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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
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二百一・そのモンスターパレードが起こるはずだったことを、街民は知らない

「なろぁっ!」


 また一体、スケルトンエンペラーがガーランドさんに撃破された。


「くそ、エンペラー強過ぎだろ、一体倒すだけで俺が瀕死ってよぉ、久しぶりだぜエリクサーがぶ飲みすんのぁ」


「ちょ、ガーランドさん、そっち終わったならこっちお願いするっす、俺にキング二体は無理だって!」


「ったく、しゃぁねぇなジャスティン」


 正直、凄いと思う。

 今回かなり苦戦しながらも、皆格上のスケルトンたち相手に生き残ってるし、たまにジャイアントキリング決めてる。

 それというのも、エストネアさんの援護射撃の御蔭だろう。

 雑魚を掃討するついでにニャークリアさんたちが逃げの一手になってるスケルトンキングなどに魔法弾の雨を降らせているのだ。これで仰け反った隙を見逃さず、皆ダメージを与えて行き、結果的に倒して行くのである。


 それでもスケルトンの数は減った気がしない。

 徐々に皆に疲労が見え始め、エストネアさんやガーランドさんの動きが落ちて来た。

 おもに、お腹たぷたぷなせいで……


「うぐ、もう、飲めな……うおぇ」


 ぎゃーっ!? エストネアさぁん!?


「っし、腹がいたわっ」


 待って、いま男らしく口元拭って新しいマナポーション飲む状況じゃなかったよね?

 なんかイケナい液体が地面にちらばってんですけど!?


「げぷっ、ま、まだまだぁッ!!」


 もはやなりふり構わぬ女が一人、魔力を強制回復させて魔法を唱えだす。

 あんたそんなにポーション飲んで大丈夫? ポーション中毒とか起こらないの!?

 た、確かに、彼女の援護が無くなったら一気に形勢逆転されて全滅だから仕方ないのはわかるけども……


「うげぇぇぇっ、クソ、まだいやがんのかよっ」


 ガーランドさんも吐き散らしながら走りまわる。

 もう、できればきらきらきらーってエフェクト入れときたいけど、これはちょっと戦場が汚過ぎませんか!?


「だぁぁ、俺が一番火力ねぇじゃねぇか!」


 血塗れの矢田も本日何本目かのフルポーションを一気飲みして瓶をスケルトンに投げつける。

 おお、一体倒した。スケルトンならあれでも倒せるのか。骨、弱過ぎじゃない?


「マズいっすよガーランドさん、次のが来ちまってます!」


「うにゃー、もう足ががくがくにゃー、さすがに回避無理かも」


「なんとかスケルトンキング辺りまではどうにかなりますけど、僕の槍じゃ一体相手取るだけで手いっぱいです」


 そう、皆今回の闘いで少しづつレベルアップしたようで、矢田以外がスケルトンキングを単独撃破し始めていた。

 彼だけは未だにスケルトンナイト相手に苦戦中である。

 まぁ、武器持ってないからなぁ。むしろ拳だけでよくやるよ。


「斬星も結構限界近いな、スケルトンエンペラー以上を全部相手どってくれちゃいるが、エンペラー級の撃ち漏らしが増えてやがる」


 そうなのだ、さすがのリエラもこのレベルの魔物が群れを成して来ると一人で抑えきるのは難しかった。

 漏れ出たエンペラー級はガーランドさんとユーデリアさんでなんとか倒せているが、徐々に溢れる敵の数が増えている。

 リエラ自身の疲れはそこまでないけど、対応に追い付かなくなってるようだ。

 せめて、もう一人リエラ級、いや、ガーランドさん級でもいいから自由に戦線を飛びまわれる奴が…… 


 刹那、僕の頭上を光が走った。

 リエラの攻撃から逃れたエンペラー級より一つ上のスケルトンに光が突撃する。

 さすがに一撃で粉砕は出来なかったようだが、飛び交う光りは巨大スケルトンの周辺を飛びまわしながらちまちまと攻撃し、数秒でその体を粉砕してしまった。


「Gババァさん!?」


「ふぇっふぇっふぇ、助っ人に来たぞい」


 リックマンさんが間に合ってくれたようだ。

 Gババァさんに遅れ、ぴちゅんっと赤い光が霧を打ち破ってスケルトンエンペラーを撃ち抜く。


「すまない、遅くなった! 全員無事かい、無事ならこのまま撤退だ。一度霧の外まで出て迎え討とう」


「あぁ!? グーレイ、迎えに来たのはいいが、迎え撃つ!? 外に出てこねぇだろ!?」


「来るよ、残念だけど今ここはモンスターパレードの真っ最中だ」


「マジなのか、嘘だろぉオイ!?」


 突然やってきたグーレイさんに導かれ、皆が撤退を始める。

 リエラー、撤退だよー。


『わかってます。こいつだけでも……せいっ』


 エンペラースケルトンより二回りくらいでかいスケルトンを最後に破壊し、リエラも戻ってくる。

 霧の中だから見え辛いけど、なんとか声を頼りに僕も脱出。

 皆の無事を確認していると、グーレイさん以下なんか物凄い数の魔族たちが集まっていた。


「おいおい、こりゃどーなってるグーレイ?」


「君たちがダンジョンアタックしてる間に報告が来たんだ。ギルドに緊急依頼だね。モンスターパレードの」


 うぇぇ、本気でモンスターパレード起こってたんだ。


「私達も集まって闘ってたんだけど、フィールドから出てくる魔物はスケルトンばかり、モンスターパレードなのに大した戦力じゃないなーと戸惑っていたら、リックマンさんがでてくるじゃないか。まさか君たちが内部で食いとめてるとは思わなかったよ」


「嘘だろ、俺らが一番危険な奴等喰いとめてたのかよ……」


 そりゃそうだ。なんか凄いでかいスケルトン居たし。どう見てもアレが今回の本命でしょ。リエラが倒してたけど。


「来たぞーっ!!」


 内部で食いとめていた人員が居なくなったので、スケルトンだけではなくスケルトンナイト、キング、エンペラーといった危険生物が次々と現れる。

 しかし、その数はまばら、正直に言えば肩透かしをくらったような、チューブの中に残った最後の内容物を無理矢理出したような状態。


「なぁ、なんか殆ど出てこなくねぇ?」


「君等が大本を倒してしまったようだね。モンスターパレード、終了だ」


「マジ、かよ……」


 ガーランドさんがその場に倒れ込み大の字になる。

 ソレを見たエストネアさんもぺたんっと座り込み、もはや立つ気力すら失った様子だった。

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