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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
1648/1818

百九十九・そのスケルトンパニックの理由を、僕らは知らない

 結局、話し合いは次回に持ち越しになった。

 一応グーレイさん達の人選は発表、各自それでいいかどうか、明日話をするそうだ。

 なので、今日は解散。


 ニャークリアさんたちがまたスケルトン退治に向かうらしいので強制的に同行する流れになった。

 うーん、なんで強制なんだろう?

 ま、まぁニャークリアさんが腕組んでくれるからいいんだけども。


『むぅぅ、バグさん、わ、私じゃ駄目なんですか!?』


 いや、リエラが腕組んでくれるのは嬉しいよ? 嬉しいけどブレストプレートがごりごりっと骨と肉をすり潰そうとしてくるんだ。

 だから、ごめん。


『うぅ、部屋の中とかならともかくこれから戦場ですから、ええい、女は度胸』


 はい? あ、ちょまっ、ぎゃあぁぁ腕がゴリゴリしてる、ゴリゴリしてるのぉっ!?


「うにゃー?」


「どうしたニャークリア?」


「んにゃ、なんでもないにゃー」


 フィールド系ダンジョンに向かう道中で、ニャークリアさんとジャスティンの会話を聞きながら、腕をリエラのブレストプレートに圧迫されて悲鳴を上げる僕だった。


「にしても、今回は大所帯ね」


「丁度暇してた奴を誘ったからな。矢田だったか、突出すんじゃねーぞ?」


「チッ、一応ウチのリーダーからアンタの指示に従えって言われてっからな。今回だけは従ってやる」


「他のメンバーが強いからね、私も少しはレベルを上げておきたいんだ」


 灼上チームからはリックマンさんと矢田が付いて来た。

 グーレイさん側からは月締君とユーデリア。ピピロさんとくねくねちゃんと斬星君である。


 アーデの面倒はグーレイさんが見てるらしいから多分大丈夫。

 何かあったらグーレイさんにバグを撃たなきゃだけど、そんなことにならないことを祈っておくよグーレイさん。


 ―― 恐い事言わないでくれたまえ。とか言ってそう ――


 ―― まぁ、アーデについてはまかせなさいな。ちゃぁんと監視しとくから ――


 それはいいけど僕とグーレイさんの絡まりまだ治らないの?

 ……

 …………

 ………………


 うっわ、完全に無視された!?

 お前ら本当に全然進展してないのな?

 どうするつもりだ駄女神共。


「ん? 冒険者の数が少ねぇな?」


「ガーランド? どったにゃ?」


「いや、妙に剣撃の音が少なくねぇか?」


 既に霧の中に入った僕等。確かに今までと比べると剣撃が少ない。

 霧の中が見えないので一概にとは言えないけども。

 でも、確かに闘ってる気配が少ない気がする。

 もっと十何チーム位の闘う音が聞こえてたはずだ。


「チッ、間が悪かったか? 嫌な予感がしやがる」


「あの、チームが少ないと何か問題があるんですか?」


「ここは人族の冒険者にとっては死活問題を解消する場所だ。つまり絶えず複数のチームが出入りしてる。それが無いってのは、単に合間に来ちまったかあるいは……」


 ガシャ、ガシャと複数の足音。骨が軋むような音を鳴らすのは、人ではなくスケルトンの群れ。


「物量に押され、複数のチームが壊滅しちまった時……」


 霧のせいで周辺は見えない。

 ソレは周辺の冒険者の姿ばかりか、敵であるスケルトン達の数すらも不明にする。

 ゆえに、自分たちが対処不可能な魔物の物量に押され、撤退、ないし死亡している可能性が出てくる。

 通常よりも多い襲撃と普段相手していない凶悪な魔物との遭遇。それが意味することは……

 

「うにゃー、当たりかも。スケルトンキング多数確認」


「こんな浅い場所でスケルトンキングの群れかよ!? これはモンスターパレードの前兆じゃねーか!?」


「モンスターパレードだと!? うぬれぇ……」


 あ、今のは声だけでわかった。ユーデリアさんだ。

 悔しがってる姿が普通に浮かぶよ。漢らしく悔しがってるだろうなぁ。


「斬星、グーレイ達とギルドに報告してくれ!」


「え? 僕!? わか……」


「私が行こう。多分ここに残っても足手まといだ」


 斬星君が向おうとするより速く、リックマンさんが走りだす。

 うん、逃げたな。


『バグさん、危ないと思ったら貴方も逃げてください』


 リエラはどうするの?


『私は大丈夫です。強いんですよ、私』


 むんっと胸を張って主張するリエラ。

 まぁ強いのは知ってるけども。

 確かに、下手な誰かに任せるよりリエラに戦闘任せた方が安心できるよね。


『よし、行きますッ!』


 アルセソード改を引き抜き走りだす。

 緑に輝く刀身は、霧の中で殆ど見えないけれど、スケルトンを倒す程度に使うにはあまりにも過剰な武器だろう。

 たとえスケルトンキング相手だろうと膾斬りである。


「おい、ありゃなんだ? スケルトンキング、じゃねぇな」


「あん? お前ら鑑定しねーのか? えーっと、スケルトンエンペラーっつーらしいぞ?」


 矢田が真っ先にステータスを確認したようだ。

 始めて聞くらしい種族名にガーランドさんがふぅっと気合を入れ直す。


「全員スケルトンキングを頼む、あのデカブツは俺が……」


 次の瞬間、そのデカブツことスケルトンエンペラーが108つに分解されて散っていった。

 うん、リエラ容赦ない。そしてその功績はすべて斬星君に強制的に受け渡されます。

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