二百五六十三・その仲間の行方を、彼らは知らない
SIDE:灼上信夫
ようやく眠れたことで気分爽快。
僕らはいつもの会議室へとやってきた。
とりあえず進展したので皆でこれからどうするか話し合いがもたれることになったのだ。
「まずは私から報告だ。冒険者ギルドにカリオンの捜索依頼を出してきた。今のところ彼の姿は何処からも報告はないらしい。モザイク棒人間なので見ればわかるはずなのだが……」
まずはノヴァからのっぴょろん君についての話があった。
残念ながらまだ見掛けてないらしい。
何処にでてしまったのか、何があったのか、彼を先行させたことが悔やまれるが、あの時点では一人ずつ行き帰りしてもらうしか手がなかったのだ。
「さて、カリオンのことは一先ず置いておこうリーダー。次の目的地について頼む」
「ああ。一先ず、僕らは無事に帰ってこれた。中間地点って訳じゃないけど運がいい事に温泉地近くの場所から向かえるフェアリーサークルを発見した。見通しの悪いダンジョン内なのでなかなか見付けにくいが、一先ず今日場所の確認。真っ直ぐ歩けば辿りつけるルートを構築後、裏世界の探索を再開しようと思う。向こうの世界もガイコツたちの群れだったけど、北ルート以外は全くの未知だ。あと前回行かなかった通路型の場所も探索は終えてない」
「岩山のところよね? 無理して行く必要はないんじゃないの?」
「地図を埋めるという方向性からだよ。同じ理由で森の方もあるんだけど……」
却下で。
この言葉はその場にいた全員がハモッた。
僕としてもできればもう森はこりごりなので無しの方向で。
余程探索に困って森しか行く場所がなくなったら、まぁ仕方ないけども。
それまでは極力森には入りたくない。
「んで? 今度の探索場所はどんな場所かわかってんのか?」
「ユーデリアさんが暇してたらしくて先行偵察してくれたよ」
朝起きた時に聞かされて驚いたけど、ユーデリアさん一人で行って来ちゃったらしい。
「正面は炎色の雪原。右側は黄色の沼地、左側は黄金の塩湖だそうだよ」
「また変なところね。っていうか炎色の雪原?」
「炎が燃えてるみたいに揺らめいてる雪で出来た場所らしい。実際に行かないと説明は難しそうだね」
「黄金の塩湖というのも想像が付かないな」
「昔外国の塩湖に行った事はあるがすごかったぞ。まさに水鏡と言った感じでな」
リックマンさんが珍しく昔語りを始める。
そういえばリックマンさん位の年代だと旅行が逸ってたんだっけ?
僕はヒキコさんだから自宅周辺から出た事もなければ県外なんてもはや未知の領域なんだけどなぁ。
まぁ、どうでもいい話だったので割愛ってことで。
とりあえず僕らはこの中から次に行く場所を決めないといけない。
岩山横にあった細い一本道か、塩湖か沼か雪原か……っていうか死霊大地の隣がこの三種類ってそれはそれで特殊過ぎるのでは?
「どうする? また別れて探索してみる?」
「あー、それなんだけどリーダー、すまない。私はここでカリオンの情報を冒険者ギルドで募らせて欲しい」
ノヴァは来ない、と。
「くまっぴょぅ?」
「いや、お前は気にせず一緒に向かってくれ。これは私の矜持の問題だ」
まぁ、殆ど同時期にモザイク棒人間になったんだもんなぁ。思い入れがあるか。
「分かった。じゃあ他のメンバーで、どうする? 別れて探索するか、全員で一カ所ずつ向うか。僕としては時間はあるから一カ所ずつでいいかと思うんだけど」
「その時間があるってのはどこから来たんだ? 期限は確かに決まってないがいつ起きるか分からないだろ。俺は四方向に別れた方がいいと思う。ヤバそうなら戻ればいいだろ?」
「陸斗がそれでいいなら私も賛成」
確かに、そういう意見もあるのか。
「我はどちらでも構わん。強いものがいるならその場に向かう、それだけだ」
「いや、ユーデリア、そういう事じゃなくて……まぁいっか。じゃあ僕は一固まりで、どうせ全部回るなら一度別れる必要ってないと思います」
「わ、私はその、あまり戦力を割くのはどうかと、あの森の彼らのように襲ってくる事もあるでしょうし」
そうなんだよなぁ。個別に別れた場合大軍に囲まれたら打つ手がないんだよなぁ。天の神様と連絡取れる状況なら助っ人の当てもあるんだけど。何度も上手く行く訳もないし。
「どうせ全部向うんでしょ? だったらもう一日一カ所のペースで向いましょ」
「まぁそれがいいかなぁ」
とりあえず多数決取ってみたけどどうせ行くならって言葉で全員が一カ所づつ向う案で納得した。
んで、ならば何処から向かうか、という話になると、ユーデリアさんの一押しで細い道から攻略しようってことになった。
絶対守護者倒す気だよユーデリアさん……
まぁ、余程の事がない限りある程度の魔物や守護者なら対等に闘えるか。
最悪尾道さんやピピロさんもいるし。こっちもチートキャラが結構いるんだからね。