三百二・その後ろに存在する何かを、彼らは知りたくなかった
名前:シシリリア=A=ライドノット
称号:騎乗の英雄、異神の使者
レベル:∞
スキル:
超加速:黒き風となって疾走する。
音速突破:音速を越えて疾走する。
亜光速突破:光に近い速さて疾走する。
ステータスハイブースト:ステータスを一時的に激増させる。
騎乗技Lv999:騎乗に関する技術。
神之手綱:何かに騎乗している時、操縦技術が通常の999倍になる。
騎乗制限解除:騎乗に関する制限が解除、どれ程格上の存在でもそれに乗れるならば操縦できる。
アイテムボックス:入手したアイテムを補完することができる。個人用。上限1000個
異世界言語理解:世界を越えて言語が統一され、りかいできるようになる。
騎乗成長率999倍:騎乗熟練度の成長率が999倍。
吶喊:騎乗時、騎乗物を使った体当たりを行う。
編隊行動:騎乗時、騎乗物と同種族存在を編隊として扱える。
全武器使用可:騎乗時に限りあらゆる武器を使いこなせる。
バスターチャージ:騎乗時、騎乗物を使った超強力な体当たりを行う。
騎乗思考同化:騎乗時、騎乗物が扱う能力を自由に扱える。
騎乗の英雄Lv999:騎乗時全能力UP、騎乗時動作短縮、騎乗技習得率増加
異神の約定:異世界の神により無理矢理付けられた約束。守る間は加護を、破れば呪いを振り撒く。
パンテステリアの融合契約:世界パンテステリアの融合を行う契約。代わりに異神πΞΦёヶ缺の加護を得る。
アイテムボックス内部:
シシリリアの下着、シシリリアのスポブラ、鞍、鐙、手綱、イバラムチ
やっべぇ、なんか無茶苦茶強いぞシシリリアさん。
騎乗してたらほぼ無敵じゃないか?
しかも今騎乗してるのは数メートル大の巨大なエイ型魔物。あの物量が突っ込んでくるだけでも大打撃だ。
「死ね、英雄共ッ!」
そんなエイの口元に光が集まる。
何かに気付いたピピロさんが慌てて武器を変更。アズセ式オールレンジリフレクタ―を取り出した瞬間、無数の光が四方八方に放たれた。
山のようなシールドがぎりぎり間に合い、冒険者たちを守り切る。
さらにピピロさんがその場から動かなかったことでシールドリフレクターが発動。
攻撃を放ったはずのエイ型魔物が無数の光に貫かれて悲鳴を上げる。
驚いたのはシシリリアさんだ。
エイの魔物に乗ってた御蔭で無傷で済んだが、騎乗している生物は大打撃。
想定外のダメージに思わず呻く。
「ピピロ、あんた……何よその盾ッ!」
「僕は、盾の英雄だから! 皆を守る事だけは、僕の専売特許だ! やらせないよシシリリアさん。僕が居る限り、この場の誰も、死なさないっ!!」
「最初に役立たずにされた癖にッ」
アイテムボックスからトライデントだろう、三つ又の槍を取り出したシシリリアさんがピピロさん向けて飛翔する。巨大な盾では取り回しは難しいと、棺の盾に戻したピピロさんが防御体勢。完全に迎え撃つ形で力を込める。
「くたばれっ!!」
「シールドバッシュッ」
十分な速度を付けたシシリリアの手から投擲されたトライデント。
棺の盾に真っ直ぐに吶喊し、そして……突き刺さる。
「っ!?」
「チィッ、無駄に硬いっ」
旋回してのさらなる一撃。
なんとか受けきるが、棺に突き刺さる二つのトライデントにピピロさんの額から冷や汗が流れる。
確実に盾にダメージが入っている。
ピシリ、棺の盾がひび割れる音がする。
このままあと数撃受ける事は可能だろう。
しかし、僕等から貰ったこの盾が破壊されることを彼女は望まないようだ。
ただ、シシリリアさんの攻撃を受け止められる盾は、コイツしかなかった。
盾にダメージを与える以上シールドリフレクターは使えない。
跳ね返せない攻撃が盾の寿命を削って行く。
盾も自動修復するとはいえ、こうも連続でダメージを受ければ回復は追い付かない。
彼女にはもう、負けがちらついていた。
「これで、砕けろっ!!」
無数に飛んでくる魔法や矢を巧みな手綱さばきで避けきり、シシリリアの何度目かの投擲。
それがピピロさんの盾を穿つその刹那。
「だぁっりゃぁぁッ!!」
男が一人、間に入った。
驚くピピロさんに背中を向けて、両手を顔の前でクロス、飛んで来たトライデントを自身の身体で受け止める。
「な、はぁ?」
「ふ、ふふふ、覚悟さえ決まればこうなる事くらいは分かっていたさ、ああクソ、でもこの年で小便チビりかけることになるとはな」
先日自身が破壊不能オブジェだと発覚したリックマンさんが、トライデントをその身で受け止めていた。
歯はガチガチ、全身震えながら、それでも自分の身体を盾にする。
それは自分だけならばあの一撃を受けても傷すらつかない、ソレを理解しているから出来た自己犠牲。
「皆、トライデントの一撃が私に任せろ! このリックマン、シシリリア君の攻撃全てを受け止めてみせるっ!!」
覚悟は決まった、受ける事も証明できた。ならば……後はただ、受け続けるだけだ。最強の盾と化した男の闘いが今、始まった。