百二話・その無駄なラスボスの存在を、僕らは知りたくなかった
『とりあえず、これで終わり、ですかね?』
そうみたいだね。
ネコジャナイネコ、ホント一体どういう生命体なんだろうか?
猫にしか見えないんだけどなぁ。
えーっと、地上に戻るのはあそこの部屋かな?
じゃー、皆、さっさと地上に戻……うわぁ!?
部屋へ向けて一歩踏みたした瞬間だった。突然真下の床が崩落した。
『Gババァさんっ!』
「おっ!」
「任せな!」
刹那、光が走る。
穴の奥へと消えて行く僕の身体に浮遊感。
気が付けば、駆けつけたGババァにお姫様だっこされていた。
トゥンクしちゃう。
って、危ねぇ!?
思わず男前な姿のGババァなんかにトキメク所だった!?
なんつー恐ろしいトラップ。
無駄に有能なババァが悪いんだ。
そりゃデヌも一瞬の気の迷いで責任取らされる立場になる筈だ。
『バグさんっ! 怪我はないですか?』
安全な場所で降ろして貰うと、リエラが駆け寄ってくる。
「危ないからそこで見ていな、坊や」
思わずうなずく僕は、ふと気付く。
年齢で言えば断然このGババァの方が年下じゃないか!?
しかも赤子と同じくらいの年だし。
そんな存在にボウヤ扱いされるいわれはないよ!?
光と化したGババァは、僕が踏み抜いた場所の周辺を飛び回り、原因を調べる。
そのまま真下へと突撃して行ったかと思えば、次の瞬間、猛スピードで戻って来て僕らの傍へと逃げ込んできた。
彼女を追うように、巨大な何かが地面を盛り上げ突出する。
モグラッ!?
モグラ来たモグラ! ネコミミ生えた数十メートル大の巨大モグラ。
出現と同時にGババァの突撃とガチムチ化したキャットハムターの連撃を受ける羽目に。
何しに……来たんだ?
「ピギィィィィィ――――ッ!?」
慌てて逃げようとしたネコミミもぐらんと思しき生物は、キャットハムター渾身のボディブローで体を持ち上げられ、さらなる連撃により床に打ちあげられる。
必死に逃げる生物に近づくキャットハムター。死に行く獲物へとトドメを刺しに行く世紀末救世主感を感じるのは僕だけだろうか?
移動しながら拳を逆の手で包み込んでバギリ、ボキリ、首を傾けバキリ、ボキリ、と威嚇音を鳴らしながらキャットハムターが巨大モグラに辿りつく。
「キュゥ――――ッ!!」
あたたたたたたぁっとでも言いそうなほどの拳の連撃。
余りにも早く穿たれた巨大モグラが体中をへこませていく。
最後の拳が突き刺さる頃には、それがモグラだったとは全く判別出来ない姿になっていた。
どさり、モグラだった何かが息絶える。
どうやらこいつが第一階層やら何やらを穴ぼこにしていた張本人だったんだろう。
一階層からこっちにどうやって来てるのかは気になるけど、とりあえず……
何しに……来たんだ?
キャットハムターの殺意が高過ぎて僕らはただ見ているしかできなかったし、手助けも逃してやることも考えることすら出来はしなかった。
名もなきネコミミモグラは、名前すら確認できないままに肉塊に変えられ、もはやステータス確認しようにも何かの生肉。としか表示されなくなってしまった。
とりあえず、Gババァに安全を確認して貰って、わずかに残っていた細い道を使って安全地帯へと向かう。
階段の代わりに小さな部屋があり、その中央に台座と、宙に浮かぶ虹色の玉が一つ。
この玉に触れればダンジョン手前まで戻れるのかぁ。
『あ、待ってください。あちらの宝箱の中身を貰ってから行きましょう』
リエラが宝箱に向かっていく。
そうか、階層主倒したから宝箱が出現してるのか。
リエラ、何貰えた?
『それが……何でしょうかコレ? 付け爪?』
うーん、呪いとかはないみたいだ。
爪を付けると地面に穴を掘れるようになるみたいだ。
簡単な掘削なら地面を掬いとるようにきれいさっぱり掘り進められるそうだ。
『Gババァさんの装備品?』
いや、攻撃手段というならむしろくねくねちゃんに付けて貰った方が良さそうだ。
僕に言われたくねくねちゃんがいやんっとくねくねしながら照れている。
ホント、この棒生物は一体なんなんだろう?
宝箱の確認を終えた僕らは、水晶玉と思しき転移装置に触れる。
一瞬の後、何故か外へと転移している僕ら、その背後から声が掛かる。
『バグくんたち、お帰り』
うわっ!? グーレイさんがいる。
ってことは本当に地上に戻れたのか。
『ふむ。なぜあえて半裸に近いくらいに服がはだけた姿になっているのかは問わないでおくよ。全員無事なようでなりより。進展、新しい仲間などは見付かったかな?』
新人はいなかったけど宝箱は拾ったよ?
『お、それはよかった。くねくねちゃんの装備が充実したのか』
僕の安全性という観点から言えば確実なクラスダウンだけどね。




