百七話・そのスキルが習得されていたことを、彼らは知らなかった
「え? 新しいスキル、ですか?」
グーレイさんから話を聞いたピピロさんがびっくりした顔をしている。
彼女にとって自分が新スキル覚えてたということ自体が驚きだったらしい。
ステータス確認とかしないの? そもそも新スキルの使い方って脳裏に勝手に入っちゃうんじゃ……ちょっとそこの駄女神さん?
―― あー、その、えっとぉ。その方法わかんなかったから取り入れてない、というか、なんというか…… ――
―― 既存の使うにも結構高額なのよねー。折角だし私が入れといてあげるわ。惑星プログラム作るのとくいなのよねー ――
やめろ駄女神一号っ。あんたが調子乗ると絶対やらかすでしょ!
「うわっ、ホントだ。いろんなスキル増えて……ろ、ろろろ、627っ!? れ、れべ、レベル、ええ? いつの間に!? ひゃ、100越えちゃっていいのっ?」
あー、レベルでとりあえず驚いちゃったか。
「自動修復・微が常時スキルになってるから、街中などで半分食われた盾装備しとけばその内修復されるみたいだよ」
「おお、私が食べた盾ね。ちょっと責任感じてたんだけど、復活するならよかったよ」
「あー、その、あの盾、捨てちゃいました……」
使えないってことで既に捨てていたらしい。
僕らなら取り置いてもしかしたら使うかもって時があるまでポシェットの肥やしになるんだけどね。
ほら、棺の盾もちゃんと使いどころあったし。
「ありゃー。残念」
「とりあえず、新スキルっての見せてくれよピピロさん」
「あ、そうですね」
しんみりし始めた杙家さんたち。空気を変えるために小玉君が話を変える。
スキルを確認しながらラージシールドを構えるピピロさん。
アレが普段使い用の盾か。あんまし使わなさそうだけど、通常装備しとくには丁度良い大きさの盾だそうだ。だいぶ大きいけどね。
他の盾と比べると見劣りしちゃうのは仕方ないか。他の盾が山並みとか棺だもんなぁ。
「じゃ、じゃあ、一つづつ行きます」
「そこらへんににっちゃう居るからアレで試しちゃいましょ」
エストネアさんが酷いっ。にっくんの同胞をこれから虐殺するってのか!?
あんた、血も涙もな……
「えい、シールドアタックッ」
ぎゃあぁ!? 押しつぶした!?
「シールドブーメラン」
そのまま投げた!?
「か、かかってこいやぁっ!!」
挑発の咆哮かな? 声出てなかったというか、最後かすれちゃってたんだけど。
あ、他の魔物が寄って来た。ついでに投げ飛ばしたシールドが寄って来た魔物を薙飛ばして戻ってきた。
「幻想盾突撃」
魔法攻撃依存だっけ? ピピロさん魔法攻撃力高くないからあんましダメージ喰らってないようだ。
にっちゃう自身が弱いから一撃死してるけど。
「な、なんか結構攻撃の幅広がりましたね」
「でも、レベル600でしょ、ちょっとレパートリー少なくない?」
「多分だけど、後付けでスキルを覚えないといつまでもこのままなんじゃないかな? 後は盾の熟練度とか技の熟練度で派生技が生まれるとかじゃないかな?」
グーレイさんと小玉君が真剣に考え始めてる。
そのあたり、ガーランドさんはどう思う?
「あー、グーレイ。スキルってなぁそうぽんぽん覚えられるもんじゃねーぞ? むしろレベルアップだけでスキル覚えた嬢ちゃんが異常だからな」
「そうなのかい?」
「既にスキル持ってる奴に師事して覚えるか、スキルスクロールかスキル石使って覚えるのが普通だな」
「後は自分でいろいろ実戦して新しく編み出す、とかね」
「斥候スキルとかはその職業やってたらスキル覚えて行くにゃ」
「あとはナンパした女性から教えて貰うか、とかかな」
ジャスティンだけちょっと違う気がする。
でも、そっか。この世界はスキル、自動で覚えるのは殆どないのか。
スキル屋とかって見掛けてないなぁ。
「ガーランドさん、スキル屋とかって、あるのかな?」
「ん? そんな店聞いた事ねぇな?」
「ガーランド、多分グーレイさんはスキルを覚えられる物が売ってある場所はどこか聞いてるんだと思うわよ?」
「あー、成る程。だったらギルドだ。魔法系スキルは魔術師ギルド。盗賊関連は盗賊ギルド。犯罪者のギルドだから普通の冒険者には関係ないんだが、盗賊系スキルは結構重宝したりすっからな。犯罪すれすれの冒険者は結構行くらしいぞ。あとは、技術ギルドだな」
初めて聞いたよ技術ギルド。
「えっと、こうやって、こうやって、こう、ですか!? わっ!? 新しいスキル覚えた!? シールドラッシュ!!」
Gババァがなんかレクチャー始めてピピロさんの技が一つ増えていた。
「ふむ、折角だし一度戻って技術ギルド行くか? 結構面白いスキルもあるらしいぜ?」
「重宝するスキル程金額高くなるにゃ。しかも貴重なスキルはほぼ売り切れてるにゃ」
そりゃ仕方ないか。ま、適当な凡庸スキル見れたら問題ないかな?




