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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
1707/1818

二百五十八・その山か平坦かの結果を、彼は知りたくない

SIDE:灼上信夫


 平原を越えると別れ道。

 右側には森、左には平坦な道。真っ直ぐは険しい岩場。どうやら山になってるようで、この岩場を登って行くルートになりそうだ。

 一番良いのは平たんな道。

 何しろ見通しがいいので探索しやすいのだ。


 でも、岩場もちょっと気になるなぁ、上に行ければ見渡せるから、結構探索範囲が広くなりそうなんだよね。

 森? さすがにもう森はいっす。なんかまた仮面付きのガチムチさんに囲まれそうでトラウマになりかけてるんだよね。


「ふむ、草原地帯はここで終わりか」


「荒れ地と草原と雪原と、なんか広くはあったけどことごとく通常と異なってたわね」


「出来ればこの辺りで良い感じのフェアリーサークルがあると良いんだけどね」


「えーっと、とりあえず私森パスで」


「檸檬……いや、うん。気持は分かる。俺も出来れば森は避けたい」


「小玉氏も、っていうか殆どトラウマになってるでしょう。僕もさすがに森は勘弁だよ。もう仮面パレードには遭遇したくないし」


「同感ね。となると、残るのは二つね」


「平坦な道だが狭いな。敵は自然待ちかまえになるか?」


「それって守護者とも激突必死ですよね?」


「滾ってくるな。強敵ならばなお良し!」


「もしくは岩山ね」


「ん、こっちは登るの面倒」


「加えて魔物は上にいるから必然的に位置的不利な状況での戦闘になるわね」


 そう、どっちの道も正直デメリットがキツい。

 出現する魔物によっては全滅もあり得る危険な道だ。

 かといって森に向かう気は皆毛頭ないようで、既に選択しから除外されて誰も話題に出さなかった。

 僕としてもそれは賛成なので指摘しないでおく。


「それじゃ、とりあえず多数決で決めようか。一人一人どっちに行きたいか頼む。えーっと、それじゃまずは美樹香たん」


「んー。そうね、私は岩山かしら? 多分信と同じ理由で」


「あー、やっぱり美樹香たんも上から周辺見ようって思ってる?」


「ええ。地図がかなり埋まりそうだし、山頂はそこまで高い訳じゃなさそうだから。守護者がちょっと不安だけど、ね」


 おっと、これで山二人になっちゃったな。平坦な道選んでもいいと皆に思わせないと公平じゃ無くなってしまう。えーっと今までの会話で平坦な道を選びそうなのは……


「ユーデリアたんはどうかな?」


「平坦な方を所望する。やはり闘いは正面から堂々と、であろう!」


「あはは。えっと、そういうことなんで僕も平坦な道の方に一票です。槍の取り回し的にも上に突き出すよりこっちの方がやりやすいですから」


 これで2-2か。


「それじゃあ俺は山に一票で。俺としても上から見るのは良い案だと思うよ」


「えー、陸斗そっち? 私は一杯食べれそうだから平坦な方」


 これで3-3良い感じに別れてるなぁ。

 どっち行くか本当に分からなくなってきたぞ?


「では、私とカリオン、くまっぴょろんは全員で平坦な方を押す」


「くまっ!?」


「こらこら、言葉喋れないからって勝手に投票しちゃダメだろノヴァ。熊君は山みたいだぞ」


 熊だから山の方が好みらしい。


「では私も山の方に一票入れておこうか」


「あ。その、私もそちらにお願いします。肉体的には平坦な方がいいんですけど、地形を見る方がよさそうですから」


「では僕は平坦な道を押します。守るのも上からの攻撃より真正面からの方が守りやすいですから」


 6-6になっちゃったぞ!?

 しかも残ってるのは矢田とゴールドたん、同等の場合どうしたらいいんだろう!?


「ん、じゃあ信夫と一緒で」


「俺はどっちでもいいんだが……? 少ないから平坦な方入れときゃいいのか?」


 あああ、矢田、そんな適当になんでそっち入れるの!?

 これで、7-7だよ、どっち行けばいいかわからなくなったじゃん!?


「では、私は山の方に一票。で、これって何の話?」


「うおおおお、シルバーたん、ナイス到着!!」


 危うく二手に分かれるべきかと思っていた僕等に救いの手が伸びた。報告のために居なくなってたシルバーたんが帰って来たのである。


「で? なんの多数決だったの?」


「ん? 知らずに答えたのシルバー?」


「ええ。山か平坦か、だったらやっぱり山でしょ女は」


 いや、違う、話が違う気がするよシルバーたん。それは胸の話なのかな? だったら戦争が起きかねないから止めなさい。ちなみに僕はちっぱいは正義派でござ……おっと危ない。なにかこれ以上話題を出してはならない気がして来たぞ。


 ―― アルセはちっぱい系だよーん。あちしは山側でぃす ――


 テメェ駄女神、なんつー危ないことを教えるんだ!? バグ君が来ちゃうだろっ!?

 僕の人生終わらせる気か!? やっぱこの神、駄女神だ。絶対に駄女神だ。皆が認めてたのは伊達じゃ無かった。僕もこれからは絶対に駄女神呼ばわりしてやるからなっ!!

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