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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
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二百五八十六・その賭けられた報酬の大きさを、彼らは知りたくなかった

「んじゃ、行ってくるよ」


 襲撃を何度も撃破して、僕らはようやく一つの町に辿りついた。

 冒険者ギルドに入るまで襲撃は続いたモノの、冒険者ギルドに入った途端に襲撃はぱたりとやんだ。

 腐っても冒険者。既に受付嬢の目がある冒険者ギルドでの争い御法度は守るらしい。

 皆悔しげに僕らを見ているけど、こちらとしては襲撃されること自体が恨めしいことなのでお門違いというものである。


 グーレイさんとリエラがカリオン君引きつれて受付に報告へ向う。

 その間、僕等は襲撃して来た大クランのお三方を椅子に座らせ尋問だ。

 気絶からは立ち直ったモノの、アーデのヒヒイロアイヴィでぐるぐる巻きにしているので幾ら力を込めても脱出不可能。

 人数多かったので連れて来たのはリーダー格の子供みたいなおっさんと、Gババァ一押しの拳法娘、そしてガーランドさんがこいつを引き込みたい、とちぇすとーっのおっさんを連れて来たのである。


 椅子に座らされた三人は拘束を解かれはしたものの、憮然とした顔で僕らを見つめていた。


「クランメンバーは?」


「放置してきたぜ? さすがに人数が多過ぎる。幾人かは無傷で放置しておいたから今頃体勢立て直してるころだろ。そのくらいはできるよな?」


「チッ。ここまで凄腕パーティーと知ってたら襲撃仕掛けなかったんだがな、あの情報屋肝心な事伝えなかったな、クソが」


「あー、それでよ、襲撃仕掛けて来たのはやっぱりカリオンのせいなのか?」


「そりゃそうだろ。魔王領の魔王就任権と温泉街の統治権、さらに魔王別邸の使用権利証だぞ? こんな涎垂モノの報酬滅多にでないんだからな。たった一人のモザイク棒人間見付けるだけで貰えるとか破格だろ?」


「……いや、待て」


 ちょっと駄女神さん? これ、どういうこと?


 ―― あちし知らないわよっ!? 報酬決めたのカリオン探してたノヴァでしょ!? ――


 そもそも即行で向こうに知らせてればこんなことになってなかったんだからやっぱり一番罪があるのは駄女神さんですよね? ちょっと、バグりませんか?


 ―― 待って、落ち付いて、あちし違う、あちし悪くない、ノヴァの独断だからぁっ ――


 悪い奴は皆そういうんだ。ほら、ちょっとご同行願えます? カツ丼喰う? 自腹だけど。


「あー、なんだ、報酬になんでそんなもん掛けてんだノヴァの奴は?」


「そりゃこの襲撃も納得ね。はぁ、ほんとなにやってんだか」


「それで、私はどうしたらいいのかしら?」


「ん?」


「そこの婆さんに引き抜きかけられてんのよねー、しかも私、倒せたら仲間になるって言っちゃったし」


「お前何勝手に言ってんだ!?」


「すまんリーダー、俺もそこの男に俺ンとこに来ねぇかと言われてんだ」


「ちょ、待て、お前ら俺らチームのメインアタッカーだぞ!?」


「すまん」


「ごめんねぇ。この婆さん強いし、私もっと強くなれそうだし、あ、リーダーのハーレム加わる話は無しで」


「ちょ、ちょっと待てぇ!? 今ココで言う事じゃないだろぉ!?」


 おお、このおっさん、実は意外と女性人気なのか? いや、背が低いから子供みたいでちやほやされてるのかな?

 顔も二枚目に届きそうな三枚目だし、リーダー張ってるくらいだからメンバーの指導力や調整力、資金面でも彼女になっておいて損がない存在ではあるか。


「おい、リーダー、クラン内恋愛禁止とかあんたが言ったんじゃなかったか? アレで泣く泣く別れた奴結構いるんだぞ?」


「お、俺はリーダーだからな、そのリーダー権限って奴だ」


「こういうリーダーだからさ、結構あくどい事平気でやるクランなのよ。最初は戸惑ったけど最近は私も少しくらいなら良いかなって思いだしててさ、良い機会だし足洗う切っ掛けにそっちに引き抜かれようかと思ったのよ。良く見たら小さいオッサンとかキモいし」


 多分最後のが一番の本音だね。


「俺も引き抜かれるかな、さすがにちょっともうチームいられねぇぜ。他の奴にも伝えるけど、いいよなリーダー?」


「うぐ……それは駄目だ、お前ら二人の引き抜きを許可する代わりに口は噤んで貰う」


 ふんっと依怙地になったリーダーのおっさんが告げる。

 しかし、拳法娘は小悪魔みたいな笑みを浮かべて告げた。


「そう言うと思ったわ。だから皆にもここの会話聞けれるように、アリーシャの使い魔連れて来てんのよ」


「……え?」


 さぁっと目に見えて血の気が引いて行く小さいオッサン。

 あ、これはアレだ。目の前で一人の人生が今、終わったらしい。


「皆が聞いてたわよ、まぁ黒い噂は前からあったんだけど、皆口噤んでたしね。これで泣く泣く別れて寝取られてた人とか反旗翻すんじゃないかしら?」


「お、おま、おまえ……何してくれてんのっ!?」


「ふふ、こういうあくどい事も貴方に教わったのだけどね。前々から女性陣もちょっと疑惑を向けてたのよ。リーダー、釣った魚に餌上げないタイプでしょ?」


「そ、そんなわけあるか、ちゃ、ちゃんとほら、イベントの日には全員にプレゼント配ってんだろ?」


「それだけじゃーねぇ」


 うーむ、これはある種為になる話だなぁ。僕もなぜか妻が沢山いるからイベントに纏めて何か簡単なモノ送ろうろうか、とは思ってたんだけど、どうやらそれだけでは不味いらしい。

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