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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
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二百四十四・そのバグが帰ることを、彼らは知らない

 なるほどなぁ。

 僕は灼上さんから現状報告を聞いて理解した。

 どうやらこの裏世界、法則がいくつかあるようだ。

 そしてその法則は女神パンテステリアの理解を越えている。


 条件付け出来ているってことはこの裏世界も誰かに作られたとみて良いだろう。

 加えてパンティさんは初心神だそうだし、付け入る隙はかなりある。

 誰かが彼女の作った世界に自分の世界をぶつけて融合、奪い取るとかやってても不思議じゃない。

 そしてそんな事が出来る存在となれば、グーレイさんたちと同格の神である可能性が高い。


 あの夢、現実味を帯びてきちまったぞ。

 グーレイさんたちと同格ってことになるとグーレイさんが不意を打たれれば倒される可能性が高い。さらにこの世界の住人や英雄たちだと神相手に勝てるかというとさすがに無謀としか言いようがない。強くはなってるだろうけど強さの次元が違い過ぎる。


 と、なると、対等に闘えるのはグーレイさんとリエラだけになる。

 そしてグーレイさんが負けてしまえば残るのは死屍累々の味方と、見えない僕とリエラのみ。

 ヤバい。なんか本当に対策しないとヤバいぞこれはっ。


 とはいえ、ここからだと駄女神さん達に連絡する事も出来ないし。

 とりあえず表世界に出た方がいいな。

 えーっと、念話が出来なくなったから会話手段がないな。

 Gババァさん、そろそろ帰るよ。あと僕らが帰る事僕の代わりに灼上さんに伝えてください。


「そうかい? それじゃあ灼上お兄ちゃん、またいつか」


「ひぃっ!?」


 明らかに自分より年老いているGババァにお兄ちゃん呼びされた灼上さんが本気で引く。

 でもさ、一応このGババァ、産まれてから二年くらいらしいからね。実は年下なのだよ。

 あのGババァさん、僕のことはお兄ちゃん呼びはしないでください、マジで。


「駄目かい?」


 駄目です。グーレイさんならきっと喜びますよ。


「ほぅ、じゃあ呼んでみようかね」


 僕はグーレイさんを売った。

 後悔はしていない。

 さらばグーレイさん。悶えまくってくだされ。


 そんじゃま、帰りますがGババァさ……うおぉ!? 何かいるーっ!?

 森の中からこちらを見ていた老婆みたいな存在を見付けて思わず叫ぶ。

 即座に戦闘態勢に入るGババァ。

 遅れ、灼上さんたちも武器を構え、ピピロさんが前に出てくる。


「あの容姿、マンティコアか!?」


 知っているのか灼上さん。


「ゲームで中ボスとかやってる結構強い敵だ。ゲームによって毒吐いて来たり石化使って来たりするんだけど、総じて人間並の知能持ってて狡賢い」


「ふぉっふぉっふぉっ」


 Gババァが高速移動。光の速度で近づき蹴り飛ばす。

 が、その足を掴み、そのまま地面に叩きつけるマンティコア。

 しかしGババァも上体を折り曲げエクソシストに出てくる階段下りてくる少女みたいな四つん這い。四つん這い? まぁ四つん這いか、エビ反状態だけど。そんな姿でかさかさと這いながら足を掴んだままのマンティコアを蹴り飛ばす。


「ギャァ!? 痛でぇ!? 痛でぇよぉ!? 助けてくれぇ」


「え? 喋った? あの、大丈夫で「近づくなピピロたんっ!」へ?」


 マンティコアの口から紫色のブレスが放たれる。

 咄嗟にピピロさんの腕を引っ張り自身もろとも跳び逃れる。


「今のは多分九官鳥とかが喋るのと同じ、言葉の意味を理解せずに放たれた鳴き声だ」


「な、鳴き声?」


「敵を油断させるための演技だ。決して気を抜くな! ソイツは狡賢い」


 事実、灼上さんに看破された瞬間笑いだすマンティコア。

 っていうか、今の紫色のブレスはちょっとヤバい。

 多分毒とか……ぎゃぁぁ!? 樹が枯れたァ!?


「あのブレス、触れたらヤベェなんてもんじゃねぇぞ!?」


「貫波」


 どばっと放たれた光の奔流が紫のブレスごとマンティコアを消し飛ばした。

 無敵かっ!?


「すげ……あのおっさん強くなり過ぎじゃねぇか?」


「アレを、一撃か……クソ、なんで私は……」


 リックマンさんが凄く悔しそうなんだけど、彼もバグってるんだよなぁ。

 まだバグは潜伏中のようだけど、パンデミックしないか不安です。

 大丈夫だよね?


「しかし、ヤベェ敵だったな」


「ん、初めて見た」


「んー、それはいいけど、今ピピロさん凄い避け方しなかった?」


 シルバーさんに気付かれそうだ。Gババァ、撤退、撤退するぞーっ。


「はいはい、まったく老骨は労われと習わんかったかのぅ」


 あんた老骨だけど雛みたいなもんじゃん。


「子供をこき使いすぎじゃないかえ?」


 立ってる者は親でも使えというじゃないか、ほら、グーレイさんとこまでれっつごー。


「仕方ないねぇ、でも少しくらいは何か見返りがないのかえ」


 そんな事を言いながら僕を小脇に抱えて光と化すGババァ。さすがに光速移動に連れて行かれると僕が持たないので僕がブラックアウトする限界位の速度で走りだす。

 あー、じゃあとりあえず良い男見付けたら優先的に紹介します。

 ってことでGババァと取引をするのであった。 

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