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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
1762/1818

三百十二・その少女が求めることを、彼しか知らない

「おー」


 城下街をでたとたん、アーデが何かを察したように走りだす。

 ちょっとアーデ!?

 そっちは森しかないよ?


『バグさん!?』


 リエラはグーレイさん達と居てて、僕はアーデ追って来る。

 多分だけど何かに反応してる。

 これがアーデが足りないと思ってた奴かも。


『わかりました。お気を付けて』


 自分も追いたかったみたいだけど、リエラはグーレイさん達にもしもがあった時の為に居残る事にした。

 グーレイさん達追って来るかと思ったけど、なんかトラブルに巻き込まれたみたいで離れられなかったんだよね。

 何のトラブルかっていうと、グネイアス国王から呼ばれて兵士たちと押し問答が発生したのだ。

 付いて来てください、いや行かない、もうしばらく時間を置いてから向かう。そんな話し合いで抜けられなかったようだ。


 これでグネイアス王国に戻ったら、確実に内乱に巻き込まれるだろう。

 グーレイさんもそれが分かってるんで必死にグネイアス帝国から遠ざかろうとしている。

 上手く行くといいけども……


 おっと、くねくねちゃんもこっち来たの?

 うん、気になるよね。アーデの護衛お願い出来る? うん、頼むよ。

 僕だけだと咄嗟のことには反応出来ないからね。

 僕なんて一般人がバグってるだけの存在だし。


 森の中を迷うことなく駆けて行くアーデ。ともすれば見失いそうになりながら、必死に後を追う。

 途中からはくねくねちゃんの方が速かったので、先行してアーデの護衛をお願いしておいた。

 今はもうアーデが見えなくなってしまい、彼女を追うくねくねちゃんを頼りに走っている状態だ。


 アーデったら背が低いのを利用して狭い場所を駆け抜けてるんだよね。

 だから追い付くだけでもやっとというか既に引き離されている。

 ぬおお、足が、身体が、運動不足がぁっ。


 おっと、くねくねちゃんが止まったぞ。

 ということはアーデもあの辺りで止まってるか。

 ようやく追い付けた。とくねくねちゃんの背後までやってくると、そこにはしゃがみこんだアーデの姿。


「おーっ」


 と、地中から何かを引っこ抜く。

 両手に抱えてとったどーっと抱え上げたのは、ドギツイ虹色に輝く小型のラフレシアみたいな花だった。

 で、それどーすんの? あ、やっぱ食べるの? どうかアーデの体色が虹色になりませんように……って、頭の上の双葉が虹色になった!? 滅茶苦茶目立つ上に危険色にしか見えない。


 まぁ素敵、じゃないよくねくねちゃん、これどう考えても……あの、くねくねちゃん、何持ってるの? え? アーデに貰った?

 そのレインボーカラーのミニラフレシアを?

 摂取しちゃうの!? お揃い!? 待って、落ち付いて、君が摂取したら全身虹色の危険生物に……あああああ……あ~ぁ。


 くねくねちゃんが、れいんぼぉくねくねちゃんへと進化した。

 なんでこんなことに……アーデ、なんでこんな……待って、も一つ採取すんの!?

 え、僕にくれる? あ、違ったポシェットに入れとけって?

 というかなんなのこの花?


 名前:ミニリルフラワー

 状態:摘みたて新鮮

 説明:食した相手に特殊な毒を与える暗所の毒花。意外と美味。

 効果:レインボーカラー化、モザイク解除、存在強化


 特殊な毒ってレインボーカラーになる毒でいいんだろうか?

 モザイク解除はむしろカリオン君達にとっては有効な状態解除では?

 折角だし三つくらい僕も回収しとこう。いや、予備でも一つ。

 あと存在強化は……確かに自己主張力が強……もしかしてアーデ、僕に渡したこの花、ワトリに食べさせる気か!?


「おっ」


 やっぱり!?

 って、アーデ、また走るの?

 え、今日は回るとこ一杯? 目的はこれだけじゃないの? 今日中に回れる場所全部回る?

 ええい、毒を食らわば皿まで! 地獄の果てまでお供しますっ。


 それから僕とくねくねちゃんはアーデに付き添って周辺の森やら川辺やらに向かっていろいろなモノを採取する。

 基本は最初の一つをアーデが食べて吸収し、頭の上の双葉が徐々に花開き、木へと変化し始める。

 黄金の草や透き通った草、透明な花に霧状の実、不思議な素材を幾つも集めた。

 というか、アーデは目的の物すぐ見つけちゃうけど、こんな素材滅多に見ないよ? 絶対に国が傾く位の金額貰える草でしょこれ。


「おー……」


 アーデ曰く、後一つらしい。

 でも、その一つはとても遠くにあるそうだ。

 今のままだと絶対に辿りつけないと嘆いている。


 Gババァに連れていって貰うのも無理?

 あ、驚いた顔で僕を見てる。

 Gババァのこと考えてなかったねアーデ。

 よし、分かった。一旦戻ってGババァにお願いしよう。

 そんで手に入れてしまおうか。ほら、行くよアーデ。

 手を繋いで帰ろ……おおおっ!? あれ? なんで僕がくねくねちゃんに抱えられてるの? え、遅いから私が走る? アーデも自分からくねくねちゃんに飛び乗って背負われる。

 次の瞬間、まるでジェットコースターに乗ったかのような速度でくねくねちゃんが走りだした。

 は、速過ぎぃ……

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