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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
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三百一・そのモンスターパレードが再来したことを、彼らは知りたくなかった

「緊急警報?」


 不意に、町中に響く音に僕らは作業を止めて聞き入った。

 本日は魔王別邸の庭でバーベキューでもしようってことになったのだけど、予定が狂いそうだ。

 折角のバーベキュー用品も片付けて、僕らは冒険者ギルドへと向かう。

 この音は冒険者たちへの緊急警報。そう、モンスターパレードの出現だ。


 いや、待って。ついこないだガイコツ共のモンスターパレード撃破したとこじゃん。なんでまたモンスターパレード起こってるの!?

 何か異変でも起きたんだろう、そう思って僕らは急いで準備を整え、冒険者ギルドへと向う。

 おっと、百鬼夜行のメンバーもさすがに温泉入っていられないと続々冒険者ギルドに向かってるぞ。


「皆さん、モンスターパレードが起きました! 場所は前回と同じ、スケルトンだらけの霧の墓標です!」


 え? 前回と同様!?


『おかしいです、あそこのフェアリーサークルは私が潰しました。先日も灼上さんたちが使う場所以外潰してます!』


「だが、現実にモンスターパレードが起こったってことらしい。急ぐぞ皆!」


 リエラの言葉にグーレイさんが重い表情で告げ、皆を促す。

 あ、ちっさいおっさん発見。あの大規模クランを一人で纏めてるのか。

 副長こっち来ちゃったからなぁ。頑張れ!


 現場に向かうと、既に冒険者の一部が撤退と迎撃を行っていた。

 現れているのはスケルトンばかり、ではない、見た事もない醜悪な生物の群れが……あ、アレは八本足!?


「これは……シシリリアたんが操ってた魔物の群れッ!?」


「てぇこたぁ、あのアマこっち来てんのか!?」


「全員散開、各自持ち場で迎撃! Gババァ、急いで冒険者たちの救助に行ってくれ!」


 状況を見てすぐに指令をだすグーレイさん。

 指揮官じゃないから基本命令はざっくりだ。

 でも僕等にとってはそのくらいの命令だけで十分であった。


 各自、自分たちで即席パーティー組んで迎撃に向かう。

 基本闘い慣れたパーティーだし、明鏡止水を使えるメンバー多いから互いのチームでフォローも出来る。

 意外とクラレットたちも上手く立ち回ってるなぁ。

 アリーシャの指示の御蔭かな。あの子、的確に皆の位置把握して逐一報告してるから。


 ギオちゃんとスパイ四人、アーデだけは戦力外、ということで僕の傍で待機中。

 意外とキャットハムターも小型の魔物撃破してるし、役立ってるなぁ。

 小型の飛行種は機動力が早いし的が小さいので人間では狙い辛い、そこをパッキーやキャットハムター、ゴールデンオカブがフォローに入ることで穴を埋めていく。


「意外と小型の魔物が多いな」


「チッ、面倒臭ェ!」


「のっぴょぅ!」


「なんだと!? カリオン、なんだその加速スキルは!?」


「のっぴょっぴょ」


 明鏡止水習ったのカリオン君だけだっけ。

 他のモザイク二人が羨ましがる中、剣を持ったカリオン君が調子に乗っている。

 まぁ、放っといても問題なさそうだから放置しとこう。

 さすがに今鼻っ柱折るのもかわいそうだしね。


 ゴールデンオカブは飛行する敵向けて斬撃飛ばしたりアクロバットに回避したりしてみせている。

 あの、いちいちカッコイイポーズしないで貰えます?

 さすがにそれが隙になってパッキー一撃貰ってんじゃん。


 朝臣さんが意外と強い。

 皆が攻撃するから魔物達の注意がそちらに向かい、その瞬間、朝臣さんを完全に見失うのだ。

 まさに暗殺者。真後ろから急所目掛けてクリティカルヒットで、かなりの魔物を撃破している。

 正直真正面から闘ってるガーランドさんたちより多いくらいだ。


 でも、魔物の群れは一向に減る気配がない。

 向こうまで行ってフェアリーサークル蹴り転がすしかないか?

 僕が動くべきか迷ってる間に、霧の中から、巨大なエイに似た正気度消失級の生物が出現、その背中に乗っていた人物に皆の注目が集まる。


「シシリリアッ! やっぱテメェか!」


「矢田……まだ生きてたのかっ」


 おおー、シシリリアさんじゃん。完全にあのキモいエイっぽいの操ってるなぁ。


「シシリリア君、なぜそこに居るんだっ」


 グーレイさんが激突しそうになった二人に割り入る。

 この際少しでも情報を抜こうと思ったらしい。


「グーレイ……私が何処に居ようと私の勝手でしょっ! キモいアンタよりこいつ等の方が愛らしいだけよ!」


「……えぇ。ちょっとさすがに美的感覚を疑うよシシリリア君」


「う、煩いっ、仕方ないでしょ、あんなバケモノみたいなのに眷族化されたら従うしかないじゃないっ」


 おっと、やっぱり上が居たか。


「バイスグリムデ、かい?」


「……答える義理は無いわ」


 少し驚いたような表情の後、会話をぶった切るシシリリアさん。うーむ、折角だし、鑑定してみちゃうか、何かしら彼女を引き入れる方法でもあればいんだけど。

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