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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
1627/1818

百七十九・その温泉女子会に見えない女性がいることを、彼らは知らない

SIDE:リエラ


 露天風呂の湯船に浸かる。

 はふぅっと思わず口から洩れた。

 結局、話し合いの結果、混浴になる露天風呂にはまず女性陣、そのあと男性陣が入ることになった。


 今は女性陣なので、私以外の女性や雌個体が一緒に湯船に浸かっている。

 エストネアさん、ニャークリアさん、メロンさん、アーデ、Gババァさん、杙家さん、ユーデリアさん、ピピロさん、カッパーちゃんとブロンズちゃんはちゃっかり二人とも揃って入浴中である。

 魔物はくねくねちゃんとキャットハムター、パッキーの……全員いるね。

 ってことは今回味方になってる魔物って雌個体ばっかりなのかな?


「はぁー、やっぱり風呂はいいわね」


「にゃはー。最初は苦手だったけど慣れると至福の時間だにゃー」


 キャットハムターとパッキーが湯桶に浸かって遊んでいる。

 アーデは温泉内でバタ足練習。だめよアーデ。皆の迷惑にならない場所でしてね?

 エストネアさんとニャークリアさんがふはぁっと蕩ける笑みを見せている。

 バグさん、絶対あの顔覗きに来ちゃうだろうなぁ。


 今回はグーレイさんがしっかりと見張ってるらしいから問題はなさそうだけど。

 なんかいつの間にか潜入してそうなんだよね。

 バグさんのことだから堂々と入って来て激写ーとか言ってそう。


「え? 僕に気になる人、ですか?」


「そうそう、私はほら、陸斗がいる訳だし、まぁ恋人とかの関係じゃないんだけども。ユーデリアさんには月締君でしょ?」


「だが、我が愛は最近スキンシップが少なくてな。やはり、この態度のせいであろうか?」


 ほぼ間違いなくその態度のせいです。


「あ、はは。そんな事は無いと思うけどなぁ。ユーデリアさん可愛いし」


「そ、そうですね。容姿は可愛らしいですし、月締君、変わってしまった態度や口調に必死に慣れようとしてますからもう少し長い目で見てあげればいいんじゃないでしょうか?」


「で、あるか」


 おかしいな、普通のコイバナのはずなのに、何かが違う気がする……

 というか、お風呂の入り方が漢らしくないかな?

 なんで蟹股座りで腕組みしながら肩まで浸かってるんだろう?

 お湯の中で空気椅子? バランス感覚凄いなぁ……


「あー。露天風呂とか久しぶりぃ~」


「あははブロンズちゃん気ぃ抜きすぎだよぉ」


「そりゃーね。こんな場所から所定位置まで帰れとか無理じゃん。とりあえずギルド経由で連絡はしといたけど、しばらくずっと一緒でいいでしょ」


「なんか向こうと合流の話しになってたよね。その時までは休暇でいいってさ」


「あー、至福。休暇最高~」


 カッパーちゃんとブロンズちゃんはしばらく私達から離れないようだ。

 報告はこの領地にある冒険者ギルドで情報を経由するらしい。

 つかの間の休息、温泉街で思いっきり過ごすつもりらしい。


 どこの温泉から回るかって相談し始めてた。


「おー」


 くねくねちゃんは面倒見がいい。

 最近もっぱらアーデのお目付け役になっている。

 その隣にはメロンさん。

 白い肌は病弱に見えるんだけど、基本的にあの肌質が通常なんだそうだ。


「この湯はいいわね。毎日でも入りたいくらいだわ」


 相手のくねくねちゃんは会話出来ない、なので、代わりに近くにいたGババァが反応する。


「温泉だからねぇ、肌がすべすべになるよぉ」


 肌が、すべすべ……

 あれ? おかしいな、Gババァさんが言うと胡散臭くなるというか、そのシワシワな腕見せられてすべすべとかいわれても……

 種族的に筋張った身体付きになるそうだから仕方ないんだけど、なんか、納得できない。


「えー、っと、ここにゃ?」


『へ? ひゃぁっ!?』


「ふふふん、やっぱり入ってたにゃ透明女子、安心するにゃ、他の奴には秘密にしとくにゃ」


 あ、ありがとうございます?

 なんで近づいて来たんだろ?


「しっかしにゃー、お前さんでしょ、斬星って子の代わりに魔物倒してるの」


 掌を私の手元に置いているので、そこに指先で【はい】と書いてみる。


「おお、意外と原始的な会話は可能だったにゃ」


 少し驚き、でもすぐに納得する。


「なんでわざわざ代わりに倒してるのかにゃ? え? 面白そう? あー、バグ君の方か。最初は偶然だったけど、折角だから英雄に仕立てるのにゃ。なんかあくどいにゃー、でも確かに面白そうだからにゃーも黙認しとくにゃよ」


 にひひっと笑うニャークリアさん、凄く可愛らしい笑みだった。

 バグさんが見たら凄く嬉しそうにしそうだなぁ。ケモっ娘最高~とか言いだしそうだ。

 言ってくれればネコミミくらいは付けるんだけどなぁ。

 そういうのでは無いらしい。何が違うのかは分かんないけど。


「ここからしばらくはゆったりできそうだにゃー。透明女子、折角だから一緒に買い物行くにゃ」


 えぇ!? なんで?


「ふふん、どうせ話し相手があんまり居なくて暇してるでしょ。にゃーがウインドショッピングというものを教えてやるにゃ」


 どうやら気を使われたようだ。

 ニャークリアさん、意外と面倒見がいいのかな?

 それじゃあ、お言葉に甘えちゃおうかな?

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