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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
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二百四十八・その目の前で行われている略奪を、彼らは知らない

「はぁ……はぁ……」


「はぁ……はぁ……」


 互いに見つめあったまま荒い息を吐き続ける二人。

 そう、メロンさんとカイゼルヒゲオヤージさんだ。

 なんか取っ組み合いしてたんだけど、少し前からこうして相手を睨みつけるだけになってしまった。


「なんというか、凄く……不毛だ」


「おお、メロンよ、醤油かソースで親子対決とは嘆かわしい」


 正直そこまで激闘する必要があるのかと思うんだけど、同じような争いで離婚とか起こるから馬鹿にはできないんだよなぁ。

 リエラはなんかこだわりってある?


『え? いえ、そこまでこだわりはないですよ? あ、でも料理作るのはあまりできないかもですよ。基本冒険者ですから外食が多いですし。アメリスさんの家だと勝手に食事出来てますし』


 そうなんだよなぁ。リエラの手料理とか幻の料理と言ってもおかしくないんだよね。


『バグ君は料理は……ああ、料理対決の時に変なのばっかり作ってた、というか料理してなかったよね』


 ほっとけ。TKGだけ作れれば充分なんだよっ。

 グーレイさんにだけマヨネーズあんこご飯提供すっぞ。


『なんだその魔境!?』


「あ、見て見てガーランド、アレ凄く高そう」


「あー、確かに、しかも使えそうな斧だな」


 どれ、と青銅甲冑が持ってた斧を取るガーランドさん。

 どうでもいいけど謁見の間にこんなもんずらっと並べるのはどうなの?

 謀反起きたら真っ先にここの武器使われるぞ?


「おー、作りもいいぞこれ。貰って行こう」


「ちょっとガーランド、さすがにそれはマズい……あら、あの杖良いわね」


 えぇ!? ちょっとグーレイさん、なんかSランク冒険者たちが魔王の間から道具パクろうとしてるんですが?


『え? 魔王の城から武器入手するのはおかしいかい?』


 あれ? ゲームではむしろ当然だけども……あれ? いいのか?


『ちょ、盗みはだめですよ!? しかもメロンさんの実家じゃないですか』


「ふぇっふぇっふぇ。メロンはむしろ了承しそうじゃぞ? 父親と敵対しとるし」


 それもそうか。Gババァは……アーデを肩車して走ってる。

 なんかアーデが楽しそうだからいいけども、さっき会話に加わったのも周辺走ってたついでに話が近くでされてたから寄って来たってだけらしい。


 キャットハムターは寝っ転がってゴールデンオカブを四足で回して遊んでいる。

 ゴールデンオカブめちゃくちゃ回転してるけど凄く楽しそうなのでいい時間潰しになってるんだろう。

 パッキーは……くねくねちゃんとラウールさんとでなんか変な動きしてる。

 踊っているのかもしれないけど真相を確かめる必要もないので放置だ。


「停滞し始めたわね。しばらくここにいるのかしら?」


「あー、ブロンズさん暇そうですね」


「剣の英雄と魔王ギオ。なんかあんたたち距離近くない?」


「そ、そうでしょうか?」


「まぁいいじゃないか、それよりカッパーさん居ないの?」


「今グネイアス帝国に報告に戻ってるわ。あーあ、私が向えばよかったわね」


 報告を暇潰し扱いしないでほしいんだけど。


「にしても、あの二人どーするつもりなのかしら?」


「争う理由が理由だからなぁ。親子の縁を切るか、修復できるとも思えないし」


「あー、ソレは確かにありそうね」


「えぇ、唯一の御両親なのに……」


 ギオちゃんは優しいね。でも元魔王だったら笑って引き裂いてただろうことは想像に難くない。

 本当に乙女化が酷いなぁ。

 残虐性がもはや皆無じゃなかろうか?


「うにゃー。このクロー使いやすそうにゃ」


「このブロードソードもいい作りだぜ」


 あー、グーレイさん、なんかエストネアさんたちが本格的に武器回収始めてるんですが……


「私は何も、見なかった。うん、見なかった」


 グーレイさんが放置決め込んだ!?

 まぁ本人はメロンさんと激突必死で気付いてないから、まぁいいか。

 敵対したままになるならむしろ武器は奪っておいた方がよさそうだし。


『うーん、いいのかなぁ。ってバグさん!?』


 え? いや、どうせ奪うなら青銅甲冑お金になりそうだし。

 防具としても使えるだろうから持っててもいいかなって。ポシェットならいくらでも入るし。

 あの魔王が気付くまでが勝負なんだって。


『ふむ、まァ確かにこれからの冒険で必要にならないとも思えない』


『あ、あれ? グーレイさんまで同意しちゃった? ってことは、むしろこれが、普通? あれ? 普通ってなんだっけ……?』


 リエラの精神がおかしくなり始めた。

 グーレイさん何してんの!


『えぇぇ、同意しただけなのに、バグ君に怒られるの!?』


 当然、リエラの価値感が壊れちゃったらツッコミ役が居なくなるじゃないか!


『あれ? 私ってツッコミ役だったんですか!?』


 じゃあ今のはツッコミ入れればいいんですよね? と常識を取り戻したらしいリエラ。良かった。リエラまでこちら側に来てしまったらツッコミ役不在でカオスな状況になるだけだったぜ。

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