二百十一・その復活しちゃった魔王を倒す術を、彼らは知らない
「どうしたどうした? それで終わりか?」
僕らは全力で攻撃した。
でも、リエラの弾指那由他斬もグーレイさんのピチュン攻撃も、エストネアさんの魔法連弾もことごとくが弾かれる。
ガーランドさんとジャスティンさんが足元に攻撃。
三メートル大の魔王とまともに打ち合う気はないと、全員一度攻撃してはバックステップで戦域離脱を行っていく。
ラウールさんの連撃、魔王ギオルデガギガスは意に介さない。
くねくねちゃんの不思議な踊り。呪いが掛かった様子は見られない。
パッキーの目から破壊光線、もバリアに散らされた。
Gババァも光速突撃を繰り広げるも、全て阻まれてしまう。
これはさすがに酷過ぎる。
裏世界、理不尽過ぎじゃないですか?
『バグさん、これ、もしかして貴方が見た夢の?』
いや、それはない。
あの光景では、そう、ピピロさんや尾道さんもいたんだ。
皆倒れた光景、絶望感とやるしかないっていうリエラの決意。
あの光景は、忘れない。
だからこそ、分かるんだ。
ここじゃない。
つまり、このバケモノは何かしらの攻略方法で倒せる。
倒……せるのかなマジで?
バグらせる方がいい気がしなくもない。
『それは最後の手段だ。とりあえず現状出来得る攻撃全てを試してみよう』
そうは言うけどグーレイさん、既に皆いろんな攻撃試してるじゃん。
もうこれ以上は無理なんじゃないかな?
いっそ向こうの世界におびき出して駄女神共にシールド剥がさせるとか?
「成る程、ソレはありかも」
あ、それはアリなんだ?
魔王ギオルデガギガスだっけ、なんか向こうに文献みたいなのないのかな?
「さて、それがあったとして調べる時間をくれるとも思えないけどね」
あれはどう? ネコミミとか付けて汝は猫! キャットハムター先生お願いします、みたいな?
『それが出来るならキャットハムターも立派な即戦力だね。物理攻撃だから効かないだろうけど』
それもそうか。
うーん、今いる戦力でしょ?
まず戦力外が僕、カッパーちゃん、ブロンズちゃん、キャットハムター、アーデ……いや、アーデは小枝投げたり、ヒヒイロアイヴィで拘束しようとしたりしてるから戦力に入るかな?
んで、遠距離がエストネアさんとグーレイさん、メロンさん、パッキー。
近距離がリエラ、斬星君、ガーランドさん、ジャスティンさん、ニャークリアさん、Gババァ。
呪術を掛けてるっぽいのはくねくねちゃん。
この面子が一斉攻撃仕掛けてるのに全部弾かれてるのだ。
向こうもダメージは無いので余裕で仁王立ち。
巨大な男が嗤いながら全ての攻撃を弾いている状態だ。
「フハハハハハハ、どうしたどうした? 貴様等の力はその程度かぁ?」
「おいおい、これだけ攻撃して無傷かよ!?」
「魔法全部試したけど効く魔法が無いわっ」
「うにゃー、咆哮系も効かないとかどーなってるにゃ!?」
「くねくねちゃんが踊ってるけど、アレ絶対呪舞だろ!? なんで平気なんだよ!?」
「くやしいねぇ、私の攻撃も全然届かない。キスもできないのは辛いねェ」
Gババァの口付けも弾かれたのか……リエラのスキルも全部弾いてるみたいだし、これはもうやるしかなさそうだなぁ。
『仕方ない、今よりマシになること祈ってるよバグ君』
『バグさん、大丈夫ですか?』
うん、まぁ、ちょっと集中するのと、射線に誰か入って来ないようにしてほしいかな? 最近よく他の人がバグに当たって想定外の変化しちゃうんだよね。
『た、確かに、リックマンさんとかやらかしてますね』
『とりあえず放つ前には伝えてくれ皆を引かせるよ』
『私があいつの傍までお連れしましょうか?』
外す可能性が無くなるほど接近するのか、うん、いいね。それで行こうか。
んじゃ、溜め込むぞーっ。
集まれー、集まれー、アーデのためのバグさんたちよ。
……リエラ、腕の先に触れないようにお願い。
『では、失礼します』
僕の身体を抱えて魔王に向かって突撃するリエラ。
「全員一旦下がって!」
「グーレイ?」
何かあったのか? と皆がグーレイさんの元へと集まりだす。
「ほぉ? 逃げるではなく、集まるか。くく、この防壁を前に一体何をしてくるか、楽しみだな」
いっけぇぇぇぇっ!
僕は思い切りバグ弾を撃ち放つ。
よし当たっ……えぇぇ!?
『バグ弾も跳ね返した!?』
あ、いや、でも半分入り込んだ、みたいな?
あ、やば、反射されたバグ弾がラウールさんに……
「ほきょぁ!?」
「あん? どーしたラウール?」
「くはははは、何をするつもりか知らんがあまり待ってはやれんぞ?」
『どうだいバグ君、なんか想定外のことも起こったけど』
待って、今あいつのステータス確認するから。
えーっと……




