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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
1604/1818

百五十六話・その殺意高めの国を、僕等は知りたくなかった

 クニシズミレイク王国からグネイアス帝国側に向かった場所にある国の領地に入ると、なんかもう砦入った辺りから物凄くせわしなくてぎすぎすした空気が漂っていた。

 なんというかこれから戦争入りますよって感じの空気感だ。


 それでもなんとか王国までやって来たんだけど、やっぱりどこか物々しい。

 戦争を吹っ掛ける、ってよりは攻めてくる敵へ対処するって感じの、防衛戦を想定した物々しさだ。

 さすがにガーランドさんたちも警戒しはじめていて、ニャークリアさんなど常に尻尾がぴーんとしてます。


 警備も物々しく、僕らの容姿を見てまたも町に入れず警備兵さんに確保された。

 グーレイさんが証明書を見せるものの、状況は芳しくない。というか、むしろ悪化した感じがする。

 どうやら防衛戦のお相手はグネイアス帝国らしい。


 こっちに攻めてくる訳じゃないけど脅威度が跳ねあがってて懐疑的。

 僕等についても先行部隊じゃないのかと疑われている状況だ。

 何しろグネイアス帝国が呼びだした英雄だし、別のチームがつい先日魔王領の一角を潰したばかり。


 さらに今は魔族領を急襲しているグネイアス帝国のすぐ隣に位置する国としては、この時期にやってくるグネイアス帝国ゆかりの英雄さまとなれば怪しまない方がおかし過ぎる。

 こっちは別の大問題対処中だって言っても聞き入れてくれない。


 冒険者ギルドに行きたくても国には入れれないの一点張り、王の判断待ちだそうだ。

 これはもう数時間待ち確定だろうなぁ。

 あー、グーレイさん、折角だし冒険者ギルドの誰か呼んでこの人だけでも引き取って貰ったら? ギルドに報告必須だし、ガーランドさん経由で伝えてみてよ。


「それは良い考えだ。ガーランドさんちょっといいかい?」


 僕の思いつきをガーランドさんに伝えるグーレイさん。

 そしてガーランドさんから兵士さんに伝言ゲーム。

 これ、最終的に伝える言葉変わったりするのかな?


 それからしばらく、返答があるまで兵士さんに槍突き付けられたまま待ちぼうけ。

 ん? どったのアーデ? 

 あっちに何か……うをい!? なんか凄い自然にフェアリーサークル出来てるじゃん!?

 周囲が花畑だったから普通に見逃してたけど、あそこだけ穴空いたみたいにサークルになってる!?


「失礼、世界規模の重大事件の重要参考人がいると聞いたが、君たちかな?」


「来たか、俺はAランク冒険者『帰還の誓い』チームリーダーのガーランドだ。んで、重要参考人はコイツ。クニシズミレイク王国の封印の祠で封印を解いていたのを現行犯で捕縛してきた。魔王復活教団とかいう組織で各所の封印を解き、魔王を蘇しているらしい」


「魔王を?」


「この教団は各地に居るらしく封印ならば何でも解くと言っていた。魔王以外にも危険な封印があるだろうがそれも関係なく解くらしい。各国への注意喚起をお願いしたい」


「了解した。しかしAランクとはいえ一グループだけでは……さすがに証明にはならんから各所での調査隊からになるが、それでもいいか?」


「あー、やっぱりさすがに信頼は難しいか」


「我々も証明するが、それでも無理かな?」


「あんたら? ……ほぅ、グネイアス帝国の英雄か。それにあんたは魔王の娘と王子? また変わった面子がいるな。しかも魔族の証明者もいるのなら信頼もできるか……身分もしっかりしているし嘘を吐く必要性もなさそうだしな。了解した。こいつは引き取らせて貰う。ところで……」


 職員数人に引き連れられて、自称魔王復活教団の魔族君がしょっ引かれていく。

 ソレを横目に見ながら、話しかけていたギルド職員が不思議そうな顔で僕らを見る。


「なぜここに居るんだ? 所属証明が出来ているなら問題無く通れるだろ?」


「俺らが知るかよ? グネイアス帝国の動きが怪しいらしくて俺らがスパイじゃねぇかって疑われてんだよ」


「ああ、なるほど。そりゃ災難……」


「陛下より指令だ。全員を捕縛のうえ処刑する!」


 なんでさ!?


「あー。俺は無関係なので」


「うをい!? 嘘だろ!?」


「スパイかどうかわからんからとりあえず処刑で、とのことだ。すまんが、死んでくれ」


「ざけんなクソ! Aランク殺しに掛かったこと後悔させてやるからな!」


「おー!!」


 待ってました、とアーデが駆けだした。

 あー、確かにあそこに行くのが一番速いか。

 グーレイさん、フェアリーサークル通って別の場所に出よう。用事自体はもう済ませてるから何処に出ても問題無いでしょ。


「仕方ない。皆、アーデに続いてくれっ」


 ピチュンっとグーレイさんの攻撃が兵士達の間をすり抜ける。

 ああっ!? 街門が斜めに切り裂かれて崩れ落ちた!?


「……は?」


「英雄を敵に回すんだ。覚悟は良いかい?」


 凄むグーレイさんが指先を兵士の額へと合わせる。

 額に熱源を感じたんだろう。赤い点が生まれた兵士は自分の額に視線を向けてがくがくと震えだす。


「バンッ」


 びくぅっと怯えた兵士に背を向け、殿務めていたグーレイさんも僕等に追い付く。

 大声出してたけど、アレは撃つ真似だけで相手をビビらせるためだったか。まさか本当に打ち抜くんじゃって戦々恐々してたよ。あ、兵士さん気絶してる。周囲がいきなり気絶したから驚いてるじゃん。可哀想に。


 皆順々にフェアリーサークルで裏世界へ。

 駄女神たちのサポートが無くなるけど、そこまで問題はないだろ。駄女神さんや、もう一チームの英雄たちフォローしといてねー。


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