二百四十五・そのバグが帰ってきたことを、彼らは知らない
と、いうわけで、向こうと情報交換してきたよ。
『あんまり灼上君に迷惑掛けちゃダメだよ。彼頑張ってるんだから』
あっはっは、ちょっとお灸据えただけじゃないか。アルセに対して萌えとか仲間じゃなかったら僕殺しててもおかしくないくらいだよ。私刑だよ私刑。
『笑顔で言うこっちゃないだろう……』
それで、何か変わりはある?
『正直にいうよ、あんな短期間で変わりなんかあるわけないだろう!?』
そりゃそうか。
あ、そうだった。情報貰って来たよ。一応駄女神から聞いてるかもだけど、向こうは裏世界の法則をいくつか見付けてた。
あとフェアリーサークルが出来る理由も分かったよ。
『概要は既に来てるけど、正直何が何やら、だね。ただ……』
うん。裏世界はおそらく表世界に浸食してる最中だ。
『やはりかい。そうなると、パンティさんの世界を横取りしようとしている誰かがいるってことか』
だ、そうですけど、パンティさん、誰か心当たりある? なんか恨まれてるとか?
―― えぇ、私を怨む人なんていないと思いたいですけど…… ――
―― あー、自分になくても相手にとっては許せないってのは結構あるわよ、あちしもそれでストーカーみたいなやっばいのに散々痛い目見せられたからにゃー。まぁなんとか撃退できたからいいけども、パンティーちゃんも知らないうちに恨みかっちゃったタイプなんじゃない? ――
『駄女神クンね、蛇のようなストーカーに恨まれて何度も闘い挑まれてるんだよ、なのにこの態度だろ、そりゃイラッとくるし、絶対負けたくないって思うよね?』
それは激しく同意します。
僕ももしも神界いけるなら真っ先に駄女神殴りに行くし
―― 暴力反対ーっ、なんでわちし殴りにくるでしかーっ!? ――
え? だってアルセに変な事教える危険人物だし、この際アルセに変な事教えないように完膚なきまでに潰しとくのもありかなって。
―― さすが激烈モンスターペアレント。神界来れなくてマジ助かりましたっ ――
『連れて行ってやるのもありかもしれないね』
よし、とりあえず消滅一歩手前位までタコ殴りだぁ。
―― 禁止禁止っ! 絶対に来させちゃダメだからねグーレイさん ――
『大丈夫でしょ、言うだけだよ。あと余程心配ならアルセと一緒に居れば助けてくれるでしょ』
お気楽だねー。
まぁアルセに「めっ」って言われたら僕としても止めるしかないかなぁ。
『なるほど、バグさんにはアルセとアーデが有効なんですね』
『あーでもねバグさん、こいつ、度を過ぎてアルセたちを使うと逆にキレちゃうからバグらされると思うんだ』
『あ、それは確かに』
なんか二人して僕の事貶してません?
『それより、そろそろメロンさんの故郷に着きそうなんだ』
『敵対したつもりはないですが、メロンさん曰く、向こうから殺しに掛かってくるらしいですからね』
ほんとにそんな危険な国なのかな?
メロンさんの言い過ぎなんじゃない?
『そうは思うんだけどラウールさんも同意してるのが不安なんだよね』
『国ぐるみで追ってこられたらさすがに僕らでも手に負えないよ』
向こうを殺さない限定だよね?
まぁいいや最悪僕の本領発揮で良いのかな?
そういうことなら遠慮はしないよ?
「そら、皆街の門が見えて来たぜ?」
「メロン君、本当に覚悟した方がいいんだね?」
「ええ。ほぼ確実に、私を認識した瞬間襲って来ます。一緒にいる皆にも襲ってくると思うから覚悟はしておいて」
ほぼ確信したようなもの言いだ。
となると確実に向こうが襲いかかってくるので、こっちは正当防衛として対処すればいいのか。
半信半疑ながら皆いつでも対処できるように何かしら装備したり身構えたりしている。
「止まれ!」
ついにやってきた街門で、早速兵士に止められた。
が、その兵士の様子がメロンさん見た瞬間停止する。
「生ハムメロン……姫?」
「姫が、姫が御帰還……」
ならば、と二人は頷き合った。
なんだ? と思えば、武器を率い抜き、メロンさん向けて飛びかかる。
「姫ぇぇぇぇ、死ねぇぇぇぇっ」
まさに踊りかかるの体現者。
即座に対応したガーランドさんとジャスティンが剣を受け止め背後に回ったGババァとリエラに無効化される。
門番さんが気絶しちゃったけど、まぁ街に入って問題はなさそうだ。
「とりあえず、君はフードを被ってくれ」
「それが良さそうね」
でも残念。一度知られたせいか、僕らの一団見付けた瞬間、兵士達が殺到して来るようになった。
一人一人はそこまで強くないからいいんだけど、連続で来られるとちょっと面倒だなぁ。
下手にアーデに攻撃が来ないかと心配になってくるよ。
まぁ、もしもそんなことして来る奴がいたら……
『バグさん、アーデの警護よろしく、傷一つけたらバグ君が暴走しそうだ』
『了解です。もう、バグさんはホントアーデ好きなんだから』
アーデを傷付ける奴はバグればいいのさ。