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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
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二百五六十七・その勘違いされた理由を、彼は知らない

「のぴょーっ!?」


 アーデのドロップキックを喰らって吹っ飛ぶモザイク棒人間。

 喋らないし、アレは多分カリオン君の方だな。

 なんでまたあんな場所から出現したんだか。


「よし、ナイスだ同士よ! 今の内にサークルを閉じよ!」


 あれ? むしろ率先してフェアリーサークル破壊し始めたのぞ魔王復活教団。


「のぴょ!?」


「ふはははは、魔王様、向こうの世界へ戻る事はもうできませんぞーっ」


 ああ、なるほど、魔王を復活させても裏世界に戻られたら困るのか。

 召喚に成功したらサークルをいちいち壊しているようだ。

 そのせいで新たに組んだサークルは別の場所に繋がってしまうらしい。

 そりゃランダムで裏世界の生物出てくるわ。


 とりあえずカリオン君にグーレイさんが手を振ってやる。

 気付いたかな?

 まぁアーデには気付いたっぽいから大丈夫か。最悪Gババァに連れて来て貰おう。


「魔王陛下がついにご降臨召されました! 本日の魔王陛下はこちらのお方になります!!」


「のぴょ?」


「陛下、どうか、我々迷える羊に道をお示しください」


「のっぴょろん」


「……のっぴょろん!!」


「「「「「のっぴょろん!!」」」」」


 なんかヤベェ宗教誕生してない?

 のっぴょろんはモザイク人の鳴き声みたいなもんだよ。

 それがお告げってわけじゃないからね?


 ははーとか平身低頭しながらのっぴょろんと唱え始める人々。

 カリオン君が普通に引いてる……


「我々はのっぴょろん様を手厚く持て成す用意がございます。どうか皆に祝福の御言葉を!」


「の……のっぴょぅ」


 再びははーっと敬う信者達。

 正直気違い共の宗教にしか見えないから不思議だ。


「魔王陛下、ご退場にございます。ささ、どうぞ魔王陛下、こちらにいらしてくださいませ!」


 これ、灼上君たちが召喚されてたらどうなってたんだろう? 明らかに人間なのに魔王陛下にされてたんだろうか?

 あ、カリオン君が戸惑いながら僕等に助けを求めるような態度で部屋から押し出されていった。


「よし、んじゃバグ君、バグさん、彼の後追ってってくれ。外で合流しよう。私達は冒険者ギルドに戻っておくよ」


 了解。行こうかリエラ。


『はい、のっぴょろんさん助けなきゃですね』


 元は人類至上主義者だし別に放置しといても問題は無いと思うんだけどね。

 せっかくだから助けに行くか。

 僕とリエラはカリオン君が連れ去られた方向へと向ってみる。


 お、発見。あの部屋に入ってくぞ。

 壁抜け壁抜け。いやーバグってるのはある意味便利だよね。

 えーっと、おお、玉座に座らされてる。

 何されるか分からなくて戸惑いと恐怖の入り混じった態度なのがちょっと笑える。


『なんかもう、拉致被害者にしか見えませんね』


 実質拉致られたようなもんだしねぇ。

 しかも何されるかって言えば接待されてます。

 至れり尽くせりだよ。


 豪勢な食事に女性と思しき黒ローブの魔族たちが数人。

 扇というか芭蕉扇みたいなもの持って来た黒ローブが仰ぎ始めてるし。

 普通に冷風が来てカリオン君すごく寒そうだ。

 良かれと思ってやってるけど逆効果だよアレ。

 魔王復活教団、魔王に対して雑過ぎない?


「魔王陛下、どうぞ、こちらにサインを」


「のぴょ?」


 えーっとなになに……隷属契約書? おいおっさん!?


『もしかして、魔王復活教団って復活した魔王を隷属させて意のままに操ろうとしてるんじゃ』


 んなアホな? 引っかかるような魔王いるかな? いや、居たとしてもそういう魔王は弱いのでは?

 強力な魔王を配下に置けば、幾らでも周辺国家を侵略出来るからってのはわかるんだけどね。

 魔王だらけの軍を組織して世界征服とか考えてんのかな?

 とりあえず却下。


「なぁ!? 契約書が!?」


 僕が破り捨てると、彼らの目には突然契約書が破れ散ったように見えたらしい。


「おのれ貴様! 下手に出れば着け上がりよって!!」


 そして早々馬脚を現す黒ローブ。

 いや、何してんの? 計画雑すぎない?

 仮にも相手って魔王でしょ。逆らうって殺してくださいって言ってるようなもんですよね?


『私、この教団の目的が良くわかりません』


 理解するには正気度のSAN値チェックが必要そうだ。

 適度に狂わないと理解できないよ多分。

 理解する必要はないからさっさとカリオン君救ってしまおう。


『大事になっちゃいそうだなぁ。まぁ魔王復活教団とは事を構えるつもりですし、いいか』


 リエラが剣を引き抜く。

 その刹那、リエラ向けて突撃して来る黒い影。


『!?』


 ギンッと音を立ててアルセソード改と銀色のナイフが交錯する。


『私を認識してる!?』


「ちぃっ、ずいぶんな手練か! 魔王の側近か!?」


「な、なんだ!? どうした!?」


「見えない何かがいる。殺気を感じて動いてみたが、確定だ。剣で受けられた感覚があった!」


「なんと!?」


 姿は見えてないみたいだけどリエラの殺気に反応したようだ。

 意外と優秀なのがいたなぁ。

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