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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
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二百二十二・その情報共有で知った情報を、彼らは知りたくなかった

SIDE:灼上信夫


「お帰りー」


 砂時計がそろそろ尽きそうだったので折り返して最初の場所へと戻ると、既に戻って来ていた小玉氏たちが僕等に気付いた。

 檸檬たんが凄く楽しそうに手を振っている。

 振り返した方がいいんだろうか?

 でも僕がやると調子乗ってんなこのデブとか言われそうだし。


 でも僕以外無反応なんだよね。

 これは反応すべきか、それとも皆みたいに無視するように歩くのが正解か……

 うぅぅ、ごめん檸檬たん。僕には汚物を見るような眼で見られるのはもう耐えられないんです。


「早かったね小玉氏」


「ああ、帰りに何があるかわかんねぇからちょいと早めに帰って来たんだ。一応収穫もあったからな」


「むぅ、一番乗りではなかったか」


 僕と小玉氏が話していると、北側からユーデリアたんたちが戻ってきた。

 さらに時間差でピピロたんたちも戻ってくる。


「ふぅ、たった三人だと安心感が違うな。常時気を張り詰めていたよ」


 リックマンさんがふぅっと息を吐く。

 一番疲れて見えるのは気のせいかな?


「さて、とりあえず屋敷に戻って報告会と行こうか」


 ……

 …………

 ………………


 と、いうわけで、戻ってきた魔王別邸の円卓に皆が席ついて僕の言葉を待っている。


「んじゃ、皆今回の探索で分かったことがあれば報告よろしく。まずは北から」


「我等は黄土色の砂利道を北に向かった、その後茜色の小道があり、空色の地面で引き返してきた。遠くにだが黒い海が見えたぞ」


 黒い海とか行きたくはないなぁ。


「あ、それと報告。ユーデリアが楽に魔物倒してたんだけど、どうも地面の色が変わると出てくる魔物の種類も変わるみたいだ。あと川も流れてたんだけど、黄土色の砂利道では黄土色の川だったのに茜色の小道に入るとそこから茜色の川になってたよ」


 やっぱり地面の上にテクスチャとして色が付いてるようだ。


「ふむ、我からも何か言うべきか……ああ、そういえば一つの色に付き強者と思しき存在が一人いるようだ。こちらには足手まといが三人ほどいたので近づかないでおいたが、アレに何かあると思う」


「あ、それなら南の報告で話すよ。他に北でわかったことは?」


「えーっと、ない、かな?」


「くまっぴょろん」


「あ、そうそう、川が変わるごとに魚釣ってたんだが、色が違う場所だと生息する魚も種族が違うらしい」


 守護者の領地によって生息する魔物の種類も変わるってことかな?


「んじゃ次は東でいいかな? 俺らが向ったのはエメラルドブルーの森だ。ホントはもっと先まで行きたかったんだが。この森結構大きくてさ」


「いやー、森の中に生ってる果実美味しかったよ」


 た、食べたんだ……大丈夫なの!?


「まぁ、こいつの特性があるから食べるのは問題ないんだけどな。一応鑑定とか俺のスキルで調べた感じ、裏世界の果実も後遺症なく食べられるってのはわかった」



「そっか、ならこの世界に閉じ込められて餓死ってのは心配しなくても良さそうだね」


「一応裏世界の魔物も食えるヤツいるみたいだし、にっちゃう系魔物とか。だから肉にも困らないと思うぞ」


 それはそれで食べたくはない、かな?


「尾道さんからは何かある?」


「え? えと……所感ではありますが、たまにこう、重圧を感じる場所がありまして、いえ、何もなかったんですが……」


 重圧を感じるけど何もなかった?


「言われた場所俺らも見に行ったんだけどさ、ほんとになにもなかったよ?」


「そうなのか……いや、でも一応、明日、僕等全員で向ってみよう、何かあるかも知れないし、別の人なら反応するかもしれないから」


「わかりました、場所は覚えてますので、あ、でも、期待はしない方がいいかと、勘違いかも、ですし」


「いいんですよ、尾道さん。僕等としても手探り状態ですから、むしろ勘違いの方が多いくらいだと思ってます。少しずつ解明していきましょう」


 と、話をまとめ、一度息を整える。


「では僕から南側で分かったことを話します、と言っても南に何かあった訳ではないので方角は関係ないのですが、守護者と一戦交えました」


「なに! うらやま……怪我はなかったか?」


 ユーデリアさんェ……


「ええ。別の色の地面に逃げ込んだら追って来ませんでしたからね。自分の領地から出られず凄く悔しそうに倒れました」


「倒したのか!」


「面白れぇことが分かったぞ」


「矢田、自分がやったみたいに言わない」


「チッ、へいよー」


「あー、それでね。どうも守護者を倒すとその領地が消失するみたいだ。守護者が居たのは黄色の場所だったんだけど、消失と同時に領地の四方から浸食されて別の色が黄色の中心地でせめぎ合ってたよ」


「ってことは、ここの守護者たちは陣取り合戦みたいなことしてるってことか?」


「それなんだけど、守護者自身は領地から出られないみたい、つまり、陣取り合戦というよりは侵略者である僕らが守護者を倒して色つきの地面を全消ししろって感じじゃないかな?」


 正直この仮説自信ないけどね。

 んじゃ、ピピロさんどうぞ。


「あ、そのー、最後に西側から……現地重要住民と接触しました」


 なんですとぉ!?

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