二百五九十一・その再会を咽び泣く生物を、彼らは知らない
「うおぉぉぉぉぉっ、よかった、よかったよカリオンぅ」
「のぴょぴょぴょぴょーぅっ」
モザイク共が抱きしめあって喜んでおるわ。
正直モザイク過多で一つの生物みたいに絡み合っておられる。
モザイクのせいでなんか卑猥な物体に見えてくるから不思議だ。
ただ単に再会を喜んでいるだけのはずなのに、おかしなこともあるもんだ。
ついでにくまっぴょろんが二人を包み込むように抱きしめはじめて意味不明な生物に拍車がかかっている。
いや、奇跡的な再会で嬉しいのは分かるけど、周囲の目を気にしてほしい。
ちょっとモザイク多過ぎて目のやり場に困ります。
「おいグーレイだっけか。あいつ等どーしたんだ?」
魔物狩りから戻って来たちっさいおっさんが尋ねてくる。
「ん? とりあえず全裸に剥いて街の門前に吊るしておいたよ」
「え? 何ソレ恐い……」
Gババァが熱烈チッスで満足した後にガーランドさんとジャスティン君が凄く楽しそうに裸に向いていた。
回収した所持品はエストネアさんとニャークリアさんが簡易鑑定してお金になりそうで足が付かないモノとゴミ、お金になりそうだけど足が付きそうなモノに仕分けしていた。
うん、こっちの方が悪人に見えて来た気がするよ。
んで、それが終わると矢田が率先して吊るすのに参加していた。
今まで灼上君の元で自分を押し殺していたせいか、凄く生き生きとしていらっしゃった。
なぜか尾道さんとリックマンさん誘って吊るすぞーっと意気揚々、まるで端午の節句で鯉のぼりを上げるかのように実に楽しそうだった。
ギルド員たちには事実をありのままに伝えて確認をして貰い、目的のパーティーだということは確定。
ノヴァの証言から冒険者として不適格な行動が多数散見されたため、ライセンスの取り上げを行ったらしい。
その御蔭か、彼らのパーティーは既に冒険者資格を有さなくなっている。
つまり、救出後にはもうすでに一般人にされているのである。恐ろしい結果である。
まぁ日頃の行いが悪かったってことで諦めて貰おう。
「こいつ等に喧嘩売るのは止めといた方が良さそうだな」
「リーダー普通に喧嘩売りましたよね? 半数以上が未だにババァショック抜け切らないんですけど?」
「んなもん俺だって抜けねぇよ!?」
ババァ被害者の会は徐々に拡大の一途をたどっているようだ。
なんかその内国でも立ちそうな勢いで増えてるからなぁ。
「まぁいい、ソレはともかく、俺らの仕事はもうねぇよな? 温泉満喫させて貰うぞ?」
「構わないけどカピバラっぽいのと一緒に入る事になるぞ、時間的に」
「別にいいだろ、なんなら追い出してやんよ」
フラグにならないといいけどな。
それでグーレイさん、この後どうすんの?
「とりあえず、出会ってしまった光来君やシシリリアさんが不穏だよね? その辺りの対策は練って置いて損はないと思う」
むしろ不穏しかないからしっかりと対策しないとだよね。
まずは光の英雄の発光をなんとかしたいね。サングラスで防げるかな?
全員分のサングラス発注しちゃう?
シシリリアさんに関してはグーレイさんが出張った方がいいだろう。
リエラに梅雨払いして貰って直接対決だよね。
問題はシシリリアさんが向こうで神と繋がってたりした場合、彼女自身が囮であるかもしれないから、そこが一番の問題なんだよね。
グーレイさんが油断してそこで奇襲を受けて重体、とかになったら目も当てられない。
そうならないようにここでしっかりと会議して対策を練って頂きたい。
決して温泉に浸かりたいから、しばらく湯治しようって訳じゃない。
でもやっぱり温泉はいいよね。毎日入れるとか最高だと思います。
今は1000人規模のクランのせいでごった返してゆっくり風呂に浸かれないけど。
「しかし、酷い冒険者もいたもんだ。ノヴァ君は声を掛けられただけで隷属させられて報酬まで奪われたらしいし。そのせいで大型クランに襲われたし」
「同情はするぜ。でもこればっかりは仕方ねぇだろ。俺らだってあそこまで報酬がありゃ襲撃位掛けるだろ」
確かに、僕らも知らない状態であの報酬が貰えるとなれば、自分たちで捕獲して報告しようと思うかもだけど、さすがに人の報酬取ってまでは……
「まぁ、確かにな、そりゃ襲撃掛けてでもあの報酬は魅力的か」
ガーランドさん達は奪っちゃう派でしたか。
この世界の冒険者はそれがデフォルトなのかもしれない。
うーむ、これはギルドに報告するまで気を抜く訳には行かないなぁ。
下手したら報告直前に奪われて報酬まで盗られるかも。
「ま、折角灼上君達と合流したんだし、しばらくは温泉に浸かりながらゆったりしようか。最近は急いで大陸移動してたし」
ソレは全部魔王復活教団が悪いと思う。




