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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
1722/1818

二百五七十二・そのババァが英雄になったこと、彼らは知らない

「バ・バ・ァ! バ・バ・ァ! バ・バ・ァ! バ・バ・ァ!」


 なんだ、これ?

 僕の目の前で、巨人の頭の上に立つ、光り輝くババァが見える。

 周囲には冒険者。皆、なぜかババァを崇拝するように拳を突き上げババァコールを始めている。


「すげぇぜ婆さん、あんな巨人を封殺しちまいやがった!」


「俺らが打つ手が無くて困ってたところをよ、空を掛けて一人だけでよぅ」


「くそ、あんな老婆が率先して戦ったってのに若い俺らが何やってんだよっ」


 なんか、Gババァが凄い英雄みたいな扱いになってる。


「だが、やってやったぞクソ巨人め!」


「つか、なんで神殿からこんなデカいのでてきたんだ?」


「おおかた新しい魔王様召喚してたんだろ、まさかこんな魔物がでてくるとはな」


 魔王は良いけど魔物は駄目なのか。どういう理屈で区別してるんだろう?

 魔王召喚じゃ仕方ないな、みたいな感じて冒険者たちが散ってったし。

 ここで魔王を召喚してるのは公然の事実らしい。それをテイムしようとしていたことは皆知らない事実のようだけど。

 これ、皆が真実知ったらどうなるんだろ? まぁそうなる前に魔王復活教団が壊滅したんだけど。


 ―― あらー、コピーの神殿も完璧に壊れたわね ――


「喧嘩売ってるのかな駄女神?」


「いやー、出て来た時にゃびっくりしたが、意外とやれたな」


「最初にバランス崩してヘッドスライディング状態になってたのが良かったわね」


「にゃはははは、にゃーたちの敵ではなかったにゃ」


「調子乗んなって。しかし、あの婆さんマジで何もんだよ……」


 ジャスティン君が戦慄するのもおかしい話じゃない。

 何しろあの巨人の頭を拳で殴りつけたもんね。

 でも、あの闘い方、どっかで見た事あるんだよなぁ。


『あれって確かデヌさんが使ってませんでしたっけ?』


 ああ、魔法を拳に纏わせて殴りつけてるのか!

 道理で高威力だと思ったよ。

 多分Gババァが使ったのは光魔法だろうけど。本人が光り輝いてるから魔法使っても保護色でわかり辛いようだ。


 そういえばあのGババァ、Gババァなだけじゃなくてデヌとの混血だっけ?

 え? 光って速い上に魔力量まで魔王級!?

 想定以上のチートキャラじゃん!? 


「え? 今更?」


 いやま、確かに今更っぽいけども。改めてチートさを理解したといいますか。


「まぁ、分かる気はするよ。彼女は私達の中でも別格だからね。アレで最年少なんだからもはや詐欺レベルだよ」


 そうなんだよねー。あ、巨人消えた。

 上に乗って称賛されていたGババァが重力に引かれて落下、そのまま尻もちついていた。

 骨、やったんじゃない? さすがにそこまで脆くはないか。

 多分天狗になってて空浮くの忘れてたな。


「さて、朝からなんだか騒がしかったけど、これでとりあえず魔王復活教団は滅んだってことでいいのかな?」


「一番ヤバそうなのは死んだっぽいしな。後の奴らは放置でも問題なくねぇか?」


「じゃあ後顧の憂いは絶てたってことで、裏世界の攻略手伝うか」


「そうですね、それが……あれ?」


「どうした斬星?」


「……いえ、なんでもないです」


 おや? 斬星君珍しく顎に手をやって考え始めたぞ。

 今、あの辺りの人ごみ見て何か察した感じだったな。

 なんか、居たかな?


「とりあえず、皆、私の元に集まってくれるかい? とりあえず点呼取って外に出ようか」


「それがいいな。黒ローブばっかじゃその内ほんとに誰か行方不明になっちまう」


 と、言う訳で、グーレイさんの元へと集まって行く皆。

 その輪から、何故か斬星君がゆっくりと抜け出る。

 誰にも気付かれないようにそろそろっと抜けると、どこかへ向っていった。

 リエラ、ちょっと行ってくる。


『気を付けてください』


 リエラに見送られて斬星君を追う。

 黒ローブ達の群れを掻きわけていく黒ローブなのでちょっと見失いそうになったけど、動き方が周囲から自分を隠しながら動こうと挙動不審だったのでなんとか見失わずに追い付いた。

 やがて、路地裏の一つに入り込む。


「やっぱり!」


 なんだなんだ……って、こいつは!

 そこには、一人の男が待っていた。

 黒ローブのフードを脱いだ斬星君に、そいつは不敵な笑みを浮かべる。


「よぉ斬星さん、久しぶり」


「光来……こんなとこにいたのか」


「あれ? 驚かないのか? 他のメンバーはどうした、とかさ?」


「あのあと全員で合流して情報共有したんだ。また二手に分かれたけどね」


「へぇ、じゃあまたあいつらと一緒に行動してんの? あんたを役立たずとしてパーティーから追い出したのに?」


「そんなこと、どうでもいいだろ。それで? そんな事言うために僕の前に姿を現したのか?」


「いやいや、情報共有出来てるなら分かってんだろ? 俺も追放された身分でさ、どうせなら仲間にならないかなって勧誘に来たのさ。今まで辛かっただろ? 一緒に奴等に復讐しようぜ!!」


 なんか変な勧誘仕掛けて来たんですが、どうする斬星くん?

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