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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
最終話 その彼の名を誰も知らない
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百一話・その意味不明な存在を、僕らしか知らない

 煌めく木漏れ日が降り注ぐ。

 地底の苔生したダンジョン内を優しい光が照らしだしている。

 うん、ここダンジョンですよね?


 なんか、今までのザ・地下ダンジョンとはまた違った趣がある。

 洞窟全体が光り輝いて見える。

 シンと静まった音にかすかに流れる風。


 まさにファンタジー。

 洞窟探検とかでよく最奥にある綺麗な景色なんだけど、実際に見ると感嘆しか出てこない。

 くぅぅ、心のシャッターが自動で風景画を取りまくってる。

 たまにアーデやリエラが映り込んでるのは、まぁお約束で。


『凄いなぁ、にゃんだー探検隊たちなら絶対大喜びだよここ』


 ルグスと共に探検かな?


「ここにも魔物はおるようじゃよ。気を付けてな?」


 え? 魔物いるの?

 全然姿が……


「ほひょっ」


 うおわ!?

 Gババァが唐突に腕を前に突き出す。

 なんだ? と思えば、そこにはぴちぴちと動く変な物体。

 棒状の生物に鰭が無数に生えた……スカイフィッシュ?


 あ、違う。色が黒と緑の斑だからスイカフィッシュだって。

 超高速で移動してるのか。

 この洞窟の中にはスイカフィッシュが大量に生息しているらしい。


「攻撃自体はしてこないみたいだねぇ。こいつら以外の敵性存在は居ないようだよ」


 そりゃよかった。

 というか、良く見えたなぁ。

 僕には何処にスイカフィッシュが飛んでるかすらわからないや。


 そのまま階段を見付けて下へと降りる。

 次の階層は景色が一転、物凄い薄暗さとおどろおどろしい音が鳴り響く階層になっていた。


『ゾンビでも出そうですね』


 やめてリエラ、それフラグになりそう。


「安心おし、ここに出て来るのは黒い犬と黒いコウモリ、あと黒い人影だね」


 ぎゃあぁ!? と断末魔が響く。

 Gババァの爪が人影を切り裂いた音らしい。

 僕の目には全く見えないんだけどね。

 Gババァが光り輝いてるせいで周囲が全く見えないんだ。


 御蔭で僕とリエラとアーデは完全な御荷物。

 くねくねちゃんとパッキーが意外と活躍してる。

 パッキーは独自の索敵器官があるらしく、的確にビームを放って敵を撃破。

 アーデとキャットハムターが応援に回って、パッキーが凄く嬉しそうに頑張っていた。


 階段はGババァに見付けて貰い、僕らは早々に階層を後にする。

 8階はまた中ボス部屋。

 なんでここの中ボスは猫科生物なんだろうか?

 長靴を履いたピューマさんがキャットハムターに狩られるまで、時間は殆ど掛からなかった。


 続く9階。

 今度は鏡かと思えるほどの水晶洞窟。

 折角なのでいくつか失敬してポシェットに仕舞っておく。

 結婚の時の指輪に使えるからね。鉱石類は多めに回収しておこう。

 見知らぬ結婚相手にはこの水晶でよかろう。リエラのには奮発するぞー。

 むしろ、くずもちを指輪に填め込んでしまおうか? この世で一つしかない動く鉱石の指輪だぞ。

 さすがに怒られそうだからやめとこう。


 って、水晶が動いてる!?


『クリスタルミミックですか。くずもちの亜種ですかね?』


「こっちの世界は向こうと違うんじゃろ? 向こうでは珍しくともこちらでは普通に存在しとるんじゃな」


 だから、なんでGババァは普通にリエラと会話出来てんの!?

 リエラ今バグってるんだけど!?


 水晶に手足が生えて移動する姿はちょっとシュールだ。

 しかも擬態しているクリスタルタートルやクリスタルロートルなどは水晶に紛れてるせいで見付かりにくい。

 カメレオンっぽいクリスタル生物は正直トラップとしか思えなかった。

 Gババァがすぐに見付けてサクサク倒していってたけどね。


 そしてそのまま10階層。

 ようやくボス部屋へとやってきた僕らが対峙したのは、ネコジャナイネコという猫なのかそうでないのか良く分からない生物だった。


 キャットハムターも一瞬猫かと思ったものの、相手をしっかりと見て小首を傾げている。

 キャットハムターの判定ではこれは猫科では無いらしい。

 姿は二足歩行の化け猫といった姿で、尻尾は三又。

 にゃーんと鳴くし、威嚇するときはフギャーっと猫っぽい動作を行う。

 だけど猫では無いらしい。


 じゃあなんだ? と言われると、猫では無いと分かる猫っぽい何か。としか言いようがなかった。

 容姿は猫にしか見えないんだけど、猫ではない、ということは何故かすんなり理解出来た。

 うん、なんかよくわかんないけどとりあえず敵だから倒しちゃおう。

 Gババァ、よろしく。


 キャットハムターが動かずとも、Gババァの速度に翻弄されたネコジャナイネコは徐々に手札を潰され倒された。

 ドロップアイテムもなんか微妙だ。

 これは猫の肉なのか? ネコジャナイネコの肉を手に入れた。

 あと肉球ボール貰った。これは暇な時にむにむに揉んでればリラックスできるらいい。

 正直、素直に喜べないんだよなぁ、アーデもあんまし興味ないみたいだし。

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