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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
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二百五八十四・その長い闘いを、僕らは知りたくなかった

「クソ、なんで崩れねぇ!?」


 敵の一番煩いのが思わず叫ぶ。

 Gババァと闘ってる女の人以外はかなり沈んでいる状況だ。

 正直皆強くなり過ぎ。

 やはり明鏡止水使えるようになったのが格段なレベルアップにつながったようだ。


 ガーランドさんも苦戦するかと思ったら意外とパワーアップスキル重ね掛けでなんとかしてたし、伊達にSランク冒険者ってわけじゃないなぁ。

 彼とジャスティンは明鏡止水覚えてないのに獅子奮迅の活躍してるから驚きである。

 二人ともテラブースト系スキルを覚えた御蔭でかなりの強化が可能になったから、瞬間的にリエラの実力近くまで一気に引き上げてるからね。普通の冒険者じゃ束になっても勝てないよ。


 といっても、リエラがテラブースト使えば近づいた実力は一気に引き離されるんだけどね。

 リエラは普通の戦闘能力も高い上にブーストで倍以上に実力に、さらに明鏡止水で超加速、涅槃寂静でほぼ敵無し状態になってるんだよ。

 それにしても、だいぶ倒したのにまだあんなにいるのか、ここの冒険者パーティー、いやクランってもしかして1000人規模の大クラン? なんでそんなのが襲って来てるかな?


「ええい、不甲斐ないぞテメェら、それでもギっぐぶらっ!?」


 あ。ゴールデンオカブがあんなとこまで突撃してんじゃん。

 どうやらアレを司令塔と思ったらしくさっさと潰しに向ったようだ。

 あまりにもあっけなく倒せてちょっと困惑している。

 うん、やっぱりアレはただの旗頭であってリーダーじゃなかったようだ。

 全然士気が崩れない。


 つまりリーダーは別にいるってことであり、そいつを倒さない限りこの襲撃に終わりは無いということである。

 何処に居るのかはまだ分からない。

 とりあえず指示出ししてそうな怪しい人物を探しに来てるんだけど、このクラン人が密集し過ぎ。


 残ってるメンバー殆ど鎧袖一触で倒されるメンバーなのに退く様子もないし。

 まだ何か隠し玉持ってるんだろうか?


「ふぇっふぇっふぇ、やるねぇ嬢ちゃん」


「ふふ、お婆さんもね、正直想定外過ぎだわ」


「退く気はないかい? 倒すには惜しい人材だよ」


 Gババァもこれ以上は時間を掛けられないと思ったのだろう。自分が自由になれば一気に形勢逆転なのだ。

 ゆえに、一番やっかいな、この拳法娘をどうにかしようと考えている様子。

 お団子頭に三つ網みお下げ付きの可愛い人なんだけど、技術以前に天性の勘が凄過ぎてGババァが苦戦気味なのだ。

 完全に気付いてないはずのタイミングで仕掛けても対応されてしまうのでGババァが封殺された状態なんだよね。

 あの拳法娘さん一人いるだけで戦線が膠着状態に入っているのがなんとも……


「残念だけど、リーダーから撤退命令はまだ出てないのよ」


「そんなもんが必要かね? もう趨勢は決まっとると思うがのぅ」


「あら、そうでもないわよ。ほら、もたもたしてるから次の追加メンバー来ちゃったわよ? 貴方達も諦めてそこの気持悪いモザイク、私達のクランに差し出したら?」


「おやおや、残念だねぇ、あんた程の実力者ならパーティーメンバーに申し分ないと思ったのにねぇ」


「あら、スカウト? まぁ、ソレはソレでありかもね。あんた達強いし、でも……今は私、百鬼夜行のメンバーだから」


 あ、こいつ等のクラン百鬼夜行なんだ。うーん、なんか和名が出てくるとちょっと転生者を疑っちゃうんだよなぁ。


「でも、私を倒せるってならいいわよ、あんた達に加担しても。私、強い人好きだしあんたたちとならもっと強く成れる気がするわ」


 強く、というかバグるというか……まぁ今よりは強くなるんじゃないかなぁ。


「ほぉぅ、そうかいそうかい、あんたを倒せばいいのかい。なら、遠慮はもう、必要無いねぇ」


「……え?」


「明鏡……止水!」


 次の瞬間、光のババァは光を越えた。

 いや、何言ってるか分かんないって思うんだろうけど、事実なんだ。

 光がそこに残ったんだ。僕の認識からババァが消えた瞬間、拳法家のお姉さんが吹っ飛ばされて、空中で上下に激しく揺れて地面に激突した。

 うん、何言ってるか自分でもよくわかんない、でも、光がうっすらと消えるより早く、ババァが拳法家のお姉さん撃破して残心してる姿が別の場所にあったという、うんもう、こいつバグキャラ過ぎて付いていけませんっ。


「悪いねぇ、実力はまだ半分も出しとらんかったんじゃ」


 十分過ぎる実力なのに、まだ隠し玉があるとか、こいつだけ次元違い過ぎだろ。拳法家のお姉さんほんとよく戦ったよね。スペック高過ぎだよ。でも相手が悪かったとしか。


「あんたが男なら、よかったのにねぇ」


 そんな台詞を吐きながら、ババァは再び光となった。

 自由を得たババァが蹂躙を開始する。

 既にババァの猛攻を阻止出来るメンバーはこのクランにはおらず、ババァにとってはキスし放題の愛の巣へと変わったのであった。

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