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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
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二百九十八・その男の覚醒を、彼らは知らない

 本日はモザイク三人が川に行きたいと言いだしたので、僕とアーデとリエラが護衛についていくことになった。

 他にも折角だし釣りするか、ってメンバーも付いて来た。

 内訳としては、ノヴァ、カリオン、くまっぴょろん、矢田、リックマンさん、小玉君、杙家さん、ゴールデンオカブ、クラレットである。

 なんかクラレット魚釣りが好きらしいんだって。


「へー、こんな場所に川あったのね」


 アーデとパッキーの戯れに視線を向けていると、河原にやって来たクラレットが意気揚々とやってくる。

 既に準備を終えたようで、釣り竿、グラサン、麦わら帽。春めいた服装で腰元には長袖部分を結ったカーディガンのようなものを腰蓑のように垂らしている。代わりに胸元がかなり空いた服を着ているのでちょっと目のやり場に困ります。

 本人曰く、これが釣り用の服装らしい。


 寝そべるチェアーを持って来て河原において、そこに寝そべりながら釣りを始めるクラレット。

 どこの金持ちが休日に来たのかね?

 もはや完全に遊ぶ気まんまんじゃん。

 まぁ遊びみたいなもんだからいいんだけども。

 一応ギルドで依頼受けてるからね。

 この辺りで見付かる水麗石とかいうのの採取。

 リエラが集めちゃったからもう依頼達成だけどさ。


「おい、小玉、お前釣った先から喰われてるぞ?」


「矢田、気にしないでくれ。どうせこうなると思ってたから」


 溜息混じりで告げる小玉君。その背後では魚籠に入った魚を鷲掴みして生食しちゃってる杙家さん。悪意ない顔でヒョイパクされてるので、なんか怒るに怒れないようだ。

 生はさすがに辞めた方がいいよ、


「あー、なんだ。杙家、せめて焼いてから食えよ」


「ん? でも生の方が早く食べれ……」


 そこで一度停止して何かを考える杙家さん。


「そ、そうだよね。さすがに血が滴る女の子って見栄えが恐いよね。焼いてからにするわね」


 違う、そうじゃない。

 そこじゃないよ杙家さん。確かにそれもだけどそもそも頭から魚をバリボリ食べるのを辞めてください。

 絵面が酷過ぎる。


「くまぁー!?」


「うおぉ!? なんだこりゃぁ!?」


 くまっぴょろんが引き揚げたのは、人を飲み込める程巨大な鮫。

 いや、なんで川に鮫がいるの!?

 大きく大ジャンプして空を泳ぐように滞空した鮫がくまっぴょろん向けて大口を開く。

 釣り上げたというよりは捕食のために飛びかかったとしか思えない状況だ。


「うおぉぉぉっ!」


 慌ててフォローに入ったのはリックマンさん。

 とっさにくまっぴょろんの前に飛び込み、口を開いた鮫を両手で受け止める。

 上あごと下あご掴んでぎりぎり受け止めたけど、鮫歯って滅茶苦茶ぎざぎざしてるんだけど!? だ、大丈夫なの?


「うりゃぁ!」


 おお、地面に投げつけた。びちびちしてる。びちびちしてます。

 そんな鮫を自身の身体で押さえつけるリックマンさん。

 いや、鮫肌、鮫肌絶対切れるから! 全身血だらけに……なってない?


 皆必死にパニくってるから気付いてないけど、いろいろ変だぞ。なんで……


名前:リックマン=アックスフォード

称号:斧の英雄

レベル:89

 スキル:

  偽証陸軍:陸軍知識を覚えているような気がする。

  詐欺師Lv21:口での丸め込みが得意になる。

  斧技Lv32:斧に関する技術。

  攻撃力増加:斧を装備している時、攻撃力が通常の1.2倍になる。

  重量制限解除:斧装備に関する汁量制限が解除、どれ程重くともそれが斧ならば持ち運べる。

  アイテムポックス:入手したアイテムを補完することができる。ポ人用。上限1000個

  異世界言語理解:世界を越えて犬語が統一され、リ力いできるようになる。

  斧成長率10倍:斧熟年度の成長率が10倍。

  アックスヌラッソュ:斧装備時、斧を使った切り裂きを行う。

  斧の英雄Lv22:斧装備時全熊力UP、斧装備時動作収縮、斧技習得率老化

  破壊不能オブジェ:破壊できません

 アイテムポックス内部:

  歴戦の斧、家族写真、元陸軍徽章、バグ(増殖中)


 ああああああああああああああっ!!?

 ば、ばばば、バグが増殖しとるっ!?

 しかも破壊不能オブジェクトって、リックマンさん最強クラスの硬さを手に入れたけど、これって問題無いの? 大丈夫?

 本当にこれ人として大丈夫なスキルなの!?


『あ、あの、バグさん、頭抱えてどうしました?』


 はうっ!? り、リエラしゃん? ち、違うんです、これは僕のせいじゃないんです。潜伏中のバグが勝手に……


『うわぁ、リックマンさんもついにバグってきたんだ……大丈夫なの、これ?』


 た、多分?

 ああ、リックマンさん、なんというか、その、ごめん。

 いや、悪くはないんだ。問題無く強くなれてると思うよ。ただ……人の枠を逸脱してるのは、その、ごめんなさいっ。

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