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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
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百二十七話・その死に惑う大森林の秘密を、僕等は知らない

 死に惑う大森林へとやってきた。

 森に入った瞬間霧が立ち込め視界が狭くなる。

 ここからは密集した方が良さそう、ってことで皆が集まって移動する。


 Gババァとアーデは既に先行、リエラも居るから多分大丈夫だと思うんだけど……

 あ、魔物発見。猪系? あ、違う。四対の角が全部自分の脳天向けて曲がってる。

 死を見つめる者、と呼び名が高い動物が魔物化したらしい。


 彼は僕らをちらりと横眼で見るが、全く反応することなく去って行った。

 うん、放置されるなら放置の方向で。

 にしても、視界が悪い。アーデたちは何処行ったんだろう?


「視界が悪いな」


「かー、初めて入った森だからこの状況は想定してなかったぜ。どうするグーレイ? 今からでも迂回するか?」


「いや、アーデたちも向ってしまったし、このまま直進するさ。皆警戒を怠らないでくれ」


「危ないと思ったら悲鳴を上げてください。すぐにカバーします」


 ピピロさんが頼もしい。既に棺の盾装備でいつでもシールドバッシュ出来るように構えてる。


「ひゃわっと、なんだ、枝か」


「エストネアさん紛らわしい」


「ええ!? 檸檬さん酷いっ」


 でも確かに紛らわしいよね、ピピロさんなんか早速スキル使おうとして不発に終わってるし。

 凄い残念そうに呆れた顔をしてる。


 あ、リエラ発見!

 どう? アーデ見付かった?

 リエラ?


『バグさん、アーデが、アーデが……』


 ん?


『アーデが変なのと踊ってます! どうしましょう!?』


 また変なの出て来たの? えーっと……マジで変なのだァ!?

 それはなんと言い表せばいいのだろう?

 二足歩行のカエル? いや、でも武装してるし、甲冑装備してるし、兵士?

 カエル兵がゲッコゲッコいいながらアーデの踊りに合わせて鏡合わせで踊っている。


 皆もそれに気付いたようで、アーデの周りに集まってきた。

 楽しそうなカエル兵はしばし、アーデとの共演を楽しみ、そしてハタと気付く。

 周辺に見知らぬ存在が複数いるという事実。そして自身がそれを気にせず踊っていたという羞恥。


 ―― あー、その、人間達よ、今のは見なかったことにしてくれると助かる ――


 しゃ、シャベッタアアアァァァァッ!!?

 あ、いや、今のは念話か。

 凄い、このカエル念話使えるぞ!?


「これは驚いた。意思疎通が可能かい?」


 ―― ああその通りだ人間……人間? 亜人かな? お嬢さんの踊りがキュート過ぎてついついご相伴にあずかってしまったよ ――


「ああ、それは気にしなくていい。アーデは踊るのが好きな魔物なのでね。それより情報共有がしたいのだが、可能かな?」


 ―― いいだろう。私は蛙人族フロッガーの王子ラウール・ヘヴンリーという。一応亜人のつもりだ。魔物排斥者どもからは魔物扱いされるがね ――


 カエルの王子って、なんか童話に出てきそうだね。残念ながら魔法で姿替えられた訳じゃないみたいだけど。御姫様のキスがあってもカエルはカエルのままのようだ。


 ―― 魔族のはしくれとして冒険中でね。っと、なんだか懐かしい存在がいるね。ナマハムメロンだったっけ? ――


「よく覚えているわね。会ったのも子供の頃の夜会でしょう? 挨拶もほどほどにしかしてなかったのに」


 ―― はっはっは。私は人を覚えるのは得意なのさ。それにしても、あの人付き合いが苦手そうだった君が人間達と冒険とは、世も末だな。どうだい外は? ――


「とても刺激的ね。特にこの面子と一緒だとハプニングに事欠かないわ。貴方は? ここで何をしていたの?」


 ―― はっはっは、ちょっと調子に乗ってこの森に入ってしまってね。濃霧に阻まれ何処へ向うかすら分からなくなって途方に暮れていたんだ。とりあえず脱出するまで同行させてくれまいか? ――


「人にモノを頼む態度じゃないわね。でも、まぁ、ここで会ったのも何かの縁か。送る位はしてあげても良いと思うわ、グーレイ、どうかしら?」


「構わないよ、君の知り合いなら襲ってくることもまずないだろうし」


「ごめんなさいね。貸しにしといて」


 律儀だなぁメロンさんは、ほら駄女神ども、これが出来る女ってものなんだぜ?


 ―― あら、だったら私も出来る女ね ――


 ―― マロンさんが出来る女なら私だって出来る女ですしおすし ――


 駄女神ツインズは黙ってな。


「アーデの回収はできたね。今のところ危険な魔物に遭遇はしてないし、さっさと突っ切ってしまおうか」


 グーレイさんの言葉に皆が頷く。

 ラウールを仲間に引き入れ、僕らは霧の森を突っ切った。

 運がいいのか悪いのか、他の魔物類と出会うことはなかった。

 うーん、ルグス系の味方が来るかと思ったけど、ラウールさんだとバズの代わり辺りになりそうだなぁ。


 エンリカ枠がいつ来るかだけど、こいつも襲われて結婚したりするんだろうか? かなりヌメってるぞ?

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