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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
1761/1818

三百十一・その国が滅びるのは時間の問題ということを、彼ら以外は知らない

 うわーお。

 正直、ソレしか言葉に出来ない。

 グネイアス帝国に戻って来た僕らは国内見学を行う事になった。

 と、いうのも、グーレイさんが宿を取る間、暇になったので各員別れてちょっと時間潰ししようということになったのだ。


 さすがに一人きりだと何があるかわからないってことで数人のグループに別れての移動だけどね。

 僕はリエラとニャークリアさんとアーデのチームで行動中。

 基本アーデのやりたいように移動して貰い、何かトラブルがあれば僕らで、というかおもにリエラで片付いているようだ。


 僕らが出るような場面はないし、万一リエラを越えた敵が出て来ても僕らじゃ太刀打ちできないから結局僕らが出張る必要はないのである。

 つまり、完全に観光気分であった。


 なんだけど……

 うわーお、である。

 目の前には正直うわーおな光景だけが垂れ流されている。


「王を、倒せーっ」


「グネイアスを打倒せよーっ」


「失った祖国を我らの元へ!!」


 なんか町のあちこちでレジスタンスっぽいのが幾つも見える。

 ガーランドさん達が居る時は普通の人に紛れてるんだけど、僕やリエラだけの場合は誰も居ないと思っちゃうんだろう。そこかしこで運動が盛んに行われている。


 急激に沢山の国家を吸収したせいで火種が燻りまくってるようだ。

 ふとした瞬間燃えだせば、各所で点火されて一気に王城に燃え広がるだろう。

 これ、自滅するフラグなのでは?


『なんというか、賑やかな場所を少し離れただけで殺伐としてますね』


 スラム街だらけだよね。ほぼ確実に民意とか放置して侵略戦争ばっかり行ってるんだろう。

 そのせいで戦争孤児やら浮浪者が多数輩出されて、こうして反乱の芽が芽吹きまくっているようだ。

 いくらなんでもここまで荒廃していると、王の治世が失策に終わっていると言わざるをえないだろう。


 街中を見回る巡回兵たちも少しずつ彼等に毒されてるみたいだし。中には賄賂貰って手を組んでる兵士まで見受けられた。

 グネイアス崩壊までのカウントダウンは近い。

 それこそ、魔王が復活するより早いんじゃなかろうか?


 っていうか、なんかあそこに見覚えのある人がいるんだけど?

 光来君、なんで君が旗頭になってんの?


『光来君、グネイアス打倒の旗頭にされてますね』


 決起集会と思しき場所では、剣を引き抜き、打倒グネイアーッスとかしてる光来君を発見してしまった。

 見て見ぬふりはさすがに出来ず、二度見しちゃったよ。


 これ、僕らは王城を守る側になるんだろうか? そうだとするとさすがに後味が悪いぞ。

 グーレイさん達なまじ強いから沢山の民兵を倒すことになって憎悪を真正面から受け止めることになるのでは?


『宿に戻って皆さんと連絡を取り合ったほうがよさそうですね』


 それがよさそうだ。というか、もうグネイアス滅ぶまで放置しといたほうがいいのでは?

 なんか皆グネイアス帝国滅べとかいいだしてるぞ、子供まで言ってるし。


『独裁国家は国民を放置しがちですよね』


 暗殺、されるんじゃないかな王様。

 グーレイさん、決起までしばらくこの国立ち去っといた方がいいんじゃないかな? 

 しばらく王国内を見回った僕らは、グーレイさんが予約した宿へと舞い戻る。


「やぁ、街の様子はどうだった?」


「おぅ、いつも通りだな」


「出店の数は減った気がするわね」


 うん、皆気付いてないらしい。

 結構徹底して外の人間には漏れないようにしてるみたいだしね。

 アーデは大丈夫だった? うん、まぁ、問題無いなら良いんだけど。

 ラウールさんにチョコバナナ買って貰ったの? よかったね。お礼言っとくんだよ?


 よく見れば、近くの屋台に向かってキャットハムターやパッキーのためにチョコバナナ買ってるラウールさんがいた。

 あいつら、チョコ食べて平気なんだろうか?


 あ、それよりグーレイさん、なんかレジスタンスの動きが活発なんだけど、もうすぐクーデター起こるんじゃないかな?


『え、でも皆そんなの見てないっていってるぞ?』


『グーレイさん、巧妙に隠れてますけど、光来さんを旗頭に人族魔族入り乱れて打倒帝国の動きが産まれてます、このままだと巻き込まれますよ?』


『そうなのか……それはまた面倒だね。というか、光来君、何してるの?』


 英雄の一人だし、なんか皆と意気投合してるうちに変な感情産まれちゃったんだろうなぁ。可哀想に。

 問題は彼が敵対して、僕らと闘い出した時だ。

 確実に話が通じないだろうから王国守るために殺し合いに発展する。


 かといって放置するのはさすがに……

 これはまた面倒な舵取りが必要になりそうだぞ。

 どうするのグーレイさん?


「よし、王国を離れよう、しばらく対岸の火事を眺めた方が安全そうだ」


 結果、グーレイさんは少し遠くで国が傾く事を見守る事にしたのであった。

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