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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
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二百四十二・その違和感の正体を、彼らは知らない

SIDE:灼上信夫


 あのままあそこにいてはマズい。本能的に察した僕らは、丸い人々に冒険に出立すると告げて、そそくさと裏世界から脱出した。

 そして、西方面はとりあえず放置して尾道さんが違和感があると言っていた東の森へと向かうことにしたのである。


 エメラルドブルーに煌めく森の中、僕らは尾道さんが感じた違和感のある場所へとやってきた。

 一見何の変哲もない普通の森の中なのだが、ここに違和感が存在するのだと言う。

 とりあえず、僕等全員で周辺を調べてみたんだけど、誰も尾道さんの感じる違和感を感じる事が出来なかった。


 この辺にあるんですが、と尾道さんが困惑気味に告げるのは、樹と樹の間にある何もない空間だった。

 その周辺を探ったり、軽く土掘ったりしてみたんだけど、どうにも違和感の正体が分からない。

 でも違和感はここだけ強いってことなので何かしら反応してるんだろう。


 樹の上はユーデリアさんにジャンプして調べて貰い、土の中は実際掘って調べてみた。

 結局何も見付からず、何がおかしいのかすら理解できず……て、なんかモザイクたちもここなんか気になるとか言ってたなぁ。

 ユーデリアさんとリックマンさんも確かに何かある気はするとは言ってたし、ここに何か……

 待てよ。グーレイさんなら分かるかも。

 でも、グーレイさんに話を付けようにも今何処にいるかは分からないし……


「ゴールドたん、グーレイさん達と連絡って取れるかな? 彼らなら違和感の正体を……」


 ―― ぱんぱかぱーんっ。それはバグでーっす ――


「なんだっなぁーっ!?」


「あ? どうしたリーダー?」


 え? え? 何今の? 他の人聞こえてないの?

 女の人の声聞こえたんですが!?


 ―― おちつけもちつけ牝馬が通る。 あ、違った、なんだっけ? まぁいいや。やぁやぁ灼上君、グーレイさんに連絡するまでもなく答えを教えちゃうよーん ――


 だ、誰ぇ――――!?


 ―― おっと失礼。この念話はお前にしか聞こえないー。えーっと我が名は女神…… ――


 ―― あー、ちょっと駄女神さん、なんでそっちに念話送ってるんですか!? って、うわわ、声そっち聞こえちゃってます灼上さん!? ど、どどど、どうしよう、どうしようっ!? ――


 女性の声が増えた!?

 こ、これはまさか、DTの異名を持つ者たちが30の年月を経ることで辿りつくと言われるあの伝説の、魔法使いにのみ許された【理想の脳内美少女マイ・フェア・レディ】!?


 ―― 違いますっ! 初めまして灼上信夫、天より語りかけております。我が名はパンテステリア。その世界の、神です ――


 か……


 ―― ちょ、パンティちゃん、今あちしが喋ってるんだから邪魔しないでよーっ ――


「おーい、信? 何突っ立ってんの? か? って何?」


「あ、いや、その、えーっと、どう? 何か分かった?」


「何も分かんないのが分かったわね」


 そっすか、んー、でも、バグ? 神? パンティ? いや、最後のは違うか。

 えーっと落ち付け。一回落ち着こう。

 まず脳内でへんな会話を繰り広げてる自称女神二人。一人は駄女神、もう一人がパンティさん


 ―― え? 待って。まって、あちき駄女神じゃな…… ――

 ―― 私もパンティじゃなくてパンテステリア…… ――

 ―― 二人とも話進まない。あのね、灼上お兄ちゃん、そこにあるのはバグなの。どうもその辺りだけ私達の声が届いたりするみたい。多分元の世界と繋がってる場所だよ。フェアリーサークルが出来る手前の場所なのかも ――


「ぶふっ!? ちょ、何その顔。なんか衝撃的事実目の当たりにしたみたいな顔になってるわよ。ぶふっ、ぷぷぷ、ムリムリムリ、そのリアル衝撃的事実顔は無理だって。あはははははっ」


「おい、クソ女何笑って……ぶはっ!? ちょ、リーダー、なんだその不細工顔!? ぶはははははははっ」


 ―― えっとね、そこからだと裏世界調べられるみたいだから、もしも見付けたら周辺にしばらく立ってて欲しいの。解析が済めばそっちの世界の情報も少しずつ調べられるから。あの? 灼上お兄ちゃん? ――


「も……」


 ―― も? ――


「萌えぇぇぇぇぇぇぇ――――っ!!? これぞ我が【理想の脳内美少女マイ・フェア・レディ】ぃぃぃぃぃ―――――!! 理想郷は、天に、あった!!」


 ―― なんかよくわかんないけど、アルセの声でバグ君並のヤバそうなのが覚醒したってことかしら。とりあえずバグ君に連絡しとこ。保護者さん、不審者産まれましたよっと ――


 な、なんということだ。ぼ、僕を僕なんかを、お、おおお、お兄、ちゃん? お兄ちゃんとお呼びされましたか!?

 女神アルセ様ですな! この名、我が脳内にしっかり刻み込み……


 ―― あ、君か? アルセのストーカー。今から行くから待ってろよ。マジ逃げんな? とりあえず徹底的に全殺しと半殺しの後全殺しと雑に全殺し、好きなの選んでおいてくれ ――


 ひぃぃ!? な、なんですか今の!? 人を呪い殺しそうなドス効いた念話が来たような!?


 ―― すまない灼上君、私では止められなかった。その……死ぬな ――


 え? グーレイさん? え? 何、グーレイさんと繋がったの? どういうこと? 僕、死ぬの?

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