二百五六十九・その味方がここにいる事を、彼らは知らない
「や、おつかれ」
冒険者ギルドに戻ってくると、黒ローブさんが片手を上げて来た。
うん、全員黒ローブ着てるから誰が誰やら不明だ。
まぁ銀色の肌はグーレイさんしか居ないから彼だと言うことはすぐわかった。
近づくと、グーレイさんが席を空けてくれる。
僕とリエラは黒ローブ着けてないからグーレイさんたち見える組からしたらすぐわかるメンバーなんだよね。
Gババァは黒ローブ着てても分かるけど。
「さて、いろいろと気になる事はあるけど、まずは無事でよかったよカリオン君」
「のっぴょろん」
「しかし、驚いたよ。あそこに君が出現した時は。そちらのチームはどういう状況だったんだい?」
「のっぴょぅ」
「なるほど、となると、向こうは居なくなった君を探してパニックになってる可能性があるのか」
「のぴょ」
……グーレイさんがモザイク棒人間と会話、出来てる!?
「ちょ、ちょっと、グーレイさん、言葉、わかるの?」
「ん? 大体のニュアンスで分かるだろう? 結構付き合い長いんだ。ある程度の意思疎通は可能だよ」
んな馬鹿な?
駄女神さん、これって普通の事なのかい?
―― まさか? グーレイさんがおかしいだけでしょ。あ、それより向こうにのっぴょろん君見付かった事伝えとくわよ。ノヴァ君が凄く必死に探してたから ――
そりゃ突然居なくなったし、所在不明だしで探すよね。
早く安心させたげてください。
なんならもう、Gババァに送って貰おうか。
多分一番速く元の場所に戻せると思うよ?
―― それなんだけど、向こうはお休み中らしいからもうちょっと待っても良いと思うのよねー。伝えるのも明日でいいでしょ? ――
あー、駄女神さん、それ多分フラグ。返す時は一気に行った方がいいよ?
なんか向こうでやらかす感じがひしひしするんだよなぁ。
駄女神さん、ちゃんと連絡入れておいてね? 向こうだけ無駄に探して大変な事に巻き込まれたりとかしたら駄女神のせいだからな。
―― でも、激戦終えての休みみたいだし、起きてから連絡入れるってば。ほんと、すぐに、それでいいでしょっ ――
それ絶対忘れてるヤツじゃん。
グーレイさんどう思う?
『まぁ、間違いなくやらかすだろ。駄女神だし。それよりも彼についてだ。このまま同行して貰うのか、向こうに返すのか』
『魔王復活教団がどう出るか不安ですね。下手に戻して向こうに迷惑がかかると……』
そっか、向こうで魔王教団に見付かると襲撃の可能性が……いやノヴァやくまっぴょろんいるしそこまで問題無いのでは?
『あ。そういえばあの二体も似たような生物ですね。魔王として報告が上がれば拉致の危険は増えるかも』
『となると、あの二匹もこちらに回収すべきかな? さすがにそれだと向こうが詰むか。Gババァを三人と交換、かな?』
それは随分と手痛い交換だなぁ。
あの三人とじゃ釣り合わないんじゃない?
Gババァはそれくらい優秀だぞグーレイさん?
それよりは魔王復活教団をぶっ倒してしまって後顧の憂い断っといた方がよくないかな?
あの三人が襲われることは無くなるし、僕らも自由になるから裏世界攻略に入れるし。
むしろそのほうが皆で攻略も捗って楽なのでは?
『それもそうか、確かに魔王復活教団を倒してしまった方が行動はしやすいか』
といってもどこまで倒せばいいかは不明なんだけどね。
「さて、のっぴょろん君が向こうに戻ると、魔王復活教団が灼上君達を狙い始めかねない。向こうにいるノヴァ君とくまっぴょろん君もこちらに回収して、代わりにGババァを向こうに向かわせれば良いかと思うんだけど、皆の意見はどうかな?」
「Gババァ向こうに、か、まぁいいんじゃねーか?」
「こっちは明らかに過剰戦力だし、むしろそのほうが釣り合い取れるんじゃないかしら?」
「にゃーも賛成にゃー。こっちのことはこっちでやった方がいいですにゃ」
「Gババァが居なくなるなら俺は賛成するぜ。このままじゃマジで貞操の危機だし」
ジャスティン君はたびたび狙われてるもんなぁ。
ババァ、イケメンは襲う派だから。
多分味方じゃ無ければ既に襲われてると思うぞジャスティン君なら。
全会一致で可決されましたってところか。モザイク共を回収する代わりにGババァには正式に向こうでの働きを了承して貰おう。
「それじゃあ、そういう訳だGババァ君、何か異論はあるかい?」
「まぁ、仕方ないねぇ。老骨に鞭打って向こうで働こうじゃ無いのさ。アーデや、もしも困ったことがれば、儂を呼びな。可愛い孫のためならば。この婆、時空を越えて助けに行くわい」
「おー」
いや、Gババァの孫じゃないからね。
しかし、アーデは嬉しそうにおーと告げるだけだった。
アーデとしてはソイツはお婆ちゃん枠に入ってるのか。ちょっとショックだよ。
まぁ、準備とかあるからとりあえず明日だね。
魔王復活教団が僕らを狙って来る可能性もあるし。




