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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
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二百五八十七・その報酬が奪われていることを、僕らは知りたくなかった

「皆大変だ」


「グーレイさん?」


 見事二人を引きいれた僕等と、一人青い顔になってる小さなオッサンの元へ、リエラとグーレイさん、そしてカリオン君が戻って来た。


「大変って、どうしたグーレイ?」


「既に見付かった事になって報酬が支払われてる」


「は? カリオンはここに居るだろ?」


「だから誤報告による報酬支払ってことで今調べて貰う事になった。しっかりと本人確認もさせたからこちらが正しいことは証明されてるし、英雄クランのメンバーであることも確認して貰った。見付けた場所を告げたら凄く驚いていたよ」


 何しろ魔王召喚をしていた魔王復活教団の召喚陣からでてきたもんね。

 そりゃ驚くよ。

 でも、居なくなった状況と一致するってことでこちらの報告に間違いがない事は理解してくれたらしい。

 ただ、魔族領の冒険者ギルドは人間領よりも結構アバウトらしく、そのせいで誤報告は結構あるらしい。


 ただ、向こうも向こうでモザイク棒人間が捕縛されてることは確認されているそうなので、こちらからはモザイク棒人間は三人居る事と、その名前がノヴァとくまっぴょろんであることを告げておいた。くまっぴょろん自体はまだ向こうのチームに居るのは確認済みなので、おそらくノヴァ君だろう。

 自分で報酬準備して自分が捕まって報酬奪われるとか、マジ何してんの?


「とりあえず、駄女神、いや、アルセ君、いるかな?」


 ―― あちし呼ん…… ――

 ―― いるよーグーレイ。今、信夫お兄ちゃんに連絡済んだから向こうも動いてくれるって。このまま合流してほしいって言ってたよ ――

 ―― ちょっとアルセ!? あちしが今喋ってるとこなんだけど!? ――


 さすがはアルセ。頼りになるぜ。

 あと駄女神は黙ってろ。アルセの邪魔するならマジでバグらすぞ?


 ―― 理不尽っ!? ――


「さて、方針を決めようガーランドさん。おそらく報酬を受け取った誰かはノヴァ君を捕縛したんだろう。つまり、温泉街に来るはずだ」


「英雄たちのチームと合流して叩くってことか」


「向こうがズルをしたんだ、義はこちらにある。敵に回したモノがどういうものか、分からせてやるってことだよなグーレイさん!」


 ジャスティン君がなんか楽しそうだ。


「にゃはは、悪人やっつけるのは楽しいにゃー」


 たまに僕らが悪人まがいの事してるけどね。メロンさんの家では盗みしようとしてたし。

 冒険者なんてそんなものなのかな? 基本報酬貰って依頼こなす人たちだし。


「あの、私達どうしたらいい?」


「とりあえず、チームに入るってことでいいのかい?」


 頷くちぇすとおっさんと拳法娘にグーレイさんは頷く。


「目指すは温泉街だ。向こうについたら好きに温泉浸かっていいよ」


 そして目を輝かすお二人。ん? なんか外が騒がしい?


「畜生、この報酬手に入れれば俺だって……」


 悔しさで泣きだした小さいおっさんが気持悪いです。

 そんな少年? のような背中をぽんぽんと叩いているのは斬星君。皆に裏切られる辛さを知ってるだけに優しくしているようだ。


 皆揃ってギルドを出る。

 もう襲撃者も来ないだろう。

 ギルドで報酬支払われたのは分かってるだろうし。

 これ以上報酬貰えないと知れば襲撃してこないだろう。


 って、何事!?

 ギルドのドア開いて外に出た僕らの前に1000人規模の冒険者たちが待っていた。


「グーレイさん、あなたのクランに入れば温泉入り放題って本当ですか!?」


 あの子は回復薬投げまくってた女の子か。凄くきらきらした目でグーレイさんに詰め寄って来た。

 彼女が代表だったようで、他のメンバーも入りたそうにしている。

 うん、ここにいるの、小さいオッサンのクランメンバーだわ。

 使い魔とやらで話し聞いてるって言ってたけど、ついさっきまでの会話も筒抜けだったようだ。


「……これは、どういうこと?」


「あー、えっと、なんか、ごめんなさい」


 拳法娘さんが頬をぽりぽりと掻きながら苦笑い。

 本人も使い魔を忍ばせてたの途中で忘れてたな。


「あー、悪いけどクランメンバーについて新規募集はしてないんだ、ただ、お金を払って普通に温泉利用するっていうなら別に一緒に付いて来てくれてもいいんだけど」


 歓声が、上がった。

 なんかクランリーダーの奢りで全員温泉に入り放題ってことになったらしい。

 そのクランリーダーが目の前で真っ白に燃え尽きてるんですが……

 本人には何の相談も無しでそんな大金払うような事決めちゃっていいの?


「まぁこの規模ならあの周辺のダンジョンでも資金稼ぎできるでしょ。スケルトンは無限湧きみたいだし」


「値崩れ起きないかな?」


「意外と需要あるらしいわよ、スケルトンの骨って粉にすると植物の育成が良くなるらしいのよ」


「エストネアさんよく知ってますねそんなこと」


「素材売るならその素材がどういうものに使われてるかは調べておいて損は無いのよ? 全く、ガーランドたちはガサツだからこう言うのは私が調べとかないとどうでもいい素材ばっかり狩って来るんだから」


 なんてぶつくさいいながらもガーランドさんに対しては優しい目をしているエストネアさん、何時くっつくんだろうこの二人。いや、実はすでに夫婦だったり?

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