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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
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百三十一話・その追って来ちゃったことを、僕等は知りたくなかった

「お―ッ!!」


 アーデの声に魔物達が反応する。

 まるで付いて来て! と言っているようだ。

 くねくねちゃんたちが一斉に動きだしたのに気付いたニャークリアさんがびっくりしてる。


「な、なんにゃ!?」


「驚いてる場合かい、付いて来な!」


「わ、わかったにゃ」


 既に周囲に集った人類至上主義者十数人を相手に自分たちだけじゃ無理だと悟ったのだろう。ニャークリアさんもGババァに付いて撤退、というかアーデの元へと走りだす。


「逃げ場はねぇんだよっ!!」


「ヘンルーダイーターが邪魔だ! ええい、死ねぇ!!」


 いい具合にお邪魔虫してくれてるみたいだ。

 これなら包囲が完成して迫ってくる前にあそこに辿りつける。

 一匹遅れていたキャットハムターを走りながら抱え上げ、前を走るリエラにパス。

 なんだーっと驚くキャットハムターが宙を舞い、リエラがキャッチ。


「うにゃ!?」


「なにやってんだい、急ぎなっ」


 一瞬驚いた顔でキャットハムター見てたニャークリアさんはGババァの声で弾かれるように速度を上げる。

 丁度中心地になってしまったフェアリーサークルに集うアーデたち。

 皆が追い付いたのを見計らい、アーデは迷わずフェアリーサークルへと飛び込んだ。


「行くよ猫娘」


「迷ってる暇はなさそうにゃ、ええい、毒を食らわば皿までにゃ」


 その故事成語こっちでもあるんだ?


「馬鹿な!? 消えて行くだと!?」


 アーデたちが次々にフェアリーサークルに飛び込み消えて行く。

 ニャークリアさん達で最後だな。よしリエラ、僕らも行こう。


『はい!』


 しかし、いくらなんでもこのフェアリーサークル無防備に各所にあり過ぎじゃない?

 向こうの生物絶対こっちに出て来てるでしょ?

 あと迷って入り込む人絶対いるだろうし。


 フェアリーサークルに飛び込む。

 前と同じように、おどろおどろしい雰囲気の世界へと移り変わる。

 草はやっぱり青いのか。

 空は何故か今緑色だ。


「な、なんだにゃーっ!?」


「配色が好きじゃないねぇ」


 唯一の亜人であるニャークリアさんはこの世界初めてらしく、想定外過ぎる事態に両手を前に掲げて絶叫していた。

 あ、そのポーズ見た事ある。アレでしょ、今でしょ! のポーズでしょ。


「おーっ!!」


 おっと、アーデがまだ急かしてる。

 ほら皆、立ち止まってないで行くよ。

 Gババァ、ニャークリアさん自力で動きそうにないから抱えて!


「仕方ないねぇ」


「に゛ゃっ?」


 そして光の速度でアーデの元へ。


「びにゃあああああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


 変な絶叫聞こえた。


『バグさん、後ろ!』


 っ!? うわぁ!? なんで追って来ちゃったの!?

 人類至上主義者たちが次々に飛び込んでくる。


「うわっ、なんだここ!? 空が緑? 草原が青?」


「見ろカリオン、魔物が空飛んでやがる!」


「まさかここ、魔物達の世界じゃないか!」


「なんだと!? そうか、奴等、俺達人間界にはびこってるんじゃない、この世界から侵略してきてるんだ!」


「ばかな!? そ、そんなことが……いや、そうか、この世界こそが元凶、この世界の魔物を駆逐すれば俺達人間に真の平和が訪れるのか!!」


「私達が魔物の世界に殴り込んだ初めての人類なんじゃないかしら!?」


 残念もっと前に人類が足踏み込んでます。ピピロさんとか尾道さんとか。

 この世界の、に限定してもニャークリアさんが最初ですわー。


「その辺りは後でいいだろ、今は目の前の魔物を殲滅すべきだ!」


「ああ、そうだったな」


 カリオンとか呼ばれたリーダー格の青年の一声でアーデ達に視線を向ける。

 これはここで戦闘開始か、なぁんて、向こうは思ってるみたいだけど、周り見てないな。


「もう逃しはしねぇ、テメーらまとめて、ぶっ殺しぶらぁっ」


 おー、ふっとんだ。

 この辺りも青いにっちゃうが大量だぁー。


「な、なんだ!? 青いにっちゃう!?」


「嘘、にっちゃうなんて雑魚じゃない!?」


「来るぞ! 全員ぶっ殺せぇ!!」


 そして青いにっちゃうの群れと人類至上主義者たちの闘いが始まった。


『バグさん、なんだか、あのにっちゃうたち、私達のほう、全く攻撃してきませんよ?』


 あれ? ほんとだ。なんで?

 いやま、別に問題はないんだけども。

 あ、待て、違うぞ。アーデ達の傍に居るGババァの光を毛嫌いして近づいて来て無いだけだ。


 そっか、この世界って正邪でいうと邪の部分だから光り輝く正であるGババァは敬遠されてしまうんだ。

 天然の魔物避け存在だ。これは予想外。


「おやまぁ、あたしのおかげかい?」


「無駄に光り輝いてるのが今回は功を奏したにゃ」


 青いにっちゃうの群れと争う人類至上主義者たちを見ながら、ニャークリアさんは呆れたように呟くのだった。

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