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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
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二百七・その魔王復活教団の噂を、僕らは知らない

「さて、まずは情報収集だ」


 冒険の準備を整えた僕らは、真っ先に冒険者ギルドに向かった。

 とりあえず灼上君チームに伝言残すのと、残りの二人がもしも冒険者ギルドに来た時に情報を得られるようにするのが一つ。もう一つは魔王復活教団関連の情報ないかなぁーってダメ元で聞きに来たのが一つである。


「っつーわけで、魔王復活教団に付いて分かる事があれば教えてほしいんだが?」


「魔王復活教団ですか? 人族支部でしたらフラクサラージュ王国、魔族本山でしたら魔王バルバトーサン様が収める領地にございます」


 いきなり居場所が発覚した!?


「バルバトーサン領か」


「ラウールさん、知っている所かい?」


「ああ、数ある魔王領の中でも西寄りの中央に位置する国さ」


「バルバトーサンって言ったら宗教関連嫌いで有名じゃ無かったかしら?」


「そういえばそうだね。君、間違いじゃないのかい?」


「ええ、バルバトーサン国では信者も多く、陛下自身も信者であると噂です」


 それって、他の宗教を排除してるだけの宗教国家なだけなのでは?

 なんかもう人類至上主義者王国とぶつけて双方滅んで貰っていいんじゃないかな?

 多分紹介したら喜んで戦争に向かうよきっと。


「フラクサラージュという国は? ん? ふらく……」


「それ、アーデのダーツが刺さった国じゃなかった?」


 ぐ、偶然って恐いなぁ……偶然、だよね?


「お?」


「ふむ、距離的には本山の方が近いんだけど、これも何かの縁かもしれないし、人族領の方から向ってみようか?」


「グーレイが決めたんなら俺らは付いてくだけだぜ?」


「それにしても、アーデの指し示した国が支部だったんだ。もしかしてここで何か起こるって分かったのアーデ?」


「おー?」


「こりゃ多分偶然だぞエストネア?」


「あら? 導こうとしてるのかなってちょっと思ったけどやっぱり偶然なのかー」


「にゃはは、アーデが適当に放った奴だにゃ。偶然以外の何があるにゃ?」


 残念だけどニャークリアさん。たぶん、超幸運が仕事したと思うんだ。

 偶然だけど必然だよおそらく。

 と、いうことは……


「ふむ、本山に行くような余裕はなくここに向かった方がいい、そういうことか」


「グーレイ?」


「善は急げ、とも言うしね。折角場所が分かったんだ。さっさと向おう」


 理解できてない皆を引き連れ、グーレイさんが動きだす。

 唐突に急いで行く事を決めたように見えるだろうけど、僕の言葉を受けて判断してるからね、グーレイさん。


 ―― あーっ! 確かにこれ急いだ方がいいかもですよ! ――


 ―― うっわ、これは酷いわ。急いでグーレイ ――


 え? マジでなんかあんの!?

 アーデの超幸運本気で仕事しちゃってる!?

 グーレイさん、マジで急ごう。


 グーレイさんを先頭に、僕らは外に出る。

 急いで向わないとだけど、ここからだと結構時間は掛かる。とりあえず三日位は掛かると思った方がいい。


「おいグーレイ、急にどうした? そんな急がなくてもいいだろ?」


「いや、ちょっと急いだ方が良さそうだ」


「……何があった?」


 ガーランドさんの顔に真剣さが宿る。

 ニャークリアさんがそっとGババァに近づく。


「何かあったにゃ?」


「おそらく駄女神と呼ばれとるもんからの連絡じゃの、さっきグーレイが上向いとったろ、あの時受け取ったんじゃろ。向こうの方を見た駄女神から緊急事態でも告げられたのかの」


「なるほどにゃー。んじゃ助けておくかにゃ」


 グーレイさんを問い詰めるような顔をしているガーランドさんに歩み寄るニャークリアさん。


「ガーランド~」


「今真剣な話をしてんだ。どうでもいい話なら後にしろ」


「そんなことしてる時間も惜しいらしいから早く行くにゃ」


「あ?」


「グーレイ、Gババァから聞いたけどアレに何言われたにゃ」


「あ、ああ、うん。向こうで何か起こってるらしい、急いだ方がいいと」


「お、おい?」


「話くらいは道中できるにゃ。今は急いだ方がいいなら足は動かすべきだにゃー」


 ニャークリアさんが頼もし過ぎる。


『むぅぅ、アレ、絶対バグさんにアピールしてる……』


 リエラはヤキモチ焼いてるようなフリは止めなさい。まったくもう、アカネさんとかが居ないからってそういうキャラ役する必要ないからね。


『な、なんのことですか!?』


「グーレイ、しっかり説明しろよ?」


「はぁ、まぁ別に隠すことでもないし、ガーランドさんはもう知ってると思うんだけど」


「あん? ああ、もしかして天の声っつーか駄女神二人か」


 ―― 駄女神っていうなーっ!! ――


「うげぇ、うるせぇ、っつか久々に聞いたな」


「そっか、前に風呂場で聞いたっきり聞いてなかったんだっけガーランドさんは」


「あー、そっか、上から見てる神が何かしら見付けちまったわけか。なら、いそがねぇとな」


 頭をぼりぼりと掻いて告げるガーランドさん。どうやらグーレイさんの独断だと疑ってたようだ。パーティーを扱う身である以上、危険な高速移動はあまりしたくないんだろう。急ぐ理由もないはずなのに急ぐと言いだしたから疑っていたようだ。

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