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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
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二百五八十二・その冒険者たちの襲撃理由を、僕らは知りたくなかった

「見付けた、あいつだ!」


「悪いなあんたら、ソイツは俺らが届けさせて貰うぜぇ!!」


「ヒャァッハァー!!」


 その日、魔王復活教団が勝手に潰れたので、やることなくなった僕らは、一度灼上さんたちと合流しようか、と向うことにしたのだ。

 すると、なぜか冒険者たちが僕らを見付けた瞬間、武器を手に取り襲いかかって来たのである。


 言い訳とか前口上も何もない、ただの野盗よろしく襲いかかって来たので、遠慮なく迎撃させてもらう。

 皆揃って明鏡止水。リエラが手伝う必要もなく、ほぼ一瞬で無力化できた。


 やっぱリエラもチート製造機じゃん。

 僕が特別酷い訳じゃないんだって。ねぇグーレイさん?


『君の場合はチート製造機じゃなくてバグ製造機だからね』


 何か、違いでも?


「モザイク棒人間、見付けたァァァァ!!」


「私に寄越しなさいよ! 金ェェェッ!!」


「我らと来るのだカリオン、元の場所へと帰してしんぜよう!!」


 明らかに冒険者たちが狙っているのはモザイク棒人間のカリオン君。

 多分捕縛願いがでてるんだろう。

 さっきの場所で冒険者ギルド寄ってればよかったなぁ。


 ってか駄女神さん、向こうに告げたんじゃなかったっけ?


 ―― あっれぇ、おかしいなぁ、あ、あは、あはは…… ――


 ―― 大変大変、マロン、大変っ! 犯人分かったかも!! ――


 ―― お、成果あった!? さっすがアルセ! ふっふっふ、グーレイさんにバグ君よ、恐れ慄き、崇拝するがよい ――


 あんたすでに何度やらかしてると思ってんだ。いいからさっさと言えよー。


『駄女神、恐れ慄くのは君の方だ。どうでもいい報告だった場合、どうなるか分かっているね?』


 ―― あ、あれ? なんか凄いあちしへのヘイトが生まれてるような? ――


 ―― マロンさん、むしろ皆さんからヘイト以外の感情向けられる方が少ない気がしますよ? ――


 ―― おだまりパンティちゃんっ ――


 ―― パンティじゃないですっ! パンテステリアですから、というか、この世界の名前で私の名前じゃないんですよ!? ――


 え、そうだったの!? パンティさんはパンティじゃなかったんだ。じゃあ駄女神二号に訂正しなきゃ。


 ―― 待って、待ってください、私のなま…… ――


 ―― そんなことより、バイスグリムデだよ! ――


 パンティさんの言葉を遮り、アルセが告げる。

 ばいすぐりむで?

 なんだそれ?


「バイスグリムデ、か。どこかで聞いたことあるね」


 え? あるのグーレイさん!?


「うん、確か神ッターで一時期話題になってた……ん? なんだいバグ君?」


 神ッターって、何?


「君にわかりやすく伝えるならSNSやらツイッターだったっけ? 人間界にあっただろう? アレの神々が扱ってるものさ」


 えぇ。神様同士でそんなの使ってるの? なんか神々しさが一瞬で消えたんだけど。なんか全員駄女神っぽい神ばっかりな気がして来た。


「はっはっは。否定はしないよ」


 否定しないのか!? しろよ、そこはしてくれよ。

 なんかもう泣きそうになるじゃんか。

 神様が俗物化しちゃってるし。アルセだけだよ、僕の女神様は。


 ―― ちょっと、あちしマジ女神だし、アルセだけじゃないよ、ほら、貴方の女神マロンちゃんですよー ――


 黙れ駄女神っ。今お前のせいで冒険者たちに襲われてるんだってそろそろ認めろよ、ほんとこっちを窮地に陥らせることしかできないんだからっ。バグらせちゃうぞ!


「そうだね、私もそろそろ駄女神はバグってもいいと思うんだ。どう思う駄女神?」


 ―― マジごめんなさいっ。お願いだからバグ君連れてこないでっ! いや、ほんと想定外だったんだって。あ、それよりグーレイさん、バイスグリムデについてお願い! ――


「チッ、まぁいい。バイスグリムデな。一時期神ッター内で荒らしと言われていた神だ。なんでも一人の神に熱を上げすぎてストーカーと化したらしくてな。あらゆる媒体でその神は自分の物だと告げて、反論した神々を粛清して行った奴なんだ。確か一度裁判に掛けられて神力を封じられたはずだが……」


 ―― そのストーカー相手がパンティさんだって ――


 なるほど、なるほど?


 ―― あら、変だにゃー、あちし似たような状況になった記憶があるんですけど? ――


 駄女神の過去はどうでもいいんだ。

 でも、ようやく尻尾掴めたってことか。

 おそらく裏世界はソイツが作った世界なんだろう。

 徐々にこちらに浸食していて、おそらくこの世界と融合を目論んでる。


「ということは、向こうの世界に居る可能性があるね。神が」


 神……か。

 つまり、この世界の住人では太刀打ちできない存在。

 そして、リエラでも倒せない存在。

 唯一打ち勝てるのは同じ神であるグーレイさんくらい。


 ジィ、ジィっと脳裏をノイズが走る。

 リエラが泣きながら笑うあの場面が掠める。

 たとえ、たとえ神が相手でも……いや、相手であればこそ、リエラが救世の一撃を使いかねない状況になるのなら……僕は僕の全てを持って……バグらせてやるっ。

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