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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
1594/1818

百四十六話・その門番が怪しむのも仕方ないことを、彼らは知りたくなかった

「止まれッ!!」


 新しい王国にやってきましたバグさんです。

 城門前の待ち列に並んでようやく門番さんの検問が始まると同時になぜか列から連れ出されて三人ほどの兵士に囲まれながら待たされることに。


「ふむ……なにか怪しかったかな?」


「失礼だが、怪しくないと思っているのかその面子で」


 と、兵士の一人が視線を向けたのは、アーデとその頭の上に乗っかったキャットハムター。そしてくねくねちゃんに抱きしめられたパッキー。

 光り輝くババァに血色の悪い魔族娘と甲冑ガエル。

 モザイク入った棒人間が二人。

 人間五人の英雄さん達を一瞬見てすぐに視線を逸らし、ブロンズちゃんを素通り。Aランク冒険者四人を見て、あんたらは通っていいんだぞ? と告げるも、連れだからと断られる。

 そして極めつけは今自分が会話している銀色肌アーモンド目の謎生物。


 怪しい一団だった。というか魔物混成の怪しさしかない一団だった。

 これを普通に素通りさせるのは国家警備の観点から見ても絶対にあり得ない。

 とにかく引きとめて上の判断を仰ぐしかない。


「今までの国ってこんなこと無かったよね?」


「そういやそうだな。国家警備としちゃゆるゆるだったんじゃ……ってグーレイ、お前アレ見せてないだろ」


「アレ? ああ、しまった証明証見せてないね。えーっと……」


「怪しい一団とはそいつらか!」


「隊長! 待ってました。害意はなさそうですが余りにも怪しくて」


「ああ、すまない、私達の身分証だ、確認してくれたまえ」


 部隊長らしい立派な髭を持つおっさんにグーレイさんが身分証を見せる。


「なんだこれ……はぁ!! し、失礼しました! 我が国にお越しくださり光栄にございますッ!」


 腰低っ!?

 さっきまで凄い偉そうな顔で、グーレイさんしょっ引くぞ、みたいな様子だったのに、突然の変わり身の速さに兵士さん達が唖然としてるじゃん。


「いやー、まさか英雄様がいらっしゃるとは、グネイアスの英雄様ですな、宿は用意しますがよろしいですかな? もしかすれば陛下から会いたいという誘いがあるかもですが、顔を出してくださったりは可能でしょうか?」


「う、うむ? 急ぐ旅でもないので、呼ばれれば顔を出すくらいはするが、粗忽者の集まりだし、ほら、魔物や魔族もいるのでその辺りは鑑みてくれよ?」


「それはもう、では宿にご案内した後で陛下に報告させていただきます。兵士を数人宿に待機させますので御用があればそいつらをこき使ってください」


「ふむ、せっかくの監視なら存分に使わせて貰うか。ああ、あと冒険者ギルドの場所も確認したい、後で教えてくれるかな?」


「部下が知っておりますので宿を取った後で案内させましょう」


 話がとんとん拍子に進んでる。多分だけどこの国の王が率先して英雄見掛けたらこういう感じで案内するように告げてるんだろう。

 ついでに兵士達を付けて人となりを見て王城に招くかを見る。その後、可能ならグネイアス帝国の実情やら今までの旅で見聞きした情報を教えて貰う。あるいは脅威の排除をお願いしてみる、なんて感じだろうか?


 隊長さんに案内されて僕らは国内へと足を踏み入れる。

 石畳の通路と中世を思わせる街並み、そして山のように高くなった場所にそびえ立つ中世の城。

 これはまたファンタジック! 


「あの城は随分高い場所にあるみたいだね」


「ええ、元々山の上に城を築いたのはこの近辺が湖だったからだそうです。干上がったのか湖が無くなったことで城下街が生まれ、こうして巨大な国家となりました、クニシズミレイク王国の繁栄はとても誇らしいことですよ」


 名前ーっ!!


「ここが宿かい?」


「ええ、マッサキスイボツ亭と言うそうです」


 だから名前ーっ!!


「それでは、直ぐに兵士が来ますので、外出の場合は彼らが来てからにしてください」


「了解。ああ、女将さん、女性と男性で分けて宿を取れるかい? ああ、パーティー部屋を二つでいいよ」


 グーレイさんとピピロさんが宿を取る間、僕らはロビーで暇を潰す。


「とりあえず一旦部屋に行こうか。少し休憩したら男子部屋に集合、今日の打ち合わせを終えたら兵士が到着次第冒険者ギルド、そこからは各自自由行動。多分別れるパーティー毎に兵士が付いてくるから変なことはしないように」


「おー!」


 アーデ、元気良いのはいいんだけど、君が一番やらかすタイプだからね。

 また変なフェアリーサークル見付けないでくれよ?


「町、か……」


「ノヴァはどうせアーデと一緒に居るんだろう?」


「ふむ、いや、この世界に付いて知っておきたい。神よ、説明を交えた案内を頼みたい」


「おっと私を指名かい」


「あー、グーレイ、話しがややこしくなりそうだから前回は聞き流してたがよ? お前さんを神と呼んでるみたいだが、どういうことだ?」


「ん? ああ、別に隠すつもりはないが、私は神として世界を一つ管理してたことがあるんだ。神気とでもいうべきかな、漏れ出ていたのか神だと分かってしまったようだ」


「ん? いや、世界の敵となった際にこれが神であると知っただけなんだが……凄いぞ、世界の敵になると見えてる世界が通常と変わるからな」


 そんな意味不明な事知りたくもないよ。まぁ僕はアーデのお守するだけだからいつも通り過ごすだけだね。ってか、反応ないなと思ったらガーランドさん本当のことか冗談か判断しかねて困惑しとる。

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