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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
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百五十三話・その封印を解く魔族がいることを、僕等は知りたくなかった

 洞窟深部へと向かう。

 コッコラは浅い層だけの生態だったようで、奥は殆どメタル系魔物だった。

 というか、ほぼ一方通行なんだけどコッコラとかどういう生態してるんだろう?

 洞窟内の生活って謎である。


「メタルドラゴンフライだね」


「メタリックなトンボってどうなんだ?」


「素早い攻撃と硬い外皮の突撃に注意を……「カバー」」


 反撃しようとしたガーランドさんの前に割り居るピピロさん。ガードと同時に攻撃反射のパッシブスキルが発動し、メタルドラゴンフライは一撃で粉砕された。

 やっぱり棺の盾強過ぎるよね?


「バグってるんだ、遅かったにゃ……」


 戦慄した顔で何言ってんのニャークリアさん?


「トンボの群れは任せてください、僕なら受け止めるだけで勝てます!」


 ピピロさん無双だ。

 しかも離れた人物への攻撃もカバーで強制防御できるのはかなり使い勝手がいい。

 パッシブで手に入れた反撃スキルの御蔭で突撃して来た方がダメージ受けるし、受けるダメージが棺の盾装備のピピロさん仕様のせいで過剰反撃になっている。


「別のも来たぞ、あれは……なんだあれ?」


 二足歩行の……バッタ?

 メタリックなバッタさんが二足歩行で歩いて来ていた。

 手が節なので武器を持つこともできず、足が節なので上手くあるけていないようで……というか、逆関節になってないかな? 歩き方がヒヨコ歩きでちょっとキモい。


「鑑定したよ。アレは……逆関節のメタバさんだ!」


 小玉君、今、なんと?


「だから、逆関節のメタバさん……いやこれが種族名なんだって」


 ネタキャラかな?


 ―― 良い名前思いつかなかったのーっ ――


 そういうとこだぞ駄女神さん。


「とにかく、名前は放置して攻撃方法に気を付け……」


「貫波」


 あぁ、メタバさんっ!?


「あー。食べたかったのにぃ」


「え? す、すいません、近づかせて変な攻撃受けるべきじゃないかなと……」


「問題無いよ尾道さん、檸檬は無視していいから。メタバさんは尾道さんに任せるよ。近づかれる前に倒してくれ」


「あ、はい、えと、いいですか、ね?」


 グーレイさんとガーランドさんが同意したことで、メタバさんは尾道さんの遠距離で仕留めることが確定。

 魔法使えるメンバーも同じく遠距離攻撃で対応するようだ。


 ねぇリエラ、やっぱり僕らって過剰戦力じゃないかな?

 暇持て余したガーランドさんがメタバさん一匹譲って貰って斬星君の訓練始めてるし。

 ソレ倒したら食べさせて、と杙家さんが虎視眈々狙い始めてるし。


『ま、まぁこれだけメンバーがいれば、ですよね。魔物組なんて全く参加してませんし。アーデと遊んでるだけですよ? ラウールさんも踊り始めたし、カルラシュトさんもどうするべきかなって踊りに参加してますし』


 このチーム何やってんだ?


「おっと、皆気を引き締めてくれ。そろそろ何かあるみたいだ」


 グーレイさんの言葉に皆、動きを止めて集まってくる。

 魔物自体は一掃したところだからまた襲ってくるのはしばらくなさそうだ。

 んで、グーレイさんの視線の先に、また開かれた扉がある。


 扉の前へとやってくると、何か声が聞こえて来た。

 呪文か何かのような意味不明な声。

 皆、警戒を露わにして祠の中へと入って行く。


「くくく、ようやくだ。ようやくこの封印が解ける……新たなる魔王陛下、あいまみえる時を心待ちにしておりますぞぉぉぉ、はは、ははは、あははははははははっ!!」


 なんかやっべぇのいたーっ!?


「チィッ、急ぐぞガーランド!!」


「突撃か? 得策じゃねぇぞ!?」


「言ってる場合じゃないからね!」


 グーレイさんはいち早く何かを察して走りだす。

 足音に気付いたソイツは祭壇と思しき場所から振り返り、僕らに視線を向けた。


「ほぅ、好事魔多しと聞いたことがあるが、まさか普段来るはずの無い冒険者がこんな良き日に来るとはな」


 あらー、なんか嫌なイベント発動しちゃう感じ?


「君は、何をしているのかな?」


「くくく、普段であれば貴様等が知る必要はない、と告げているところだが、今はとても最高の気分だ。私が行った事を誰かに伝え聞かせてやりたい。たとえ直ぐに死ぬ存在だとしてもな」


 そいつは、頭に角の生えた男だった。赤黒いフードを被っていたけど、僕等に気付いた瞬間わざわざフードを取って自分の顔を見せて来たのである。


「魔族……」


「我々は魔王復活教団。あらゆる封印されし魔王様を復活させし者である」


 なんかすっげぇヤバいの来ちゃった。これ、どう見てもこの先何度となく衝突するイベントキャラじゃん、ゲームじゃないのになんでそんな面倒な教団でてくんのさ!?


「魔王の封印? 何言ってんだ! ここの封印には魔王なんて居ないぞ!?」


「そんなものはどうでも良いのです。封印があればソレを解く。魔王陛下であれば平伏し、違うとあらば放置して立ち去る。それが我らの矜持」


 ただの傍迷惑な奴等だった。


「やめてくれっ! ここの封印は湖の水を封じてるんだ! 封印が解かれてしまえば国が滅んでしまうっ」


「魔王陛下の復活に比べれば些事であろう? さぁ、貴様等は歴史の目撃者だ。目を見開き座して讃えよ! ラパリエッ!!」


 呪文はもう最後の一節を唱えるだけだったらしい。ラパリエと唱えた刹那、祭壇にあった魔法陣が起動する。


「や、止めろぉ――――ッ!!」


 カルラシュト陛下が力の限り叫ぶ。

 しかし、それはあまりに無力な叫びでしかなかった……

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