二百三十一・その国が滅びることを、彼らは知る気はない
捕まえた組織の一味はふん縛ってカッパーちゃんとブロンズちゃんに託す。
二人は既にグネイアス帝国の助っ人を呼んでるらしく、ソイツらが全員適当な街の衛兵さんの元へ連れて行くそうだ。
さすがにこの国の牢屋にはいれれないもんね。折角入れてもすぐ出てくるんじゃブチ込む意味がないし。
宣言通りに組織は壊滅。
んで、同時期にギルドには本部より監査官が抜き打ち訪問。
また効力を失ったポーションたちに激怒した他の組織がギルド長と王様に突撃。
理由が分からない王様たちは答えることすら出来ず、その態度に組織の者たちはさらに激怒。
そして亀裂が生まれて抗争へと発展する。
それは急激に、国を悪化させていく。
既に悪化の一途を辿っていた国だ。崩壊は時間の問題だろう。
察しのいい貴族は他国へと移住を始め、ソレを見て察した平民たちもまた国から逃げて行く。
国はもはや無法地帯。
城も裏組織の者たちに奪い取られ、さらにソレを奪い取る別組織と報復合戦が始まる。
国を追われた王たちは別の国へと向かうものの、冒険者ギルドを通じて各国にこの国の状況がしっかりと伝えられていたため、対応はかなり悪くなる。
さすがに国を潰した上に民をないがしろにしていた王族を王族として対応はしないようだ。
ってことを何で知ってるかって言えば、まぁ別の国に行った僕らが冒険者ギルドで情報仕入れた結果なんだけどね。
あ、ちなみにそろそろ組織撃滅部隊が集まり終わったらしくて王国奪還作戦が開始されるらしい。
腕に覚えのある冒険者たちが国を囲んで一斉魔法攻撃で王国ごと灰燼に帰すとか。
まぁさすがにそこまではしないかもだけど多分国は半壊免れないだろう。
ガーランドさんたち怒らすと国が一つ滅ぶようだ。怒らせないように気を付けようと思う僕でした。
『普通は個人怒らせた程度で国は滅びないと思うんだけどなぁ。今回は間が悪かったと言うかタイミングが良過ぎたと言うか……』
リエラも苦笑いだ。
まさか僕らの介入で一国滅ぶとは思わなかったらしい。
ちなみにガーランドさんたちも冒険者ギルドに何度も向って自分たちが国滅ぼした訳じゃないってことをしっかり報告してたりするんだけど、なんか逆に本当っぽく思われてて冒険者ギルドの長たちが『帰還の誓い』の二つ名を国殺しとか呼んでたりするんだけど、これは黙ってた方がいいのだろうか?
さて、とりあえずあの国については滅んだってことでなむーしとくとして、今僕らが居るのは魔族領の手前にある国の首都である。
ここはあの国と違って街門くぐってもからまれたりしないし、街人は優しく道教えてくれたりするし、兵士さんは不正してないしで凄く過ごしやすい町だった。
国王の治世が良いんだろうね。
街に活気が満ちている。
ここに辿りついてからしばらく自由行動でゆったりしており、今日で三日目になる。
僕はリエラとアーデ、メロンさんの四人で宿にいた。
アーデが宿で寝ときたいみたいな態度だったのでメロンさんが面倒見役で残って他の皆が遊びにでかけたのである、と言ってもガーランドさんたちは依頼受けに向かったみたいだけど。
自分たちが品行方正で国滅ぼしたりしないってことの証明のために塩漬け依頼をこなすそうだ。
Gババァが一緒だから危険は無いと思うけど。リエラがフォローしてないから斬星君が不安な所だね。
「はぁ……それにしても、貴方達本当に見えないのによく皆と一緒にいれるわよね。いえ、悪い意味じゃないんだけどね」
メロンさんは僕等について分かってるのでこうして語りかけてくる。
といっても返事がしずらいのがなぁ、とりあえず筆談しようとしてみたけど案の定こっちの世界の言葉、書けないし。リエラの言語でも分からないと言われたのでお手上げである。
今は彼女の手を使っての簡単なYES、NOで反応を返している。
「でもまぁ、こうして何も考えずに一日ゆっくりする日、たまにあってもいいわね。んー、もう一寝入りしようかしら?」
「おー!」
「あら、一緒に寝る?」
アーデはホント誰にでも気にせず行くなぁ。魔族だろうと関係ないようだ。
「貴方たちはどうする? 寝る? あ、そう? 二人も居るし話し合いかしら?」
『そういえば、二人きりってなかなかありませんでしたね』
そういえばそうだなぁ。
リエラと二人きりって実はなかなかないんだよなぁ。
いつも何かしらの邪魔が入る感じだし。
『あはは。じゃあ今日はゆっくりしちゃいましょうか?』
そうだね。アーデたちもほんとに寝ちゃったし。リエラと二人ゆったりするかぁ。
隣合って座るだけでも実は結構楽しかったりするんだよなぁ。
―― ちなみにデバガメが三人ほどいちゃったりするんだけどー ――
アルセは問題無し、駄女神二人はぜつゆるで。
―― なんでよーっ!? ――