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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
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百十八話・その待ち伏せを、僕等は知りたくなかった

 ハルンバルン王国からスカンピンサイフの街へと向かう。

 この世界の不思議な所は、出て行く街門の方角によって出現する魔物が変わることだろうか?

 僕らが向った門の先、出現する魔物がハルンバルン王国に入ってくる時とは全く別の魔物に生態が変わっていた。

 町の周辺はフィールドばっかなのに、東西南北で出現する魔物が違うってどうなのさ?


 本日出現する魔物はスネゲビー、一角犬、レザーマンティス、千疋狼。

 ぱっとしないといえばぱっとしない面子である。

 いや、スネゲビーの足、人間のおっさんっぽいスネ毛だらけの足だったからそれだけはインパクトでかいかな?


 人型大の蜂の一番下の足だけ人の足でスネ毛ぼーぼーなのである。

 正直キモさが120%アップくらい恐ろしい状況だった。


 一角犬はその名の通り、額に角が生えた犬。

 他には何も言うことはない。

 とりあえず、アーデと遊ばせるとひやひやさせられるので残念ながらアーデの遊び相手としては不適格というしかない。


 レザーマンティスはレザースーツを着たカマキリだ。というか、全身がレザーで出来ているように擬態するのでレザーの体表を持つカマキリといったほうがいいかもしれない。


 千疋狼は俗に言う送り狼って奴だね。

 後ろをゆっくり付いてくるけど転んだりしたら襲いかかってくるという狼である。

 というか、意外と可愛いな千疋狼。特にピピロさんの後ろにちょこんっと座って尻尾振ってる姿はちょっとモフりたくなる。忠犬かな?


「なんというか、このフィールドは転んだりしなければ問題はなさそうだね」


「転んだ瞬間千匹以上の狼が殺到して来るがな」


 それはちょっと恐怖映像になりそうだ。

 まぁ、さすがにここで転ぶことはないだろう。

 フラグにしないでよ皆? ……って、アーデっ!!?


 僕だけが気付けた。丁度視界の隅にそれが映ったのだ。

 皆が前を向いていた時だったので他に気付いたため咄嗟にアーデと叫ぶ。

 振り向いたのは一人だけ。

 くねくねちゃんが振り向きざまにナイフを取り出し撃ち降ろされた剣をナイフで受け止める。


「チィッ!? 魔物風情がッ!!」


「なっ!? 奇襲!?」


 皆が振り向き、戦闘態勢を取る。

 しかし、その時には既にソイツはバックステップで距離を取った後だった。

 うわぁ、嫌な奴でた……


 そいつは、ハルンバルン王国に向かう途中で出会った人類至上主義の男。

 魔物に対して見敵必殺なそいつは、何故か僕らに殺意を向けて来ていた。

 いや、こいつだけじゃないぞ!? 隠蔽魔法? 既に囲まれてる!?


「君は……なぜここにいる!?」


「うるせぇ! 見てたぜぇ、ハルンバルン王国に魔物連れでいる人類の敵どもよ! あの町マジおかしいぜ。お前らみてぇな奴らがのさばって俺達人類に魔物殺すなとか抜かしやがる。しかも同じ志を持つ者たちを魔物好きに変えようと洗脳まで……だが、俺達は従う振りをしてこうして待っていた!! 魔物主義者どもを駆逐する。その為に、いま、こうして手を取り合って雑魚共を駆逐してるのさ!!」


 うん、会話が成り立ちそうにない。

 つまり、今襲撃に加わってるメンバーはハルンバルン王国にやってきた人類至上主義者の集団である、と。

 情報操作で強制洗脳は失敗に終わり、結託してハルンバルン王国崩壊を画策している犯行組織になっていた、ってところか。


「駄目だこいつら……話が通じねぇ!?」


「魔物がいる状況で話を聞くとも思えないね。あの国の現状見ただろうガーランド」


「全くだ。ってこはぁ、こいつ等は……」


「ああ、やるしかない。下手に生かすとまた襲ってくる。全員……覚悟を決めろ!!」


「魔物共々全滅だ! かかれぇ!!」


 十四人もの男女が武器を持って駆けつけて来る。

 うわ、めっちゃ美人さんもいるじゃん、なんで人類至上主義になっちゃったの!?


「うにゃー、なんて面倒にゃ。対人戦はそれなりしてるけど、英雄さん達は大丈夫?」


「ああ、魔王退治の関係でその辺りも経験させられてる。ゴロツキ相手だけどね」


「人間食べるのは外聞が悪いんだよねー。私も歯止め効かなくなりそうだし、噛みつき攻撃しないようにがんばらないと」


 小玉君は対人経験あり、檸檬さんは対人食未経験っと。それはずっと未経験のままでいてください。

 にしても、基本こいつ等が向うのは魔物相手みたいだ。

 邪魔する人間を次に優先。

 つまり、アーデ、パッキー、キャットハムター、くねくねちゃん、千疋狼を最優先で狙って来ていた。


 次にその邪魔をしようとするGババァ、ピピロさんが狙われる。

 ……って、千疋狼?

 あ、グーレイさん! アレ見て!! 敵に伝えて!!


「ん? おい人類至上主義者、あれ、いいのか?」


「あれ?」


 グーレイさんの何気ない指摘に視線を向ける男。その視線の先には別の襲撃者の少し後ろにちょこんと行儀よく座る千疋狼の姿。

 つまり、彼の前には、同士だと思った男が千疋狼を従えてるように映る訳である。あとは、わかるな?

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