーレイさん、朝臣さん、ガーランドさん、シルバーさん、アリーシャちゃんに移り変わった。

 他のメンバーはたまに頷いたり同意したり茶々入れたりするだけになってしまった。


「最優先はアーデの大樹化だろうね。彼女としてもこの世界を守るために今までやってきたみたいだし、手遅れになる前に目標地点に連れて行こう」


「その次に優先すべきは裏世界からの侵略だな。スタンピードはクーデターよりも優先すべきだろ」


「んー、でもガーランドさん、それは向こうがスタンピード起こすのを待つことですよね? それよりはこちらから攻める手段も欲しいと思いますよ? あるいは準備しておくとか?」


「そりゃあ、それがベストだろうがよアリーシャ。冒険者ギルドに伝えたところで各地で準備してくれると思うか? もうすぐ世界が終わるかもしれねぇから裏世界に備えてくれってよ?」


「無理でしょうね。グーレイさん、敵の神は居場所わかんないの?」


「裏世界にいることは確かだよ。この世界に居れば駄女神といえども見付けられるはずだし」


「その神ってのぁよ、信用できんのか?」


 ギュスターブが頭を掻きながら尋ねる。

 うん、気持は分かる。

 だって駄女神だし。


「正直な話信用はできるけど信頼すべきじゃないね」


 ―― ちょぉい!? ――


「裏切りとかは心配する必要はないんだ。ただ、駄女神は余計な事をやらかすから駄女神なんだ」


「あー、なんとなくわかる気はするわ」


 朝臣さんが思わず納得。駄女神がちょいちょいツッコミ入れてくるけど皆ガン無視である。


「とにかく、いろいろと状況が変化してるけど、一先ず私達が目指すのはアーデの求める場所への移動と安全の確保。おそらくだけどグネイアス帝国関連に強制的に巻き込まれるだろうね」


 ほぼ確信したようなグーレイさん。多分じゃなくて絶対だよ。

 シルバーさんが告げた話から察すると、グネイアス王国中庭にあるフェアリーサークルが目的地になりそうだし。

 うん、庭にあるんだってさ、フェアリーサークル。多分復活の魔王とやらはそこからでてくるんだきっと。 

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