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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
1659/1818

二百十・その復活しちゃった魔王を、彼らは知りたくなかった

「オルァ! 道をあけやがれ!」


「ふぇっふぇっふぇ、そこじゃぁーっ」


「ぎゃぁーっ!?」


 ああ、また一人純情な若者がババァの餌食に……


「か、囲んで殺せぇ! 口づけ中は無防備だ!」


「封印されし魔王のためにっ!」


「ま、魔王陛下、ばんざーいっ!!」


 必死に僕らを塞き止めようとするローブ服の男達。

 しかし、水を得た魚のようなガーランドさんとGババァに翻弄され、つぎつぎと討ち取られていく。

 一応命だけは取り留めてるようだけど、ガーランドさんの攻撃で四肢を破壊され、あるいはGババァの熱いヴェーゼを受けてSAN値が直葬されてしまう。

 ゆえに戦力外が多数作られていくのだった。


「クソ、何処の国の妨害者だ!?」


「あそこに落ちてるトロフィーを見ろ、あれはグネイアス帝国の帝王だ!」


「チィッ、確かあの国は英雄を召喚したのだったな、奴らが狙っていたのは封印された魔王、つまり、陛下か!?」


 ありゃ、バレた!?


「陛下の元へ行かせるな! 命に変えても死守せよ!!」


 ローブ服たちの熱意が変わった。うろたえていた様子が一瞬で殺意に塗り替えられる。

 人類至上主義者たちが魔物を見付けた時のように、僕等に向かって殺到して来る。

 正直恐い、でも皆が頑張ってるから僕は必死にアーデにやってきそうな敵をキャットハムターとパッキーと共に守る。

 と言っても攻撃出来てるのはパッキーだけだけど。


 僕らの元に避難して来たブロンズちゃんとカッパーちゃんも纏めて守るパッキー。

 一体だけなのに凄い頑張りだ。

 まぁ、僕等に向かって来る敵が一番少ないから問題は無いんだけど。


 徐々にだけどこちらが押している。

 間もなく先頭組が封印場所へと辿りつくようだ。

 僕らもそこへ向おう、と思った瞬間だった。


「一体何事だ!」


 おっと背後から司祭さんのご登場だ。

 結構近くに居たんだろうか? それとも支部にも裏世界への扉があってそこを通ってやって来たとか?

 どっちでもいいけど、今更来たところでどうしようもないと思うな。

 ほら、もう封印地点にグーレイさんたちが辿りつくとこだし。


「我々は! 魔王復活教団である!」


「なんだ?」


「全員、奉納ッ!!」


 次の瞬間、周囲から血飛沫が舞った。

 信者たちが自分の首を切り裂いたのだ。

 さすがに想定外過ぎて僕らは誰も反応出来なかった。


「じ、自滅?」


「既に残りのメンバーは100、ここに居る面々を全て生贄と捧げれば、十分である。復活が見られぬは心残りではあるが、魔王陛下に、栄光あれぇーっ!!」


 ぎゃー!? 司祭さんまで自害したぁ!?


「おい、これヤベェんじゃねーか!?」


 ガーランドさんの心配を肯定するかのように、大地が唸りを上げる。

 地震のようだけど、この周辺だけ、というか、他の色合いの土地は全く振動していないように見える。


「クソ、退避だグーレイ!」


「嘘だろ!? 自分を生贄に捧げるとか、正気じゃない!?」


「復活するぞ! 全員下がれ!!」


 僕らのいる場所まで皆が下がってくる。

 同時に、何か社っぽい場所から魔法陣が噴き上がる。

 うわ、何かがせり出してくる。

 初めに現れたのは角だ。

 黒い上向きの角。バイソンとかに付いてるぶっとい角である。


 徐々にせり上がるにつれて、それが頭に付いている角であると判明する。

 黄色い瞳、むっと閉じられた口。眉間に寄った皺。

 青色の肌に太すぎる筋肉質の体。

 両腕を前で組み、仁王立ちでせり上がる。

 裸マントでブーメランパンツの魔族のおっさんだった。

 あ、黒いブーツみたいなの着てるから裸ではないか。


 なんか、良く見るような魔王だなぁ。

 ツクール系RPGとかで似たようなのなかったっけ?

 まぁ、それは気のせいか。


「我を蘇したのは貴様らか?」


「え? いえ、周辺に倒れている信者たちらしいですよ」


 グーレイさんが律儀に答える。

 いや、こういう手合いってとりあえず目の前に居る相手を殺してやろうって何かと理由付けて言うよね?


「クハハハハ、成る程、そ奴らが自らの命を使い我が封印をといたか! 教えてくれてありがとう、お礼に、貴様らを楽に殺してやろう」


 ほらぁ!


『双牙斬! っ!?』


 リエラが二連撃の攻撃を叩き込む。

 が、何故か突然魔王から飛び退いた。


「うむ? 今何かしたか?」


『グーレイさん、こいつ物理攻撃が効きません! 何か防壁があるみたいです』


「うわ、やっかいだな。これはどうかな?」


 ピチュンっと赤い光が魔王の額向けて襲いかかる。

 が、額に当たる瞬間拡散するように弾け散った。

 さらに、遅れて襲いかかるエストネアさんの魔法弾もまた、結界らしき何かに散らされた。


「クハハハハ、愚かしい、実に愚かしい。我が物理無効結界と魔法無効結界を貴様等程度が越えられる訳が無かろうが、攻撃は無意味、大人しく我を讃え死ぬがいい!!」


 無茶苦茶チート野郎じゃないかコイツっ!? 物理も魔法も効かないって後何が効くんだよ!?

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― 新着の感想 ―
[一言] バグさんの本領発揮ですね!
[一言] 物理でもなく、魔法でもない攻撃か、、、 このパーティならゴロゴロしてるよね?
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